4 波に翻弄
一回目の波はなすがままに翻弄されて、
二回目の波が来る前に、なんとか口を手で塞いだ。
「もう、逃げませんから……!」
息が苦しい。
「話をして下さい!」
懇願した。
「え?もう終わったんじゃないの?」
これでいいでしょ、みたいな、
この行為で分かるでしょ、みたいな事を言われて。
(この男!)
「分かりました、失礼します!」
ベリっと腕をはがして帰ろうとすると、まったとまた捕らえられた。
「お前さ、怒ったらシャットアウトして立ち去るのやめて。また一ヶ月も二ヶ月も待つ事になるのいい加減しんどい」
(そんな事知った事か!)
と思ったが、数少ないオフの日を、あの新宿のベンチに一日座っていたのかと想像すると、、、
少し同情の余地?有り?
「でも、ちゃんと言ってくれないと、いやです」
この偽りの世界に。
偽りの世界で生きてきたであろうこの人に。
言葉がほしい。
あなたからの、真実の言葉が。
はーー……と長いため息。
そんなに嫌なの?
やっぱり、今だけ……?
暗い気持ちになった時、
「好きだ」
と呟くように降ってきた。
「つき合って欲しい」
今度は耳元で囁く。
顔は見えない、抱きしめられていたから。
焦れたように返事は?と聞かれ、
よろしくお願いします。と答えた。
なんだそれ、と笑われて、
やっと顔を上げると、
ずるいな、と本当にずるい男に言われた。
思いの外早く終わってしまいました。
後日談、書きたいのでまだ連載中にしておきますね。
お読み下さりありがとうございました。