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第十七章 〜彼女が作った時間〜

遅くなりました。またまた脱出ゲーム行ってきてました。

楽しかったあ。

「なるほど。悪くない。全く悪くない。むしろ俺は気付けた快感に満足してるよ。」

松戸は美紅の方を見てニコリと笑った。

「ありがとうございます!ちゃんと解いてもらえるか不安だったんですけど。本当によかったです。」

「ヒロももうすぐ解ける気がするんだけどな。まだダメか?」

ヒロの方を見ると、どうやら行き詰まってるらしい。

「ううん。色々な発想はあるんですけどね。どれも当てはまってくれないですね。数字の意味するところが…」

「そうか。吉井さんもヒント出して見るか?」

「はい!」

美紅は頭に手をやって何を言おうかを考えた。

そうしてすぐに言い始めた。

「そうですね。まず、矢印は両側に広がってるから、真ん中は原点を示してるって言えばいいのかしら。」

「ああ。やっぱりか。俺も矢印が両向きなのは気になってんたんだ。だけど国名が気になるな。」

そういうと松戸が話に入った。

「国名の使い道なんて二つしかパターンはないだろ。」

「二つですか?」

「そうだ。」

「一つは国自体…ですかね。」

「当然。もう一つは?」

「言語…かな…」

「なんだ、分かってるじゃないか。」

「あー、つまり…いちばん上は英語、続いて日本語、最後にイタリア語ですか。」

「そう、そうよ!」

美紅も松戸の着眼点を聞いて、若干興奮気味であった。

「うーん、もしかして…ええっと、英語でこうだから…やっぱりそうか。原点はイマか。」

「うん。ヒロは解けたっぽいな。」

「美紅ちゃんさすがだよ。暗号作りを趣味にしてるだけある!」

「ほんと?ありがとう。嬉しいわ!」

「本当だよ。中心は『きょう』。英語なら『today』だね。あと昨日と明日。文字数がそれぞれ当てはまる。イタリア語は…なんだ?ええと検索して…と…昨日、今日、明日は『ieri』『oggi』『domani』。つまり、これらの文字数を数えて…答えは446か!」

「よかった。ヒロ君にも解いてもらえた。」

「俺も解けてよかったよ。」

ヒロと美紅が安心していると松戸が後ろから話しかけた。


「さてお二人さん。よく頭を使いました。ただ先輩も負けていられない。最後に俺の作った謎を解いて今日は解散だな。」

松戸は美紅の問題の答え合せの合間にすでに印刷を終わらせ、二人に問題を配った。



fig14. 埋まらぬ空白

挿絵(By みてみん)



「これが俺からの問題。しっかり解けよ。」

松戸がそういったとき、スマホがなった。

「おっと、俺に電話だ。じゃ、解いてろ。」

松戸はそういって電話に出た。


「あーもしもし?うん。うん。あ?ああ、そうか。いやもちろんもちろん。こっちは大丈夫だよ。そんなことないよ。全然オッケー。そうか。じゃ集合はどうする?オケ。じゃそこ集合で。じゃあねえ。」

松戸は電話を切ると二人を見ながら言った。

「わりぃ。急に用事が入っちまった。俺もう帰るな。」

「先輩、もしやこれっすか?」

ヒロは小指を立てて振った。

「ああ?まあ忙しいから俺もう行くな。お前らも好きに帰っていいぞ。」

そう言って松戸は部屋を走って出ていった。

「なんだか忙しい先輩だわ。」

美紅が軽く呆然としてると先ほどしまった扉が再び開いて松戸が顔だけだした。

「言い忘れてた。ここの鍵は帰るとき職員室の鍵入れにしまっとけ。場所はドア入ってすぐだから気づく。じゃあな。」

そういって再び走り去っていった。

「本当に忙しい人だな。」

ヒロも軽く呆然とし、部屋は微妙な空気が漂った。


数秒後。ヒロはとんでもない事実に気付いてしまった。

-おおっと、この部屋に美紅ちゃんと二人きりじゃねえか!

松戸のウッカリによって奪われたハッピーアワーが松戸の(おそらく)彼女(であろう人物)によって得ることが出来てしまった。

しかし、いざ二人きりになると話したり近づいたりイチャイチャしたりなんてことは出来なかった。


「しゃあない。解くしかないか。」

一歩も踏み出せない小さすぎる自分の勇気に呆れながら思ったことがくちから溢れた。

そんなこととは知らず、美紅も

「そうね。解こう。」

と謎に向いた。


謎を頭半分で考えながら美紅と同距離を縮めようかもう半分で考えていると、運がいいことに美紅の方から話しかけてきた。


「ねえねえ。松戸先輩ってやっぱり彼女さんから呼ばれたのかな?」

突然始まった会話に若干狼狽(うろた)えつつもバラすことなくヒロは答えた。

「ああ、多分そうじゃないかな。」

「どんな人だろう。やっぱりミステリーサークル会長の彼女だからミステリーな人かな?」

「いやいや、木坂さんとかミステリーサークル自体に入ってるけど、ミステリーな感じじゃないでしょ。美紅ちゃんも。」

「それもそうね。素敵な人なのかなぁ。ヒロくんはいないの?」

なんと答えるべきか。無論いない。いたことない。にしてもそれを冗談っぽく言ったとて、情けないような感じもする。しかし、再びそれを聞かれた時のダメージより、先手を打つ方がまだマシ。

「ああ、いない。てかいたこともない。興味無いことはないけど…みんな彼氏作っちゃうからよ。」

「なるほど、失恋は負ける系なのね。」

「はは、それは厳しいな。だけど言い得て妙ってな。」

「私も彼氏はいないんてすよね。いたことないのも同じですよ。」

「マジですか!」

一つ、これほど可愛い人物に彼氏がいたことないこと。一つ、チャンスがまだ残ってること。その二つの感情がぶつかり合い、ヒロの口から飛び出した。

「そんなに驚きますか?」

美紅は軽く笑いながら尋ねた。

「いや、失礼。意外だったから。でもまあしばらくは謎解きを今は楽しみましょう。お互いにね。」

ヒロは「お互い」を入れることで何気なく「彼氏作らないでください!」と伝えてみた。

言うまでもなく伝わってはいなかったが。

ヒロが夢にまでみた夢、美紅との二人きりの時間。見事ヒロの恋は成就なるか?


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