第二十章 〜灯台下暗し〜
ついに20章!
キリがいいけど、ストーリーはキリ悪いっす!
沈黙の時間はやはり五分程度しか持たなかった。
「さすがは会長って感じか。気づけばなんてことないな。」
「お、古賀先輩。会長の問題解けたんですね?」
「ああ。大したことねえな。このくらいならこのくらいの時間で丁度いいんじゃないか。」
「いやいや、早すぎですよ。」
ヒロに続けて木坂が古賀に言う。
「本当に頭の柔らかさだけはいいわね。私は獅子目くんの問題でもまだ解いてないわ。」
「会長のやつはむしろ知識の問題って感じるけどな。柔らかいだけじゃなくて知識もあるんだよなあ。」
「使いこなせてないのね。可哀想に。」
「同情するなよ!」
木坂は再びヒロの作った問題に向き合った。
ヒロもまだ解けない問題に頭を抱えさせられていた。
古賀はやることがなくなってしまった。
キョロキョロと周り見渡すもやることは見つからなかった。
「あー、暇だ暇だ。どこかに私が解くに値する謎はないものか!」
と喉元を締めながら言った。ヒロはフフッと笑い出してしまった。
「先輩どこの織田さんですか。」
「どこの織田でもないけどIQは246以上ある。」
「マジですか?」
「と、信じている。」
「あるわけないでしょ。コガマンに。」
と木坂はピシャリと言った。
「仕方ねえ。暇だなあ。ヒロは解けたか?」
「まだ解けないです。」
「お前も暇人にして同じ感情を味わってもらいたいからヒントやるよ。」
古賀はヒロの座っていた机の前に立ち、問題を指差した。
fig16. 不等な等式
「いいか、これは符号じゃないんだ。」
この後、解くであろう木坂には聞こえないようにヒロの耳元で囁いた。
「何かを引くわけではないと。」
「その通り。もう一つ。これはゼロじゃない。」
「え?これはゼロじゃないと。そうなると…」
「ここからは自分で考えろ。ヒロなら少なくとも解けるだけのヒントだよ。」
「あざっす。」
そう言ってヒロはゼロの状態を暴き始めた。
-これがゼロじゃないとすると楕円形の何か。記号?アルファベット?それなら…オーか…もしかして!
ヒロは「-」マークの前にある数字を英語の表記にした。
上から「One、Four、Two」となった。
-なるほど!それぞれ一文字目、二文字目、三文字目がオーだ!
ヒロはニヤッと笑いながら「O」に丸印をつけた。
-そうするとここに入るのは…四つ目にオーが来るもの…
ヒロは数字をそれぞれ英語で書いた。
One Rwo Three Four Five Six Seven Eight Nine Ten
-…無い!四文字目にオーが来るものが見つからない!もしや、次の桁か?
Thousand(千)、Million(百万)、Billion(億)
-…どれも当てはまらない!ということは間違ってるのか?
ヒロが頭を抱えているとまた古賀がやってきて机の上の紙を見た。
「お、もう解けそうじゃねえかっていうか、もう解けてるか。」
「え?」
「ん?もう解けてるんじゃ無いのか?」
「いや、これであってるんですか。」
「多分わかってると思うけどな。丸印が付いてるし。」
「でも…」
「お前数字も数えられないのか。」
「そんなことないですよ。ワン、ツー…」
「フハハ、それじゃあ百億年数え続けても分からないわ。」
-どういうことだ?数え続けてもその数字は出ない?ということはワンより小さい数字…負の数か?マイナス…いや、オーはつかない。ん?違う!灯台下暗しだ!
「忘れてたー。」
と言いながらヒロは椅子の背もたれにグッともたれた。
解答欄には「0」と書いた。
「私も解けたわ。獅子目くん、なかなかいい問題作るわね。」
「ありがとうございます!」
「すぐに私も抜かれそうだわ。」
「それはまだまだですよ。先輩の凄さはサークル来てすぐに気付かされましたから。」
「嬉しいわ。」
「おいヒロ、俺も褒めろよ。」
「古賀先輩はわざわざ言うまでもなく天才じゃないですか。」
「おうおう、それから?」
「問題も最後の詰めまでみんなが見逃すように作られてるし。」
「そうだなそうだな。おかわりおかわり。」
そう言ったときコツンと言う音が部屋に響いた。
「調子乗らないの。後輩を困らせちゃダメでしょ。」
「いったったった。すまん…」
と古賀はシュンとしてしまった。
ヒロはそれを見て薄く苦笑いを浮かべた。
「じゃあ私は美紅ちゃんの問題を解くわ。」
「そうなると暇だな、ヒロ!」
古賀は嬉しそうにヒロの方を向いた。
「そうですね。」
「コンビニでお菓子でも買って鼎談しようぜ鼎談。」
「テイダン?なんですかそれは。」
「三人で談話することだよ。木坂の分も買うから心配するなよ。」
「別にしてないわ。ありがと。楽しみにしてるわ。ついでに炭酸も欲しいわ。」
「図々しいなあ…」
「別にいいじゃない。お金は出すわよ。」
「冗談だよ。いいぜ。よっしゃヒロ行こう」
「はい!」
ヒロは古賀とともに外へと出ていった。
「なあ、ヒロはよ…美紅ちゃん好き?」
「はえ?」
あまりに突然の、かつ予想外の問いかけにヒロは変な声を上げてしまった。
「ほら、可愛いだろ。同い年だったら彼女にしてたよ、俺なら。」
「そ、そうですか。先輩は彼女いるんですか?」
「もう二年目だよ。」
「ええええええ!」
予想外の問いかけに、今度は本気で叫んでしまった。
「そんな驚く事ないだろ。」
「いや、先輩は女友達が多くて彼女はいないタイプだと勝手に…」
「出会って数日の割にはいい推測だな。最初の彼女だよ、そいつが。」
「そうなんですか…可愛いんですか?」
ヒロは嬉しそうにスマホを取り出して写真フォルダを開いた。
「見せてやるよ。ホレ。」
古賀の画面に映っていた女性は可愛いと言うより美形であった。それもかなりの美人。ヒロの率直な感想は「多分ドS」であった。
「いやあ、本当に尊いな。」
「あの…先輩…」
ヒロは気になりすぎて言わずにはいられなかった。多分これを聞かなきゃ一生眠れないと思うほどだった。
「なに?」
「ビンタされたことあります?」
「え?」
「あるいは踏みつけられたり…あ、や、失礼しまし…」
と言い終わる前に古賀が顔を近づけ
「誰から聞いた!」
と言ってきた。
ヒロは顔を引き下げながら
「い、いえ、なんとなく直感です…」
と答えた。
「いいか、ヒロ。俺はお前の先輩として全力をかける自信があるから言うぞ。俺はドMだ。」
とどうでもいいし、なんとなく想像ついた答えにヒロはハハハと愛想笑いを浮かべるしかなかった。
「おいヒロ、誰にも言うなよ。二人の秘密だぞ。」
「言いませんよ。」
「これ知ってるのお前と近藤だけだからな。あと松戸。ついでに木坂。」
「って、美紅ちゃん以外全員知ってるじゃないですか!」
と思わず突っ込んだ。
「まあ、美紅ちゃんには言わないでくれ。可愛い女の子に虐げられるのは辛い…いや、いいかもしれん。」
と開き直り始めたのでヒロは慌てて
「知らせない方がいいですって。」
と言うことで、古賀と美紅を守ることにした。
コンビニに入ってお菓子コーナーに行った。
「カゴに入れていけよ。俺飲み物持ってくるから。お前なに飲む?」
「じゃあコーラ入れておいてください。」
「はいよー。」
ヒロは会話する時間や、残ったものの保存を考えながらスナック菓子やチョコ菓子、クッキーをカゴに入れた。
「ほーらよ。」
と古賀はペットボトルを三本カゴに入れた。
レジへ持っていき、会計が始まると古賀が前に出た。
「いいよ、ここはお前に入会祝いな。あと解けておめでとう。」
「マジですか!ありがとうございます。まあ解けたのはほとんどヒントのおかげですけどね!」
「あのヒントを思いつければ解けたんだろ。オッケーオッケー。それでいいのよ。」
支払いが済んだのでヒロは
「荷物は持ちます!」
と袋を持った。
「おうサンキューな。俺の飲み物だけ取ってくれる?」
「はい!」
ヒロは中からオレンジジュースを取り出した。
「お、よく俺が選んだのが分かったな。」
「だって、木坂さんは炭酸頼んでたじゃないですか。」
「え?」
「え?」
「ああああ!忘れてた…」
ヒロがもう一つのボトルを出すと野菜ジュースが入っていた。
「炭酸だったな。先帰ってて。俺、炭酸買ってくるから。」
「あ、はい。」
そう言って古賀はコンビニへと駆けて行った。ヒロは古賀の優しさに好感を抱いた。帰りは一人、校舎に向かって歩いて行った。
また新謎考えてまいります!
では、また次章。
ブクマと評価よろしくお願いします!




