6.現実
お風呂に入ってVRの中で寝ると7時間がたっていたので起きることにした。
さて、今日も幼稚園へ行く準備をする。
幼稚園の先生となって3年、現在25歳の私はまだ結婚していない。
と、言うよりも幼稚園が楽しすぎてやめられないのだ。
結婚も夢見てるが、それは後でもいいやと思っている。
「はーい、皆さんおはようございまーす。」
園児達の元気のいい挨拶が帰ってくる。
朝のお歌を歌い。
絵本の読み聞かせや歌いながら数を覚えさせることをする。
この時期の子供は捻くれてくて素直だ。
時たま好きな子に意地悪してしまう子もいるが可愛いもんである。
ご飯を食べお昼寝の時間にみんなを寝せて、その間に連絡帳を見る。
あら、また龍ヶ崎さんの家は夜遅くまで迎えに来れないのか。
この龍ヶ崎さんの家は父子家庭で奥さんは違う所に男を作って別れたらしい。
因みにこれは奥さんの世間話情報。
子供は私が担当するクラスの子で龍ヶ崎 結城くんである。
将来有望そうな顔をしている可愛らしい子で素直な大人しくお父さんが大好きだ。
父子家庭だからか、龍ヶ崎さんが社長だからかは知らないが忙しいらしく夜遅くに迎えに来ることもある。
本当に遅くなる時は違う人が迎えに来るが基本的に自分で来ようとするいい人だ。
お昼寝も終わり、今度は自由時間として各自遊ばせる。
拓未くんは基本的に外に行かないで私に絵本を読んでさもらうのが好きらしい。
最近の女の子はませてるのか結城くんを奪い合う事が多々ある。
今日もそんな女の子達をみながら本を読んであげ、自由時間が終わると帰りの歌を歌い親御さんに連絡帳と共に子供を渡す。
その時にこの子はどーでしたよ。と1言付けるのが私の日課だ。
親御さんも子供の事は知りたいだろうし、子供も褒められたりして嬉しいだろう。
時々、悪いことも報告して怒られる事もあるがそれはしょうが無いと思う。
やはり、最後に残ったのはやはり結城くんだけであり、また絵本を読んであげる。
「結城くんは、偉いわね。」
毎回結城くんを見ていると思う言葉がつい出てしまった。
でもまだ4歳なのに文句も駄々もこねずいるのは流石にすごいと思う。
「うぅん、ゆーき偉くないよ?偉いのはパパだよ!いっつも忙しいのに遊んでくれるんだっ!それに僕にはくれはせんせーがいるもんね!」
かわいぃっ!
思わず抱きしめてしまったのはしょうが無いだろう。
抱きしめるときゃっきゃっと嬉しそうに笑い声を上げてくれるのが何とも言えないっ!
「すみません、遅くなりました!」
二人で戯れてると出入り口から男の人の声がした。
龍ヶ崎さんだ。
龍ヶ崎さんは、ハーフだからか大層な美形な方、その上子供思いという理想の男性である。
奥さんが浮気した理由が分からないくらいな人だ。
「はーい、今行きまーす。」
結城くんに用意を持たせ手を繋いで龍ヶ崎さんの所へ行く。
「パパー!」
龍ヶ崎さんの胸元へ飛び込んでいく結城くんは大変可愛らしい。
「結城くん、今日もいい子に過ごしてましたよ。それに、結城くんパパが忙しい中遊んでくれる事をとても喜んでましたよ。」
前半は普通に後半は結城くんに聞こえないようこっそりと伝える。
すると、龍ヶ崎さんも結城くんの様な純粋な笑顔をしてくれた。
親子だわぁ。
その後照れたのかそそくさと帰ってしまったが結城くんの今日一日の出来事説明は聞いてあげていたので微笑ましく思えた。
さて、私も帰ってVRでもやりますか!