第十六章 〜解かれる側〜
お待たせしました。謎を2つぶちこみました。
楽しんでください!
「出来上がりました!」
そうヒロが言ったのは一時五十分のことだった。
「あとはパソコンで清書にすればオッケーです。ワード使えますかね?」
「あー、そこにあるパソコンはミステリーサークル用だからいいよ。プリントもできちゃう。」
「オッケーっす。」
「吉井さんは?」
「私も清書で大丈夫です。」
「じゃ、ヒロ。刷っちゃって。」
ヒロはパソコンで清書を終わらせ印刷し、二人に配った。
fig12. 初めての出題
「こんな感じですけど…いいですかね?」
「ま、解いてみなきゃだな。やってみるか。」
「そうね。私もやるわ!」
「よろしくです!」
二人は謎解きに専念し始めた。それからわずか四分後、松戸が
「うん、なかなか面白かったよ。初めて作ったにしてはちゃんとしてるし合格だね。」
と言った。
「もう解けたんですか。正直いい問題とは思ってなかったんで、悪い意味でもう少しかかるかと思ってました。」
「いやいや、謙虚になることないよ。ちゃんと全体が意味を持っている。これ単体で例会には出せなくても、問題の一部として出す分には全く問題ないくらいだ。」
「ありがとうございます!」
ヒロはここまで褒めてもらえるとは思ってもいなかったので素直に嬉しかった。新入生という配慮があるのは重々承知でも、十分に嬉しかった。
その頃美紅はというと驚きと焦燥感に満ちていた。
-ヒロくんって初めての問題作成だよね?こんなに本格的なのが来るなんて…ますますミステリーサークルでの焦りを感じるわ…
ヒロの問題になかなか悩まされているところだった。
「うーん、何かヒントはありませんか?」
美紅がとうとう観念した。
「ヒロ、ヒントを作るのもまたいい練習だ。大きめの例会やイベントでは全員が一定の問題数に到達しなきゃ面白みに欠けてしまう。そんな時は特別にヒントを与えるのは決して珍しいことではない。ヒントをあげな。」
「うーん、そうですね…このヒントでいいかちょっと確認してもらえますか。」
「おおいいとも。」
ヒロと松戸は少し離れた所で耳打ちで会話をした。
「じゃ、これでいきます。ヒントは上側の文字があるよね?」
「うん。プラマイゼロね。」
「そうそう。それはそれで一つの塊じゃなくて、全部バラバラだと考えるといいよ。」
「分かった。少し考えるわ。」
美紅は再び数分考え、やはりもう一度聞くことにした。
「やっぱりわからないわ。どうしよう…」
「よし、ここからは謎解きの戦略を教える。ヒントでもあり、よく使う戦略。デジタル表示の数字を使った計算は数値計算の場合と図形的に足したり引いたりすることがある。今回の問題は言うまでもなく878でも406でもない。今回は図形的に考える。だろ?ヒロ。」
「さすが先輩です。この問題は図形で考えるんです。」
「分かったかもしれないわ!」
美紅は慎重にシャーペンを走らせ、クイズを解いていき始めた。
「まず、赤色はプラスね。だから上の黒文字に赤色の線は足す。次に青色はマイナスだか、黒文字から引く。最後に緑はゼロだから足しも引きもしない。つまりそのまま。だから答えは999だわ!」
「正解!いやあ、正解してくれてありがとう。なんか安心したよ。」
「999なんてなかなかいい答えじゃない。」
「うん。吉井さんの言う通り。答えが気持ちいい数字だと答えた側も自信がある。それがいい所だな。やはり不安になる答えより、安心できる答えの方が評価も『いい問題』になるんだよ。」
ヒロは解いてもらえた安堵と嬉しさに幸せな時間を味わうことができた。
-なるほど、解けた時の快感もいいけど、解いてもらえた快感もいいな。よっしゃこれからは両刀を目指そう!
ヒロは小さく小さくガッツポーズをした。
「よし、そしたら次は吉井さん、行こうか。」
「分かりました。じゃ、ちょっと待っててくださいね。」
美紅もパソコンへ向かい清書を始めた。
完成するまでの時間が待ちきれないのはヒロも松戸も、そして美紅本人もである。
いよいよ印刷機から紙が流れてきた。
「じゃあ私の問題も。お願いします!」
二人は早速覗き込んだ。
fig13. 二人目の出題
「これって…」
「あの、暗号はいつも作ってるんですけど、数字を当てるのも作ってみたくなっちゃって…せっかく初めてだからって言えるから、数字問題にしましたっ!」
「なるほど。とりあえず、解こうか。」
松戸はそう言って問題と向き合った。
ヒロは美紅を見ながら思った。
-こんな小学生みたいな子がこんな問題作るのか…恐ろしいな…いややっぱ可愛いな…
ヒロも美紅に挑戦することにした。
謎解き全般に言えることではあるが、問題が短い。今回まだ良かったと思うのは何を答えればいいかがはっきりしていることだ。
「ねえ美紅ちゃん、これ知識いる感じ?」
「うん。いるかもしれないわ。スマホとかで調べてもいいわよ。」
「そっか。サンキュ。」
ひろはもう一度問題と向き合った。
-まず両側に広がる矢印か。数字の大きさってわけではないのはイギリスから分かるな。第一そう言う感じなら矢印は大抵一方向しか向かないはずだ。両側に広がるってことは…場所かな?きっとどこかを中心にして考えてるんだ。あれ、こんなこと前も考えたような。そうだ、つい昨日のグリニッジ天文台だ。あれ、でもそんなつい最近のこと美紅ちゃんが使うかな…しかも日本なのに三ヶ所存在することになる。もう少し別のアプローチが必要な感じか。
悩む二人を見て美紅は思った。
-一生懸命考えてくれるのは嬉しいわ。それに簡単には解かれていないことも。とはいえ、解けなさ過ぎると悪問だし、それだったらまずいわ。どうしよう、ヒント言っちゃおうかしら。でも、謎解き好きの二人にはプライドもありそうだし…
暗号を解いてもらうのは初めてではなかった。兼ねてから暗号作りを趣味としていた美紅は作るたび仲の良い友人に解かせていた。そう言う時は簡単に解けないと「ヒントヒント〜」とすぐに友人は言ってくる。美紅は別に嫌でもなんでもなかった。分かりそうで分からないものの真相は一秒でも早く知りたいことは美紅にもよくわかる。しかし、この二人はそのような友人とは違った。謎を愛し、解くことをまた愛している。下手にそれを奪ったら嫌われるかもしれない。そんな不安が美紅を迷わせていたのだった。
美紅ちゃんの謎を置いて行きます。隠された三桁は?次回をお楽しみに〜




