第18話 更生施設にようこそ 後編
―― 闇ギルド ――
「……ここは? あっ! あんたさっきのっ!!」
「あーん、頭キーンが治らない。あら、貴方やっと気づいたの?」
ウーミに襲いかかった男はランスが抱えて闇ギルドに連れていくことにした。
リルガには刺激が強い内容になりそうだったので先に家に帰ってもらっている。
「気づいたって……、おい、離せ! なんで縛ってるんだよ。そうだ! 僕の足っ!? ある……良かった。あんたのせいで嫌な夢を見たんだ。そうだ、ウーミはあんな女じゃない」
『まだトラウマが足りないようですね』
(ええ……、かき氷はもういらないわよ)
ちなみに、かき氷は、椅子に座らせて縄で縛り男のスネから下を冷やすために使用した氷の余りを使用している。
ノコギリはかき氷用の氷を確保するために使用しており、刃先についている赤い物はランスがかけたイチゴシロップが飛んで付いたものだ。
「あんな女じゃない。そうね、でも貴方はあんな感じだったわよ?」
「っ!」
「貴方が見たものは、貴方がウーミちゃんにしたかったことだわ。
私は貴方の心を見せただけよ。醜悪なマザコンストーカーさん」
「もう一度……もう一度ウーミに会わせてくれ。本当に愛してるんだ」
「はぁ、しつこい男ね。じゃ、『まぼろし~♪』」
「ひゃあ、ウーミっ!! いやだぁっ! 来るなっ!!」
──パチンッ
「来るなって……愛してるんじゃなかったの?」
「……あんた、僕の心を見せたって言ったな? 僕はウーミを縛りつけて監禁したいと思ってるって言いたいのか?」
「独占欲は誰にでもあるわ。でも、行き過ぎた貴方の欲は見過ごせないわね」
「……そうか。僕はウーミにあんなことはしたくない、だけど、そうしたいって心の底で思ってるのか」
「彼女を愛しているって言うのなら、どうしたらいいかわかるわね」
「……、ウーミの……、いやウーミさんのことは諦めるよ。彼女には二度と近づかない、彼女にすまなかったと伝えてくれ。お店にも迷惑をかけたとも……」
「お店のほうの弁償は私がしてあげたわ、それとウーミちゃんには伝えておくわ。
これから恋愛をするなとは言わないけど、相手の気持ちや立場を考えなさいね、自分本位な男はモテないわよ。ほら、かき氷」
男は縄をほどかれて縛られた箇所を手でさすりながら、かき氷を差し出すランスを見上げた。
「お店への弁償……。なぁ、あんた、なんでここまで僕にしてくれるんだ? 殺人未遂の僕を騎士団に連れていけば、二度と出てこれなかったはずだ。
こんな説得じみたことは要らなかっただろ?」
「袖振り合うも多生の縁ってね。それに自信のない男をほっとけないのよね」
『かき氷に飽きただけでしょ』
(しっ!)
「こんな……、僕のことをそこまで……」
「あっ、やな予感が……」
『ああ、鑑定しましたけど新しい扉が開きましたね』
男のランスを見る目が熱を宿していく。
「あんた……、いや、あなたのお名前を教えてください! 僕は……あなたのことを好きになってしまった!!」
「ごめんなさい、私のことは忘れて……物理オブリビ●イト:忘れよ!!」
──ごすっ!
次に男が目覚めたとき、自宅の見慣れた天井だった。
その後、男がウーミに近づくことはなかった。




