10.【五福の呉服屋】と外郎売り
何匹か兎と熊(これは普通の熊だ)を狩り肉と毛皮を売る。
ある程度のお金が出来たので今度は服装を整えようと思う。
服飾関係の店も聞いておいたのでその場所に向かうと、またもや入り組んだ裏路地にあった。
「こんにちは、お嬢さんが曲の旦那が言っていた子だね。面白い子がまねき猫を訪ねたと言っていたよ。私は千歳。この店【五福の呉服屋】の店主だよ。」
これまた、べっぴんさんな方が出てきた。
店名はギャグかな?
花魁の様な華やかさの中にも気品があるような。不思議な方だ。
自己紹介と予算、それから機能性についての話をする。
「そーさねぇ、今着てるのが袴だからねぇ。どーしましょ」
「あのぉ、外郎売みたいな感じってありますか?今後形をそれで統一して通したいのですが。」
あまり現代っ子は知らないかもしれない。
私だけの衣装ってものに憧れるので外郎売りみたいな感じがいい。
因みに、外郎売りは「物売り」なので、スソ丈の短い着物を着ていて、股引は本当は布製なのだが、銭形平次が履いてるようなものを指す。
「おや、外郎売を知ってるのかい?ちょいとまっとくれ。ほら、ここらへん一体が外郎売りぽく出来る着物さね。下は黒の股引がいいが動くんなら下をズボンにして布で固定しちゃいましょ。防御面は後でも付けられるから気にしないでおくれな。」
この世界は和風である。
そうするとファンタジーの用に革の鎧や鉄の鎧などない。
全部布になるか、良くて日本型の鎧になってしまう。
そこで出てくるのが防御力を付加する魔法陣である。
その人の力量により付加されるものは変わるが千歳さんは期待できそうだ。
着物を見ていく。
姑獲鳥のイメージがあまり出来ないので、髪の毛の色の銀に栄える色にしたい。つまり、濃い系だな。
黒、赤、青、んー、選べないな。
黒と赤で迷う。いっそのこと混ざったものを探すか。
黒をベースにして、あ、彼岸花だ。
暗いイメージが多い彼岸花だが、この着物には鮮やかに書かれている。
黒い生地の上に赤、いや紅の彼岸花が咲き誇り花の縁が時々金で描かれている。
予算的には足りないがこれは是非ともゲットしたい。
千歳さんには前金として今持ってる分を払い、後日追加で払う事を約束し仕立てておいてもらう。
仕立てるのには時間がかかるそうなのでその間にお金を貯めよう。
余程私の話し方が熱かったのか千歳さんは終始笑っていた。
靴は常連客に聞いても私が理想とする物のオーダーメイドを行える所はないと言っていたのでまた探すしか無いだろう。
再度お願いをして、今日は夜の狩りに行くことにした。
お金を貯めなきゃ!
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夜の外に来て、改めて気づいたことがある。
私、ポーション系全く買ってないわ。
てか、和風だからポーションって名前じゃないのかな?
後で買いに行こう。
夜の外フィールドは昼の兎とかにかわり蝙蝠や蛇が出てきた。
蛇の名前は双蛇だ。
何が双なのかと思えば2匹で1つらしく片方が攻撃してきたらどこからかもう一匹出てきて攻撃される。約1mの蛇なのだが連携が凄く動きも早い為兎よりも断然強い。
蝙蝠は悪蝙蝠といって、大きさは50㎝くらいで人の顔面にくっつきそこから血を吸うらしい。
初期地にしては夜のフィールドは危なすぎると思う。
それでも姑獲鳥の速さには2匹とも負ける為、スキルを使ったりして難なく勝てたけど、それでも製作者の悪意しか感じない魔獣である。
ドロップした物の数が結構溜まり疲れたのでこの辺で終わりにする事にした。
売るのは明日に回し、今日は宿にそのまま帰ろ!
ステータスも確認しなきゃ。
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★紅華
Lv16
種族:姑獲鳥
HP1345/1660
MP1135/3160
妖力 毒の息、毒の羽根、生命の吸収、
スキル 【自動回復】【薙刀術(正)】【鑑定】【】
固定スキル 毒耐性、風耐性、重さ軽減、俊足、振り腕
称号 【皆の母様】【瞬く者②】【浅日の者】
装備品 初期着物(袴)、初期草履、初期足袋、初期薙刀
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あれ、称号増えてる。
newが付いてないからもしかしたら昨日取ったやつかな?
詳細確認っと。
【浅日の者】=運営の予想を超えて日数的に浅いのにボスを倒した者に与えられる称号。特に意味はない。
これ、絶対運営が面白半分で付けただろ。
特に意味はないならつけなくても良くない?
何か突っ込んだら余計疲れた気がする。
早く戻ろ。