幽霊の携帯電話
お墓参りに行ったら、携帯を拾った。今は珍しい紺色のガラケー。持ち主が困っているかもと思い、画面を開けようと思ったら、後ろカバーにシールが貼られていた。
「ユーレイ」
変わった名前だなと思い、慣れた手つきで電話帳を検索すると
「一ツ目」
「傘小僧」
「サランラップ」
サランラップは意味不明だが、出て来るのは百鬼夜行のお化け達。
気味が悪くなり、携帯を手放そうと思ったら、サランラップから電話が掛かってきた。
僕は驚き、間違って受話器出るマークを押してしまった。
「サランラップお好きですか?」
携帯から手が伸びるようにサランラップが僕の顔を包み込み、息が出来なくなった。
朦朧として見上げた空に、暮石がゆっくりと積み上げられていった。