異世界チート転生! 最強成り上がりハーレム物語 ~俺の戦いはまだまだ続くぜ!~
作者に自覚はないのですが、たぶん、何か嫌なことがあったのかもしれません。
作者の心の中にある暗黒面がテレビ画面に映る井戸から這い出てきて、
カメラアングル的に井戸をのぞかれそうになったら赤面して必死に隠す。
そんな小説です。
俺の名前は小切成男。どこにでもいる普通の高校生だ。
あの日、学校から家に帰る途中、信号無視して突っ込んでくるトラックから横断歩道を歩いていた女の子をかばうまでは。
危ない! って思った瞬間、無我夢中で体を動かし何とか女の子を突き飛ばしたけど、俺はそのまま暴走トラックに轢かれて死んじまった。
ああ、俺って死ぬんだなぁ――ってぼんやりした意識の中で思ったんだけど、気が付けば真っ白な空間に一人立っていた。
似たようなシチュエーションを聞いたことがあった俺は内心でちょっとワクワクしていたら、案の定すぐに『神様』を名乗る人物が俺の前に現れた!
話によると、あの時本当は俺が死ぬはずじゃなかったらしいんだけど、『神様』がちょっとした手違いを起こしてしまった結果、運命が変わって死んでしまったとのこと。
一応、女の子は無事に助かったとはいえ、死ぬはずがなかったって聞けば小さくない怒りを覚えた。
でも、平身低頭してくる『神様』の様子と、お詫びに記憶や人格をそのままにして、ファンタジーな異世界にチート付きで転生させてくれるって聞いたら、すぐに怒りは消し飛んだ。
チート! ハーレム! 俺TUEEEE!
ネット小説をかじった男なら、誰もが憧れる主人公のようになれると聞いて、嬉しくないはずがない!
欲を言えば同じ地球に転生させてほしかったが、それはできない規則らしい。『神様』も複雑なルールがあるらしく、そこでもペコペコ謝られた。
何にせよ、今度も人間として新しく生活できることを保証してもらった上、定番の『言語理解』や『鑑定』に『無限収納空間』、身を守る力として『身体能力強化』のほか『全属性魔法』や『状態異常無効』などなど、考え得る限りのチート能力までもらえることができた。
ちょっとした不幸があったけど、次の世界では楽しみながら自由に生きてファンタジーを満喫しよう!
こうして俺は、『神様』に見送られながら真っ白な空間から消えていき、期待に胸を躍らせながら異世界転生を果たしたのだった。
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新しい人生での名前はシン。
王国のすげぇ辺境に位置する田舎の村に生まれたから、家名はない。
俺の家は元冒険者だったという父さんと母さん、それと一つ下の妹の四人暮らし。冒険者の経歴を活かした仕事をしていて、村の中では裕福な方だ。
俺が五歳くらいになったところで狩りを手伝うようになってからは、毎日のご飯におかずが一品増えてより食卓が豊かになった。
「とーさん、ウサギしとめた!」
「シン、もうそんなすばしっこい獲物を狩れるのか? 俺はまだ収穫ゼロだってのに、父親の立つ瀬がないぞ」
「えへへ~」
父さんの呆れ声と同時に降ってくる優しい手のひらが頭を撫でる感触に、自然と表情が緩んでいくのを感じる。
精神年齢は父さんより少し下あたりだけど、肉体年齢に引っ張られてか褒められるとすごく嬉しい。
それもこれも、高校生の精神状態でしてきた赤ちゃん時代の修業のおかげだ。
内容は転生ものではあるあるな魔力操作。『全属性魔法』のスキルで魔法の才能があることは知ってたから、今の内に魔力総量とか操作技術とかを磨こうと思ったんだ。
後は『鑑定』。これが使えたら確実に楽になるはずなので、片っ端から『鑑定』を使って一日を過ごしたことも多い。
どちらも感覚的な慣れが必要で最初は何度も気絶してたから、両親には昼寝が多い子どもと思われたらしい。まさか、誰も魔力欠乏による気絶とは思うまい。
とまあ、転生特典とも言うべき幼少期を過ごして得た技術は多い。今日も『身体能力強化』を目に集中させた『千里眼』で、ウサギの動きを見通したから簡単にしとめられた。
『状態異常無効』のおかげで風邪を引いたこともなく、元々のスペックを考えたらちょっとずるいとは思うけど、それなりの努力も重ねているから大目に見てもらおう。
「ただいま~」
「おかえりなさい」
それから大きなイノシシを一頭、父さんと一緒にしとめて昼過ぎに帰宅した俺たちは、母さんと妹のナナに出迎えられた。
「おにーちゃん!」
「ナナ、おとなしくしてた?」
「うんっ!!」
真っ先に俺に飛びついてきたナナに、自然と笑顔になって頭を撫でてやる。すると、ナナもくすぐったそうにしながら満面の笑みを向けてくれた。
ナナは母さんをそのまま小さくしたようなかわいい女の子で、将来は絶対に美人になる。それに生まれた頃から俺によくなつき、すでに自他ともに認めるシスコン・ブラコン兄妹になってしまった。
「おにーちゃん、あそんで!」
「いいよ」
二児の親になってもまだラブラブな父さんたちに一声かけて、夕方までナナと遊ぼうと外に出る。
「ナナちゃんとあそぶの? わたしもまぜて!」
するとお隣の女の子、マリアと遭遇する。
マリアもナナとは少し違うタイプの将来美人になる女の子で、ナナがかわいい系ならマリアはきれい系。女の子が憧れる感じのきりっとした顔つきだ。まだ五歳なのに。
マリアの両親は王都に住んでいたけど、父親の怪我をきっかけに生まれ故郷のこの村に帰ったらしい。流れ者だった父さんたちとは別の意味で村には似つかわしくない美形夫婦だ。
奥さんは爵位の低い元貴族って話もあり、どこか品のあるマリアの顔立ちや振る舞いは、俺たちとは住む世界が違うかも……と思わせる。
とはいえ、マリアの親父さんは平民上がりの騎士だったらしく、その血が濃いのか性格が男っぽい。木の棒片手に男の子とチャンバラなんて日常茶飯事だ。
実際に村の子どもたちのガキ大将はマリアだ。年上の男の子と喧嘩をしても勝っちゃうくらいだから、みんなマリアの前じゃ大人しい。
そんなマリアに俺があっさり勝っちゃった後は、結構な頻度でからまれるようになったけどね。
最初は一方的に喧嘩をふっかけられてばっかりだったが、一ヶ月もすればナナと一緒に三人で遊ぶことが増えるほど仲良くなった。
子ども特有の柔軟さもあるけど、たぶん大きかったのは遊びの内容がマリアの性に合ってたからだろう。
「じゃあ、ナナはまほうでおてだまを、マリアはおれとけんでしょうぶだ!」
「わかった!」
「きょうこそわたしがかつからね、シン!」
俺の言葉にナナは少し離れた場所に座り、マリアは開始の合図も定めないまま挑んできた。
俺は将来、冒険者になりたいと思っている。父さんや母さんの話では危険なこともいっぱいあるって聞いたけど、それ以上に格好良かったからだ。
冒険者一本で生計を立てるのは難しいらしいとは聞いた。でも、力があれば何とかなる! ということでさらに体を鍛えるようになった。
それからナナに魔法の才能が発覚してからはこっそり魔法を教え、マリアも父親譲りの運動神経で俺の鍛錬に乱入してからは一緒に我流の稽古をしている。
なんだかんだあったが、こうして一緒に『遊ぶ』のが普通になっていた。
今は五歳だからできることは限られてるけど、体が大人になってくればできることは増えるし、どうせなら最強を目指してやる!
そう考えながら、今日もマリア相手に剣を振り回す。
「やあっ!」
「あっ!」
俺の魔法で作った木の剣で打ち合っていたマリアの手から、木剣が弾かれた。
「ナナ、まほうのちからをつよめすぎ」
「きゃあ!?」
ついでに、魔力が強すぎてサイズが大きくなっていたナナの魔力球を、同じ威力に調節した魔力弾で相殺させた。
「くそーっ! シン、もういっかいしょうぶよ!」
「むー、ろっこよりおおいとむずかしいよー」
「マリアはあせりすぎ。ナナはもっとしゅうちゅうしないと、あぶないよ?」
二人と同じく俺もまだまだ子どもで未熟だが、先生風を吹かせてアドバイスなんかをしてやる。
こうして、俺の子ども時代は過ぎていった。
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十五歳になった。
「――はあっ!!」
懇意の武器屋に無理を言って作ってもらった日本刀を振るい、ダンジョンボスだろうドラゴンの首を切り落とす。
生首と胴体が力なく地面に落ちてもしばらくは警戒を緩めず、おかしな気配や魔力の流れがないことを確認して、ようやく息をついた。
「やったね、お兄ちゃん!」
「くそっ! またシンに先を越された!!」
「うひゃー、鱗ごとバッサリ。そんな細腕で、どんな馬鹿力してんだよ」
背後からは、俺の仲間達がそれぞれ声をかけてくる。見た目は俺と同じくみんな結構ボロボロだが、表情は安堵が浮かんでいた。
「力というより、この武器と俺がしてきた鍛錬の相性がよかったんだよ」
真っ先に近寄ってきたナナには頭を撫でてやって労い、残った余力で噛みついてきそうなマリアをスルーして、軽薄そうな軽戦士・ノアの言葉に肩を竦める。
本当は最初から日本刀を扱えるよう意識した鍛錬をしてきたんだけど、別に説明する必要はないだろう。西洋剣の重量で叩き潰す! ってやり方に違和感があったのも事実だし。
「さて、疲れているところ悪いが、討伐部位を剥ぎ取ろうか。運搬は俺の『無限収納空間』でやるから、それ以外はそのままでいいや」
「は~い」
「わかったわよ」
「う~っす」
便宜上、このメンバーじゃリーダーである俺の号令に、各々から返事をもらって作業を始める。
見ての通り、俺は念願の冒険者となった。
本来なら俺は長男だから、家を守るために父さんの仕事を継ぐのが普通なんだけど、あれから新たに弟と妹ができたから、何とかなるだろう。両親の頑張りに感謝だ。
十五歳で成人してすぐに父さんと試合をして実力を認めさせ、村を出る許可をもらったのがだいたい半年くらい前。
その時、意外だったのか予想通りだったのかわからないけど、ナナとマリアもついて行くと言い出し、俺と同じ力業の説得で無理やり親を認めさせた。
小さい頃からの『遊び』のおかげだろう。ナナは母さんよりもすごい魔法使いに、マリアは元騎士のおじさんを軽く捻るお転婆に成長していた。
一応、肉体言語だけじゃなく人類言語の説得もしたぞ?
俺がバランス型の魔法剣士、ナナが後衛特化の魔法使い、マリアが前衛特化の剣士であり、三人一緒なら危険は小さくなると言えば、父さんたちも最後には折れてくれた。
そうして俺たちは近くの冒険者ギルドがある都市へ向かい、無事に登録完了。三人でパーティーを組んで色んな仕事をこなしていった。
「おい、シン! この爪、クソほどかってーぞ!!」
「(ダンジョンで大声出すな! お前本当に自称斥候か!?)」
すると、不意に馬鹿でかい声を出したノアに、周囲の警戒をしていた俺は小声で叫ぶ。
……ノアとのつき合いはまだ二ヶ月ほどなのに、『小声で絶叫』なんて妙な技能が身についたもんだと呆れるばかりだ。
一般冒険者よりもハイペースでランクを上げていく間に出会ったのが、俺の二つ年上のノア。ゲーム的な説明で言えば、『盗賊』っぽい役割を自認している。
ノアという人間を一言で表すなら、残念なイケメン。
容姿は二枚目なのにチャラい雰囲気のせいか女性にはさほどモテず、斥候が専門という割に行動は迂闊でおっちょこちょいなお調子者。
目に付く印象に注目すると、あんまりいいところがないように思えるが、ノアは何もできないわけじゃない。
パーティー最年長な分知識や経験が豊富で、貴族や商人相手の交渉術は毎回驚かされる。他にも、哨戒は下手だけど戦闘における敵の行動阻害や罠解除の技術は卓越していて、助けられた場面は何度もある。
……今回のように、ダンジョンの浅い階層に現れるオーク討伐依頼が、ノアのおっちょこちょいで転移罠にかかってドラゴン討伐にシフトしなければ、素直に褒められるんだが。
罠の解除は得意なのに、罠を見つけるのが下手ってどういうことだ! と文句を言いつつも、どこか憎めないのがノアという男だ。
「お! 転移魔法陣発見! ここから戻れるんじゃね!?」
「(だから大声を出すな! わざとかお前!?)」
その後、ドラゴンの亡骸を『無限収納空間』に保管してから、ボス部屋らしき部屋の探索でノアが見つけた魔法陣に魔力を流し、何とか元の場所に戻れた。
ちなみにドラゴン討伐でまたランクが上がったが、今までの昇格も八割がノアのポカが原因だったりする。
怪我の功名とは言うが、毎回大怪我な気がするのはたぶん正しい。
「やー、わりぃわりぃ! 許してちょ?」
『少しは反省しろ!!』
臨時収入と生還祝いを兼ねた食事会にて、星でも飛ばしそうなウィンクとともにほざいたノアに、俺とナナとマリアは毎度のごとくジョッキの底を机に叩きつける。
これが、今ギルドで話題になっているらしい新進気鋭のCランクパーティーの通常運転だ。
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冒険者としての活動は山あり谷ありで、あんまり落ち着く暇もなく時間が過ぎていった。
気づけば俺も十八歳になっていて、パーティーランクも最高のSランクにまで上がっていた。
財宝や魔物の素材が手に入るダンジョン探索だけでなく、冒険者以外の活動でも武運を広めていく。
その過程で、新しい仲間も増えた。
一人は数年に一回開かれる闘技大会の決勝で戦ったエルフ族で、名前はフューリ。
前世の俺がイメージした見た目そのままに細長い耳と華奢な肉体な超絶美人で、実年齢244歳とパーティーメンバーの最年長記録を一気に更新した女傑である。
フューリの戦闘スタイルは、有り余る魔力の大半を身体能力強化にぶち込んだ、徒手空拳のパワーファイターだ。完全な見た目詐欺だと声を大にして言いたい。
それだけならまだよかったのだが、エルフ族特有の精霊魔法の適性もスバ抜けていて、決勝試合でもテンションが上がったフューリは途中から精霊魔法も使ってきやがった。
俺が相手じゃなかったら、精霊魔法の流れ弾で観戦者にかなりの被害が出ていたはずだ。魔法の照準はすべて俺に向けられてはいたが、避けられた後の想定はしていないとすぐにわかり、全部打ち消すのには骨が折れた。
最終的には何とか俺が競り勝ち、優勝。どっと疲れて宿屋の布団でぶっ倒れた翌朝、俺を執念深く探し出したフューリは『勝つまでつきまとってやる!』というありがたい宣言の後にパーティーへ押し掛けたのだ。とんだ迷惑である。
もう一人は政敵にはめられた王族の姫で、回復・補助魔法が得意なセーラ。
普段は大人しくて気が小さい生粋のお嬢様だが、芯が強く頑固な一面もある俺の一つ年上の女の子。
王族でありながら聖女見習いという肩書きで教会に所属していたセーラは、裏切った貴族の魔の手からギリギリのところで逃れるも、逃走先で追っ手にやられそうになっていた。
そこを偶然助けたのが俺たちだ。成り行きでセーラを助けてからは、なし崩し的に隣国の政争に首を突っ込むことになり、最後に国王の座を狙っていた貴族を打倒して、恩を返したいからとパーティーに加わったのだ。
その際セーラは、処刑された王族の生き残りという身分にありながら、俺たちに味方してくれた公爵を次期国王にごり押しし、お姫様に冒険者をやらせるのは……と渋った俺たちに有無をいわせぬ笑顔でパーティー加入を押し通したりと、かなりごうい――芯の強さを見せつけた。
ちょっと世間ズレして天然な部分もあるが、治療やサポートでとても頼りになる仲間だ。……日常的にセクハラをかますノア相手だと鬼神になるが、俺は何も見ていない。
とまあ、六人で活動していく内にSランクに上がり、ギルドからも『経歴とか見た目とかがなんかそれっぽい』という理由で、公式に『勇者パーティー』と呼ばれるようになった。
何だ、それっぽいって。
「シンとその仲間達よ。復活した魔王討伐の任、見事成し遂げてみせよ!」
『仰せのままに』
とかツッコんでたのが、今じゃ懐かしいよ……。
そう。
この度俺たちはめでたく、数百年の封印から解き放たれた魔王を討伐するようにと、俺の祖国を治める国王陛下から指名依頼を叩きつけられたのだ。
心の中では『勇者』って通り名だけで人選決めんなよとか、報酬は完全後払いってケチすぎるだろとか、せめて魔王とぶつかるだけの戦力を融通しろよとか、謙虚な俺は思っていない。
『断っても構わないが、私の治世が届かぬ辺境の被害は免れないだろう』とか、遠回しに俺とナナとマリアの故郷を脅迫材料にしてきやがったり。
『そうそう我が国とは関係ないが、魔王の勢力はエルフ族の住まう森を襲撃したらしい』とか、フューリの押しちゃいけない類のボタンを連打しやがったり。
『そういえば隣国は今も先の政変で国内情勢が芳しくないようだが、かの姫君はどうお考えかな?』とか、セーラに外交圧力をチラつかせてきやがったり。
思った以上にゲスでクズな国王だったから全部終わったら一発ぶん殴ってやるとかテメェの寝室にピンポイントで魔王を放り込んでやろうかとかむしろ俺の魔法で今すぐ吹っ飛ばしてやろうかとか、礼節を重んじる日の本魂を忘れない俺は思っていないのだ。
「……こうなったら仕方がない。魔王を倒して、あいつも締め上げるぞ!」
『おーっ!!』
プライベートではほとんど息が合わない『勇者パーティー』が、初めてメンバー全員の意見を一致させた瞬間だった。
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魔王との戦いは苛烈を極めた。
魔王はどうやら魔物を隷属させ、さらに能力を引き上げる力を持っていたようで、今まで相手にした魔物とは比べものにならない強さだった。
最初は苦戦する場面も多かったが、頭打ちだと思っていた俺たちにもまだ伸びしろがあったようで、戦闘を重ねる内に実力が上がっていった。
それはたぶん四天王の中で一番最弱だと思われる幹部の一体を倒してからも上がり続け、パーティーの空気がどこか『このままいけば勝てる』と思い始めていた。
「が、はっ!?」
「しまった! ノア!!」
そんな、俺自身も知らない内に抱いていた油断が、原因なのだろう。
二体目の四天王が指揮する魔王軍との戦いの中で、あろうことか俺は魔法の操作を誤り、ノアに当ててしまったのだ。
俺と四天王が戦闘していた中を、他の魔物相手に立ち回っていたノアが横切ろうとしたことに、俺は直前まで気づけなかった。
仲間が他の魔物を相手取る中、実質俺と四天王が一対一で戦っていたことで、周囲への集中力が散漫になっていたが、そんなこと言い訳にすらならない。
そして、魔物に囲まれ自分のことで手一杯だったセーラの治療も間に合わず、俺が四天王を倒した頃にはもう、ノアの命は消えかけていた。
「すまない、ノア! 俺の、俺のせいでっ!!」
「……シ、ン……」
「ノア……?」
「…………ゆる、す……――」
「――ノアァッ!!」
いつもミスをして、俺たちに怒られてもケロっとして笑っていた、ノアは。
最後の最後で、致命的なミスを犯した俺を、笑って、許して、逝った。
うっすらと微笑む亡骸を抱いて、俺は死にたくなるくらいの後悔のままに叫んだ。
俺は、俺のミスで、仲間を殺した。
その事実は、魔王との戦いで受けたどんな傷よりも深く、痛かった。
「大丈夫だよ。お兄ちゃんには、私がついてるから」
それから何とか落ち着ける場所まできたところで、ナナは俺の背中を撫でながら慰めてくれた。
常々ナナの誇れる兄であろうとしていた俺は、初めて妹にすがって、泣いた。
「いつまで腑抜けてるつもり!? いつものシンじゃないと、張り合いがないじゃない!」
翌日、マリアは暗い顔をしていたらしい俺を連れだし、無理やり稽古を迫ってきた。
初めて俺に勝ったっていうのに、マリアはちっとも嬉しそうにせずに、泣きそうな顔で怒っていた。
「…………ふん」
その様子を近くで見ていたフューリは、走り去ったマリアの背中を追うように俺から視線を切った。
後になって、ずっとしつこく俺との戦いをせがんでいたフューリが、この日初めて俺に一度も声をかけてこなかったことに気づいた。
「すみません、シン様……。私が、私がもっと早く、ノア様を助けてあげられていれば、っ!!」
惨めで、情けなくて、何もする気が起きなかった俺は、宿屋の部屋に戻るとセーラから泣いて謝られた。
血を分けた家族が殺されたと知った時も泣かなかったセーラが、初めて泣きじゃくる姿を前にして、俺は彼女を抱きしめることしかできなかった。
(…………ゆる、す……――)
夜。
俺はベッドに寝ころびながら天井を仰ぎ見て、一人、ノアの最後の言葉を思い出す。
ノアは、俺の間違いを許してくれた。
でも、もしノアが今の俺を見たら、同じ言葉をくれるだろうか?
――しっかりしろよ、シン。らしくねぇぞ!
「……今、何時だと思ってんだ。…………バーカ」
静かにしないといけない時に限って上がる、底抜けに明るい大声が、どこかから聞こえた気がした。
あの時、ノアの背中を支えた右腕で両目を覆い、もう届かない悪態をこぼして、意識を闇に落としていった。
「――ごめん。迷惑をかけた」
翌朝俺は、パーティーメンバーに改めて頭を下げて謝罪した。
「こんな俺でもいいというなら、このまま、魔王を倒すために力を貸してほしい」
そして、新たな決意を胸に秘めて、この場でもう一度彼女らに助力を請う。
「家族や友達を守り、ノアと俺たちで交わした約束を果たすために」
――魔王を倒したら、国王も締め上げる。
考えて、考えて、考えた末。
お調子者で楽しいことが好きだったノアに俺がしてやれることは、冗談みたいな口約束を実現させてやることだと、思ったんだ。
だってあいつ、自責とか後悔とか復讐とか湿っぽいの、すっげぇ嫌いだったから。
あいつが笑ってくれるだろう馬鹿をしてやるのが、精一杯の手向けになると、信じたかった。
「もちろん。私はいつだって、お兄ちゃんと一緒だよ」
「ようやくらしさが戻ってきたようね! いいわ、付き合ってあげる!」
「なんだ、いじけたのはやめたのか? なら、野暮用がすんだ後であたしともケリつけようぜ?」
「私はまだ、シン様に受けたご恩のすべてを返せておりません。それまでは、どこまでもお供いたします」
すると、ナナもマリアもフューリもセーラも、笑顔で俺の手を取ってくれた。
「――ありがとう、みんな」
そんな頼もしい少女達の姿に、俺はノアを失って初めて、笑うことができた。
――だが。
――ここから。
――ナニカが。
――狂い出す。
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大切な仲間を失ってからも、俺たちは魔王討伐を続けていく。
だが、ノアの抜けた穴は俺たちが想像していたよりも大きく、魔王軍との戦闘で危ない場面も増えていった。
ノア個人にはわかりやすい戦果などなかったが、俺たちが動きやすいよう巧みにサポートし、支えてくれていたことを改めて実感させられる。
感傷に浸る間もなく進む戦況の中、新しい仲間を迎えるのは個人の負担を考えると当然だった。
しかし。
それ以降、俺は『小さな違和感』を抱くことになる。
最初に加入したのは、魔王の支配地域の隣でもっとも侵攻が激しい国に所属する、騎士の中年男性。
この頃になると、冒険者として魔王軍との戦闘に参加しているのはごく少数となり、すでに固定パーティーが確立されていて勧誘などできなかった。
だからダメ元で戦線にいた騎士団と交渉したんだが、意外にも志願してくれたのがその人。
戦闘能力はそれなりに高く、ノアほどでなくとも俺たちの役割にあわせて行動をしてくれるし、脳筋エルフよりも大人な目線をしていて頼りになる仲間だと思っていた。
後に、彼の正体が三人目の四天王の配下だったと知るまでは。
俺たちを脅威と認め暗殺するために送られた刺客だったようで、魔王軍との大きな衝突が生じた乱戦時に背後を狙われた。
今度こそは、間違えない。
そう考えていた俺だったが直前まで騎士の裏切りに気づけず、結局彼と最後まで協調しなかったフューリによって助けられた。
「きな臭い感じがしたんだよ。勘だがな」
感謝とともにどうして騎士の裏切りを察せたのかフューリに聞くと、返ってきたのはそんな言葉。
普段の様子から忘れがちになるが、フューリも長命なエルフ族。俺たち人間とは違う視点があるのだろうと、その時は納得した。
……フューリの勘が、『俺たちの都合がよくなる状況』にのみ働かなければ、いつまでも信じていられただろう。
「……どうなってるんだ? 一体…………」
三人目の四天王を打倒したこの日、俺は一言断った後で宿泊施設の部屋に戻り、ドアを背もたれにへたり込んだ。
暗殺者を送り込んできたことからわかるように、三人目の四天王は奸計を巡らせる狡猾な戦い方を好んでいた。
逃げ回る奴をようやく倒すことはできたものの、それまでの間に出会った人が四天王の差し金だったということが、何度か続いていた。
最初の騎士以降、パーティーメンバー以外に対して人間不信になっていた俺は、精神的な疲労を常にため込むようになった。
それでも人間側の勢力として戦いに参加している以上、他の人々を無視して行動することはできない。
疑心と警戒が先立つ人間関係の中で見つかった刺客は、最初の騎士を含め全部で四人。
そのうち三人が男であり、二人はフューリのいう『勘』で発見されて。
残る一人は先ほど四天王を討った戦闘にて、ある魔族の少女が正体を看破し、俺たちに教えてくれた。彼女が最後の刺客だ。
一緒に行動するようになった後、偶然俺が偽装を解いた姿を目撃し、一悶着あってから逃げる彼女を見逃した。その後、葛藤の末に同族と袂を分かつ決意をし、俺たちの手助けをしてくれたようだ。
彼女が言うには、自分を道具としてではなく個人として尊重してくれた俺たちと接する内に、本当の仲間になりたいと思ったのが決め手らしい。
ナナもマリアもフューリもセーラも少女の言葉を素直に信じ、仲間として歓迎していたが、俺だけは違った。
みんなが肯定的な空気を醸す中で『それ』を明確に表へ出すことはできず、俺は適当に話を合わせてからこうして逃げてきたのだ。
ようやく一人になって、『それ』を強く意識してしまって、俺は無意識に膝を折り畳んで頭を抱える。
「どうして――」
一度意識したら、止まらない。
「どうして、こんな――」
だって、おかしいじゃないか。
「『ネット小説の主人公』みたいに、『俺』に対して『都合のいい事』が、続いてるんだよ?」
分からない。
気持ち悪い。
吐き気がする。
胸にずっしりとたまる澱が、呼吸すらも重く感じられる。
今、俺が生きているのは、娯楽で作られた世界なんかじゃない。
楽しいことだけじゃなく、つらいことも苦しいこともそれ以上に存在する『現実』だ。
なのに気がつけば、俺がたどっている道は、前世の知識にある物語と酷似しすぎている。
確かに俺はこの世界にきた経緯から様々なネット小説を思い浮かべ、大きく影響されたことは間違いない。
神様と出会ってチートをもらい、前世から引き継いだ人格と知性を利用し努力を重ね、『最強』になりたいと憧れ冒険者になった。
でも、それだけだ。
俺が読んできた『ネット小説の主人公のようになりたい』とは思っても。
『ネット小説の主人公とまったく同じになりたい』だなんて。
ただの一度も考えたことはない。
男主人公のネット小説で多く見かけた妹や幼なじみがいて。
ファンタジー小説で定番だったエルフや聖女と親しくなり。
転移・転生系小説でお決まりの敵だった魔族や魔王との戦いに参加し、時に和解して。
冒険系小説で多く見かけたが、普通なら問題が多すぎてあり得ない、ハーレムのような男一人と美少女たちで構成されたパーティーに。
今、成っている。
まるでそうなることが、当たり前のように。
俺の二度目の人生は、ネット小説の後を追うようなものでしか、なくなってきている。
おそらく、この世界では俺しか知ることのない『既視感』に、俺は恐怖せずにはいられない。
だって、それは。
いつの間にか俺が、まったく意識しない内に。
俺と同じ『ネット小説』を知る、何者かの意志によって。
『都合のいい人生』になるよう仕向けられているということに、ならないだろうか?
俺は本当は、『誰か』を楽しませるだけの傀儡でしかなくて――
俺が得てきたと思っていた『力』は、『誰か』から与えられたものでしかなくて――
今まで歩んできた『過去』がそうならば、『未来』もきっと、そうなっていくんじゃないだろうか――?
そんな、根拠がまるでない……でも全身を虫が這いずり回るような嫌悪感や怖気が、拭えない。
――百歩譲って。
俺の人生だけが『道化』なら、まだいい。
だがもし。
もしも、だ――っ。
俺を監視し動かしている『愉快犯』が……。
戯れで俺だけが、『都合のいい結果』を得られるように……。
俺に関わったすべての人たちが、『都合のいい結果』になるよう、巻き込まれたのだとしたら…………。
ナナに、マリアに、フューリに、セーラに、魔族の少女に、
何より、…………ノアに、っ!!
おれっ、は――!!!
どう償ってやれば、いいっていうんだよっ!!!!
「――シン? 大丈夫?」
思考の泥沼にどこまでも沈んでいきそうになった、その時。
扉の向こうから、マリアの心配そうな声が聞こえてきた。
体調不良を理由に引きこもってから、それなりの時間が経ってしまったらしい。
俺にとっては、ほんの数分にしか感じなかったんだけど。
俺の精神と同じくらい、時間感覚も狂ってしまったんだろうか?
それとも、こんな小さなことでさえも、『誰か』の作為が働いているのだろうか?
……俺には、わからない…………。
「……大丈夫だ。心配かけたな」
もはや自分自身すら信じられない、ボロボロな心理状態でも。
俺は部屋を出て、マリアを安心させるように笑顔を浮かべる。
他のみんなに話してもわかってもらえないし、わかってもらえるだなんて思っていない。
だってこれは、『転生』だけでなく『ネット小説のテンプレ』という概念を知っていなければ説明が難しい。
説明したところで、俺の頭がおかしくなったと思われるのが関の山。
たとえ理解してもらえたとしても、証拠も根拠も解決策も何もない、いうなれば『運命陰謀論』であって、俺が聞く側ならただの『被害妄想』だと断じる話で――
……『妄想』?
(――ぁ!)
――そうだ。
――もしかしたら、俺の考えすぎな妄想なのかもしれない。
――たまたま、本当にたまたま。
――俺ガ歩んできた道ガ前世で得た物語と重なっただけかもしれないんだ。
――ワざわザ吹聴する必要なンて、ないじゃナいか。
――俺ハもウ、完全に、俺自身ヲ信じらレなくなッた。
――デも、俺にハ、
――俺ナンかよリもズッと頼れテ、信じラレる『仲間』たちガいる。
――余計な不安や負担は背負わセたくナイし、異常者だと思わレたくなイ。
――今、『仲間』かラ見放さレテ、独リにサレてシマッタら、
――俺ハ、確実ニ、狂ッテシマウ。
――ダカラ……
「ご飯の用意ができたから呼んだんだけど、ずいぶん顔色が悪いわよ? 無理してない?」
「――大丈夫だって。自分でも気づかない疲れが、たまってたんだと思う。ご飯を食べてしっかり寝れば、きっとよくなるから」
「……なら、いいんだけど」
……俺ノ異常ハ、俺ノ胸ノ内ニシマオウ――
今ハソウ、魔王ヲ倒シテ、のあトノ約束ヲ果タスコトダケヲ考エレバイインダ――
ウン、ソウダ――
明日モガンバッテ、戦イヲ終ワラセヨウ――
ダッテ、イツカ、キット――
『都合ノイイ結果』ハ、訪レルンダカラ――
~~・~~・~~・~~・~~・~~
……ねむい
「 ――――っ! 」
ああ、しぬんだな、おれ……。
「 ――――っ! 」
まおうと、たたかって。
しにかけて、しねなくて、いきのこって。
「 ――――。 」
なかまを、ぜんいん、まもって。
ノアとのやくそくを、まもって。
「 ――――っ!! 」
おうさまのあくせいをあばいて、かわりにおうさまになって。
みんな、おれのことをすきだといってくれて、けっこんして。
「 ――――。 」
たくさんのつまとこどもに、かこまれて。
かぞくも、こくみんも、しあわせにして。
『 ――――っ!! 』
ようやく、しねるんだ……。
いきるという、じごくから、かいほうされるんだ…………。
『 ― ― っ ! 』
……あぁ。
いまなら、できる。
『 ― ― ! 』
シンというにんげんを、えんじなくても。
こころのそこから、おれは――
『 ― っ 』
わらえる。
『 ― 』
なける。
『 』
いきていると、じっかんできる。
『 』
ようやく、おれは――
「 あ り が と う 」
――じゆう、なんだ……
「 あ !」
――――
「 く ぞ !」
―――。
「わ 、だ せ 」
――だ。
「 っ な とこ だ」
―そだ。
「なまえ にが い?」
うそだ!
「名前は、『シン』だ!」
「おぎゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
――うそだああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
~~・~~・~~・~~・~~・~~
「名前は、『シン』だ!」
「おぎゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
――何度も――
~~・~~・~~・~~・~~・~~
「名前は、『シン』だ!」
「おぎゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
――ナンドモ――
~~・~~・~~・~~・~~・~~
「名前は、『シン』だ!」
「おぎゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
――なんども――
~~・~~・~~・~~・~~・~~
「名前は、『シン』だ!」
「おぎゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
――何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども何度もナンドモなんども――
~~・~~・~~・~~・~~・~~
「名前は、『シン』だ!」
「おぎゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
――もういやだ!!もうやめてくれ!!もういきかえりたくない!!もうしなせてくれ!!もうおわらせてくれ!!なんどもてんせいしたんだ!!なんどもなんどもちーとのうりょくで!!なんどもなんどもなんどもさいきょうになって!!なんどもなんどもなんどもなんどもはーれむをつくって!!なんどもなんどもなんどもなんどもなんどもてきをたおしてきたんだ!!なんじゅうなんびゃくなんぜんなんまんものいせかいで!!にんげんもまぞくもまものもじゅうじんもえるふもどわーふもてんしもあくまもまおうもかみもせかいもじぶんも!!ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶころしてきたんだ!!もうじゅうぶんだろう!!もうまんぞくしただろう!!もうつかいつぶしただろう!!まだたりないのか!!まだみたされないのか!!まだりようしなきゃきがすまないのか!!これいじょうおれになにをさせたいんだ!!これいじょうおれになにをもとめているんだ!!これいじょうおれをどうしたいっていうんだ!!おれはあたえられたちからをふるっただけだ!!おれはあたえられたえいこうにしたがっただけだ!!おれはあたえられたやくめをはたしただけだ!!それなのに!!それなのにそれなのに!!それなのにそれなのにそれなのに!!このしうちは!!このれんさは!!このじごくは!!あんまりじゃないか!!りふじんじゃないか!!ひどすぎるじゃないか!!げんかいなんだ!!やすませてくれ!!ちりものこさずけしてくれ!!こんなのふざけてる!!こんなのまちがってる!!こんなのくるってる!!なにもいらない!!なにものぞまない!!なにもさからわない!!だから!!ねむってもいいだろう!!ねむらせてくれ!!ねむりたいんだ!!おねがいだから!!――
~~・~~・~~・~~・~~・~~
「名前は、『シン』だ!」
「OGYAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaa!!!!」
――『シン』を!! 消滅させてくれ!!――
~~・~~・~~・~~・~~・~~
…………異世界チート転生
~~・~~・~~・~~・~~・~~
……最強成り上がりハーレム物語……
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俺の……戦いは…………
~~・~~・~~・~~・~~・~~
まだまだ…………続く……………………
~~・~~・~~・~~・~~・~~
以上、ストレスだけで書き上げ、執筆中に作者自身がドン引いた問題作でした!!
拙作の感想は一切お返事しませんが、ストレス発散のはけ口にしてください!!
罵詈雑言を並べれば、多少すっきりするかもしれませんよ!!
※以下は本作品の解説(という名の蛇足)です。
ちょっと長いですが、興味がある方はどうそ。
この闇鍋に詰め込んだ私の怨念が覗けますよ。
興味のない方は、最後まで読んで下さってありがとうございました。
作者の闇が伝染しきる前に、今すぐブラウザバックをしましょう!
さぁ、早く逃げて!!
・この作品のコンセプト
一言でいえば『作者がイメージする冒険最強チートハーレム系なろうテンプレで創作されたエターナル作品の二次創作』。
――全然一言じゃないって? 細かいことは気にしないで!
・タグについて
ぱっと見で一部がバグってて、なんか気持ち悪いな、と思われたかもしれません。
正体はただの言葉遊びです。拙作の雰囲気を知ってもらう意図もありましたが、それはおまけで。
まず、変なタグを改めて抜粋します。
ちh eぃ bと さoい tき ょaう ごrつごeうしゅdぎ なrり rあ がeり はoぁ naれ nむ はrっぴlぃえんdど
これを改行処理し、見栄えがするよう★ります。
★ ★ ★
★ちh eぃ bと★
★さoい tき ょaう★
★ごrつごeうしゅdぎ★
★なrり rあ がeり★
★はoぁ naれ nむ ★
★はrっぴlぃえんdど★
★ ★ ★
それから、だいたい向かい合う★を直線で結んで浮かび上がる単語を抽出すると――
・横読み(上から)
ちぃと=チート
さいきょう=最強
ごつごうしゅぎ=ご都合主義
なりあがり=成り上がり
はぁれむ=ハーレム
はっぴぃえんど=ハッピーエンド
・縦読み(左から)
horror=ホラー
eternal=エターナル
badend=バッドエンド
――以上、隠しタグがあったよ、という小ネタでした。
・主人公『小切成男』→『シン』について(※個人の偏見です)
転生前の名前は『小説家になろう』から変化。小説→小切・なろう→成男。
――正直に言おう。考えるのが面倒だったんだ。
転生後の名前は作者の頭の中にあるテンプレ作品の、男性主人公で多く見かける気がするものを採用。
――きちんと統計は取ってないし、あくまで主観的意見なのでスルー推奨。
ネット小説やテンプレ小説を知る、自称『普通の高校生(中学生でも可)』。君のいう『普通』って何? って聞いてもたいてい教えてくれないか答えられない。
――おそらく、『なろうテンプレの元ネタの普通だよ察しろよ』というメッセージか、『各テンプレ作品作者の普通』を反映しているんじゃないかな? 予想だけど。
やたら最強になりたがったりハーレムを作りたがったりざまぁしたがったりするが、確固とした信念を持つことは意外と少ない。むしろ時間経過で意見が二転三転する。
――物語において爽快感や鬱展開からの解放は大事だが、結果重視でストーリーの過程や整合性がおそまつじゃ納得しがたい。
主武器に『刀』をよく見かける。製法がまるで違う刀をわざわざ作る(作らせる)必要性はどこに? 実際の『刀』は切れ味を追求したため細身で扱いが難しく、こまめな手入れが必要なほど繊細。素人が手を出す武器ではない。
――刃が欠けたりさび付いたり、にわかで扱えばすぐ折れる対人武器。魔物はもちろん、中世ヨーロッパ的世界観で主流な『重さで叩き切る』西洋剣とも相性は悪い気がする。魔法云々で補強する手間を増やすなら、現地武器の剣術流派を習った方がいいと思う。浪漫だけで飯は食えない。
魔物や魔王と戦うのもいいけど、冒険者ランクが地球産アルファベット表記という違和感とも戦って欲しい。世界が違うのに同じ文字があるなんて、どんな確率?
――『ファンタジー』という言葉からか、ゲーム的感覚が強すぎる気がする。ゲーム類似世界ならギリセーフだが、関係ないなら別途考えるべき。Sランクとかより黄金級みたいな方がまだそれっぽいと思うがどうだろうか?
おっさんやイケメン相手には割と容赦がないが、美女・美少女相手にはやや(かなり?)甘い。特に主人公(……作者?)の好みと読者の人気が高いヒロイン系キャラは、多少強引な展開や理由を用意してでも仲間に引き入れる傾向がある。
――身近に女の子はそんなに必要かい? 男一人って想像以上に針の筵で疎外感すごいよ? それに、リアルハーレムなんて主従関係か経済的問題か精神的拘束などが原因だから、恋愛要素は限りなくゼロだし男の負担ハンパないよ?
一見すると自分から行動して事件を解決しているように見えるが、『最強になる』などという曖昧な動機だけで冒険者という危険な職業に就き、仕事をこなす内に向こうからやってくる問題(戦闘や恋愛などジャンル問わず)を受け身で対処することが大半。
――でも、作者が書く主人公はすでに存在する問題に土足で突っ込んでくタイプが多いから、ちょっとうらやましい。サブキャラなんか少し目を離した隙に問題を余計に炎上&延焼させやがる。あいつら、ぜんぜん言うこと聞かない……(以降省略)。
総合して『自分』がなさすぎるため、非道な作者に目を付けられて己の人生を無理矢理客観視させられても、自分の力で切り開く力も度胸もなく他者や状況に依存するしかなくなった。現実逃避と責任転嫁で、何度人生を繰り返しても結果が同じになる。
――エタったテンプレ作品主人公たちの象徴として描写したつもり。描かれるのはコピペできる展開までで、物語の終わりなんて最初から存在しない。同じような展開を、ちょっとした変化だけでやらされ続けるのはまさに地獄。
総評……少年よ、大志を抱こうぜ!
・神様とのやりとり(※個人の偏見です)
たいてい主人公が誰かをかばったり事故から逃げそびれたりすると、ドジっ子と面会する機会が与えられる。呼ばれたか会いに来たかはドジっ子の性格による。ショタ、ロリ、じじい、グラマラス美女などレパートリーは多い。
――ミスった一人のために出向くなんて、神様って意外と閑職? それか、神様を自称する天使なのかな? 下位存在からしたら、初見で上位存在かどうか見分けるなんてできないだろうし。下っ端はツラいね。
たいていの設定では魂の管理を行うような超常の存在なのに、やたら下手(ないしは同格目線)に出て謝罪や弁償を名乗り出るドジっ子。
――個人的には、『同じ世界に転生できない』のは神様事業で言う『証拠隠滅』じゃないかと思ったり。自分の管理する世界で、ミスった形跡とか残したくないじゃん? 天使が上司の尻拭い説濃厚。
それに対し主人公は、何故か根拠のない優位性を得た気になって様々な要求をしてくるプロクレーマーの側面がある。
――いっぺん死んでストレスがたまってるのかな? でもやめたげて。雑務以上の残業を要求したら天使(確定)の負担が大きくなってかわいそうだよ。労働環境のせいで堕天する天使増えてるんだから。
しかし、主に『何らかのミスで殺してしまった』と証言するドジっ子が提示・譲渡したものを、どうして『疑問すら覚えず無条件で信頼できる』と主人公が妄信するのかは謎。
――『致命的なミス』を犯すような存在の補償に『致命的なミス』があるとは思わないのだろうか? 拙作では主人公が『転生回数』について触れなかったため、『要求された条件で転生する現象』がドジっ子の力が切れるまで延々ループするハメに。
総評……所詮、ドジっ子はドジっ子。自分の人生が大きく変化する契約を行うからこそ、人間目線ではなく神様目線に立っても見落としがないか、もっと慎重に考える必要があったんじゃないかと思う。
こちらに大きなメリットがあると臭わせるのは、詐欺の常套手段だよ! みんなも気をつけよう!
・妹&幼なじみについて(※個人の偏見です)
名前は例によって適当。マジで何の意味もない思いつき。
――強いて言えば、『シン』の妹だから若干日本名っぽく、親が元貴族だから貴族っぽい響きを選んだといえなくもない。後付けといえなくもない。
詳細は定かではないが、かなり高い確率で存在する身近な異性。そしてこちらも理由が不明瞭だが、高い確率で主人公に恋愛感情に通ずる好意を寄せている。
――個人的な意見だが、妹や女性幼なじみは近すぎる関係性の異性であり、主人公のいいところも悪いところも見えすぎているため、恋愛感情を抱くには強烈な出来事が必要だと思う。テンプレにそんなシーン、あったっけ? という思いを拙作にぶつけた。
主人公の妹・幼なじみだというだけで、高確率で主人公と一緒に活動できる戦闘方面の才能に恵まれている。遺伝的・環境的な要因で実力が底上げされたとはいえ、他を隔絶した能力を持つ主人公の旅路についてこれる根性は、少し怖い。
――テンプレ的展開は『主人公が簡単に乗り越えられるハードル』であり、ヒロインたちにとっては『死地に近い困難なハードル』になりやすい。そもそも、何度も大事件に巻き込まれる主人公の周りとか、普通は怖くて一緒にいたくない。お前らの胆力は化け物か?
・エルフ&聖女&魔族の少女(名無し)について(※個人の偏見です)
名前は上記に同じ。
――魔族の少女なんか、もはや外見描写する気すら失せた。マジでごめん。
異世界ファンタジーで定番の記号だが、大半は記号以上の魅力がない気がしてならない。例によって、高い確率で主人公に恋愛感情に通ずる好意を寄せている。
――途中合流の女性キャラはさらに謎が深まる。これも恋愛感情のきっかけが見えない場合が多い。まさか、助けられたから即惚れるといった理由ではないだろう。『人間的評価』と『恋愛的評価』は似ている要素だが同一軸ではない。
傾向的に、主人公へ特別な感情を抱くにあたって、種族差や身分差における葛藤が少ない。むしろ盲目的にそうした問題から目をそらすか、豪快に他者へ丸投げするか、周囲のヒロインに対する理解が尋常じゃない。
――長命種と短命種の間にある寿命などの種族問題は? 聖女など高貴な身分に伴う責任や義務といったしがらみを軽視していいのか? 親族や関係者も、女を侍る主人公に任せていいのか、もっと考えた方がいい。たぶん地雷だ。
証拠や根拠のない超強運が主人公を救うことがある。それは主人公を含むキャラが起こしたり、超(不)自然的に起きたりする何かであり、作者も読者もおそらく説明は不可能。
――作者の主観では、悪い意味での『ご都合主義的展開』。拙作では人生経験豊富だろう長命種を利用して描写。直感として出すにしても、1つくらい伏線は欲しい。いきなり「怪しいからこうしろ」と言われても困る。
女性キャラ総評……正直、もっとテンプレ的お人形さん感を出せればよかったのだが、作者にはできなかった。テンプレ作品のヒロインは主人公のイエスマンでなくてはならず、慰めたり励ましたりしてはならないはずなのに!!(※個人の偏見です)
おそらく、『美少女ヒロインは主人公の装備品ではない』という作者の思想が邪魔をしたのだろう。作者が書くヒロインは心身ともにたくましい傾向があるし、作者にはテンプレ作品を書く才能がないのかもしれない。そもそもあいつら(以降省略)。
・主人公以外の男性キャラ『ノア』について(※個人の偏見です)
名前は上記に同じ。
――方舟的な関連はない。むしろ救いがない。
たいていイケメンだけど軟派なチャラ男として登場する気がする。主人公と比較させる当て馬的な役割を演じるが、時々妙に活躍して注目度があがる。
――個人的にテンプレでよく見る性格のキャラクター。作中に登場する女性キャラからの人気は悲しいほど低いが、主人公の破綻ぶりに引いた読者からは人気が出ることがある。頑張れ、お前が良心だ! みたいな?
そういうキャラクターに限って主人公より好感度があがり、いきなり超展開で死ぬことがある。死んでもさほど悲しまれず、時間経過ですぐに最初からいなかったかのように扱われ、仲間の記憶からも消される傾向にある。
――お前当て馬だろ何で主人公より人気でてんだよウザい……といった主人公に自分を投影するタイプの神の声が聞こえてこないでもない。何にせよ、作者の機嫌で死んだようなものなのに、チートも転生もない彼は不憫なのかもしれない。
その後は親しくなる仲間の男性キャラは出現しなくなるか、臨時でしか登場しなくなる。登場したとしても、主人公のハーレム要員からの評価は最後まで一定。
――個人的にはヒロイン候補が他の男に惚れてもいいんじゃね? とか思う。NTR的な意味ではなく、性格の相性とか外見の好みとかがバッチリだったら、なびく可能性もゼロではないんだし。暴力と財力だけじゃ、異性全員の愛と関心は買えないと思う。
総評……がんばれ。
・総論
この作品・解説はテンプレ批判ではありません。
上記のツッコミ全部、作風がコメディなど軽い路線なら全然オッケーですし。
そもそも、作者にテンプレの正確な知識や理解はない『イメージ』の話ですし。
あくまで1個人の意見・感想ですのであしからず。
ふぅ、悪口言ってすっきりした!!