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第八章 〜ミスサ始動!〜

今日は用事で投稿遅れました。楽しみにしてるかたお待たせです!(まあ、ブクマは一件ですが。その方へ。)


是非読んでください!

二階「第四多目的室」。使い道は部室としてのみである。扉に付いた窓は磨りガラスで中はよく見えない。


この部屋の前で木坂を先頭にヒロ、美紅と続いた。

「行くわよ。」

木坂が勢いよく開けるとそこには碁盤、将棋盤、チェス盤が机に並び何人もが対局の最中であった。


扉から一番近い、すなわち向かって最も左側の机に古賀と近藤が向かい、まさにチェスの対局中であった。松戸はそれを隣の椅子を逆さまに座りながらジッと見ていた。

松戸は木坂の開いた扉の音を聞き、そちらに目を向けた。

「ようやく来たか。遅すぎるよ。せっかく二人の熱戦面白かったのに、もう終わっちまうぜ。

「よく言うわよ。二日目から新入生を部室に置き去りにして。万一私が行かなかったら二人はミステリーサークル辞めてたかもしれないのよ。」

「まあまあ、そう言うなよ。楽しんだんだろ。ほら、チェック。」

古賀がビショップの先にキングを見つけた。

「そこまで考えなかったのは申し訳ない。次の手を読むのは得意だが、そこまでは読めなかったようだ。ほらお前だ。」

近藤がルークを進めて言った。

「本当に無責任な人たちね。全く役に立たない先輩だわ。自分の同好会活動放棄して別の部活に行くなんて。それも部活始めから二日目で。」

「フッフッフッ。実はな、俺らはチェス部に入ったのだ!」

とルークでポーンを弾きながら古賀が言った。

「ええ?なに、どう言うことよ。」

「ま、そう言うことなんだ。チェックメイト。いいもん見せてやるよ。」

と近藤はクイーンで古賀のキングを追いつめたのでカバンを漁り始めた。古賀は

「また負けかよ。」

と片付けを始めた。近藤がカバンから取り出したのは入部届。しかも顧問の印鑑付きだった。

「なによこれ。」

「先述の通り、俺とコガマンとマッツンはミスサと兼部したんだよ。」

「あのね…あなたたち自分の入っていたところに来てくれた新入生が入部届も手にしていないのに勝手に自分たちは提出して何のつもりなのかしら?それとも、もうミステリーの熱は冷めたと言うのかしら。それなら松戸様には降りていただきますよ、会長の座から!副会長と会計も一年生に移行ね。」

「ああ、待ってくれ。悪気は無いんだよ。入りたかっただけなんだ!」

「だから、その前に一年生の入部くらい完了させろっつってるのよ!」

と怒号をあげる木坂にヒロと美紅、無能呼ばわりの三年生は勿論のこと、対局に熱くなっていた囲碁将棋チェス部員すら血液まで凍ってしまった。

「あ、あの。本当に申し訳ない…ありません…」

松戸のシュンとした姿を見て冷静になった木坂は、部屋の空気を感じ取って恥ずかしくなった。

「ま、まあ先輩も悪気ないんだし、落ち着きま…しょうよ…」

と、ヒロも試しに小声で宥めてみた。

「わ、分かったわ。とりあえず、部屋に戻りましょうか。」

目を細めながら部屋を出て行く木坂の後ろを、初犯で捕まった囚人のごとく、三年生はついていった。ヒロも慌てて付いた。美紅は「失礼しました!」といって扉を閉じ、ヒロに続いた。


「ねえ、獅子目くん、木坂先輩凄かったね。」

「まあ、積もり積もった怒りだったんだろうな。」

「私達の為と分かっててもゾッとしちゃったわ。何だか申し訳ない。」

「確かにな。」

と二人は小声で話した。


視聴覚室に全員が集まり、座ったところで木坂が言った。

「とりあえず、松戸先輩は今すぐミステリーサークルの入部届を二人分用意してください。」

と聞くや否や、はいっ、と返事をした松戸は慌てて部屋を飛び出した。

「で、残りの二人は事情を教えなさい。」

と聞き、古賀が答えた。

「あーあの、シロの問題は白色の駒が1/2、お城つまりルークが1/8で全てのチェスの駒に対する該当のコマの割合を表してたんです。で、二つ目の問題はヨツカドには車、つまり香車があって、カク、つまり角行は二枚ってことだったんです。」

と、言った。


「あのね…古賀くん…」

この時ばかりは流石の近藤も突っ込みを入れることはできなかった。

「そんなことを聞いてるんじゃないわ!そもそも解けたからあなたたちのいたところが分かったんでしょ。私が聞きたいのは何でこっち放ってまであちらへ言ってしまったかの事情よ!少しはその働かない頭を動かしなさいな!」

「すんまへん…」

と古賀は力なく答えた。

「まあ、新入生の前だからこれくらいにしとくけど、今度この二人に何かあったらタダじゃ済まないわよ。」

との言葉を聞いて、ヒロと美紅は絶大なる信頼と共に、少しばかりの恐怖を覚えた。

あ、お姉さんを怒らせるとこうなるんだ、と。


この時、二人は木坂が二年であり、これら三年の後輩であることなど全く覚えていなかった。


そうして部屋に入部届を片手に松戸が戻っていた。

「お前ら悪かったな、今回は。まあ、許してくれ。」

と頭を下げるので美紅は

「いえいえ、謎解き楽しめましたから。」

ヒロも

「まあ、実践的な謎解きは面白かったですよ。」

と笑顔で言った。

木坂は

「本当に二人が優しい子でよかったわ。」

と溜め息をついた。


二人は入部届に名前を書き、顧問(とは言っても特に仕事はないので時々様子を見にくる程度。幽霊顧問である)に判子を押してもらい、ついに正式なミステリーサークルの一員となった。


視聴覚室に戻ると松戸がホワイトボードに大きく「ミステリーサークルへようこそ!」と書いていた。

「お、お帰り。これで正式なミステリーサークルの一員だから、取り敢えず今日は初めての勉強会をやるぞ。毎日やるわけじゃないんだが、誰かが気が向いたらやるんだ。お前らも出来るから、なんかやりたかったらいいな。みんな話聞くから。」

と言った。他のみんなも席についていたのでヒロと美紅も座った。

「ここで全員にこれを解いてもらう。三年生と二年生は知ってるだろうけどね。取り敢えず頑張って見てくれ。」

そう言って渡されたのは、またも暗号文であった。



fig8A. 初めての勉強

挿絵(By みてみん)


fig8B. 初めての勉強

挿絵(By みてみん)



「取り敢えずは何も言わない。君たちの知識力、同時に発想力を知りたいんだ。それじゃ、復号スタート!」

そういって手をパン!と叩いた。

ヒロと美紅はどれどれと覗き込む。


表には大量の文字の羅列。縦横で文字と鍵が分かれてるらしい。

「分かったわ。」

と美紅がスラスラ解き始めた。

暗号作りが趣味であった美紅には当然の早さでの解答だった。


ヒロも負けじと少し考え

「よし多分こうだ。」

と書き始めていった。


参加から二日目。ついにミステリーサークルは活動らしき活動を始めた。

いよいよ本格的に始動!

ミステリサークルの勉強とは?

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