第1話 ドラゴン……いいえ、ゴリラです
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―― 変態貴族の屋敷 ――
ここですね、変態貴族の離れは……それにしてもこの壁、ずいぶん頑丈ですよ。
あら、困ったわねぇ。私の素の力でも破れないなんて……
これじゃ違法奴隷の保護が遅れちゃいますね。
うーん、仕方ないわねぇ。アレあんまり使いたくないんだけど……
ここはキングダム王国の王都、貴族ヘッチョンの屋敷……、ヘッチョンは離れにある秘密を隠していた。
「ぐひひひ……もふもふさせろやぁ!」
脂ぎっしゅな小太り貴族ヘッチョンは涎を垂らしながら狐の耳ともふもふのしっぽが逆立つほど警戒している深い紫色の瞳の少女に話しかけた。
「……いや! ……誰か助けて」
「ぐひっ! 無駄だよぉ。
この離れ家は王城の金庫室よりもセキュリティーがしっかりしてるんだ。
なんせお前を飼ってるのがバレると困るからな……ぐひ。
さらに驚け、この部屋に関しては天井をドラゴンが踏んでも壊れないぐらい頑丈なんだぞ。
どうだすごいだろ」
「……ベビードラ?」
「はっ、バカかっ! ボクが言ったドラゴンは成体のドラゴンのことだ」
「……うそくさ」
「なんだとっ! げひひ、この部屋の説明書にちゃんと書いてある。ほら、読めっ!!」
――ドラゴン(成体)が踏んでも壊れない
ドラゴンのマークは強さの印!!――
「……ホントだ」
「なっ? 書いてあるだろうが。
ふん、だから例え天狐族の本気の力でもここからは逃げられないことがわかったか? さぁ、おとなしくもふもふを――――」
──ズウゥン
「……揺れた」
「揺れた? ふん、防震加工がされてるこの部屋が揺れるわけないだろ。話を逸らすな!」
──ズウゥン……!
「……また」
キツネっ子少女は俊敏な動きで部屋の中を飛び回る。
「ええぃっ!! ちょこまかと……快適な空間でもふもふをしようと設計したのが間違いだったか」
「……お前なんかに捕まらない!!」
「げひっ。どうかなぁ。ボクが天狐族の能力を知らずに飼うと思ったか? そんなに激しく動いていいのかなぁ? げひひひ」
「……っ! ……しび……れ…………」
──ズウゥン、ズウゥン!
──ズガァン、ズガァン!!
「げひっ、やっと効いてきたか。
天狐は魔力循環によって状態異常を防ぐんだったよなぁ? この部屋の壁は魔力を吸収する。
やっと、余裕がなくなったなぁ。げひっげひっ!」
「……………………」
「話す力もなくなったか。げひひ。
麻痺らせてしまえば逃げることも出来ないだろ? さぁ、もふもふの時間だ」
──ズガァン!! ズガァン!!
「なんだっ!? うるさ――――」
──ズガスガズガガガガガガ!!!!
──ゴパァーッン!!!!!
「お前かぁっ!! この無駄に硬い部屋作ったのはぁっ!!!」
粉々になり、もうもうとした煙が流れ視界が晴れていく。
しっぽを丸めて震える少女の深い紫色の瞳に映ったものは、赤色の角刈り、赤色の瞳、男らしさを通り越してゴリラらしさを備えた色黒の顔にはしっかりといわゆるケツアゴがついているゴリゴリのゴリマッチョだった。




