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第七話 ボスとの遭遇

友人と少女さんは武器を構えながら、

俺はその後ろからいつでも物理障壁が張れるように構えながら、

そろそろと忍び足で山の上を目指します。


目指す地点は下の道の様子が確認し辛く、号令役がいると推測される場所よりもずっと上。

魔物達の感覚が想定より優れていた場合に備え、上側も確認しながら進みます。

ううん、こういう時に探索魔法があったらよかったのに。

直接戦闘に関わらない魔法って思ったより需要あるなあ。


そろそろ一番端の魔物が見えた場所の真上辺り。

すぐに逃げられるように、少し斜めの方向から攻めていこうと思います。


少しずつ進んでいくと下を窺っているコボルド達の姿がありました。

二人は息を合わせて一斉に飛び出し、その少し後ろで俺は物理障壁を張って攻撃魔法を構えます。

面積の狭い簡易的な物とも迷いましたが、

後ろに伏兵がいる可能性を捨てきれなかったので今回は球体にしました。


戦闘の音を聞きつけて、下から魔物達が集まってきました。

回り込んだりせずに全て真っ直ぐにこちらに向かってきているようで、

やはり下っ端達はそれほど頭が良い訳ではないようです。


二人の戦況はと言うと、友人は両手剣を大きく振り回して

周囲の細い木ごと魔物達を軽々と吹き飛ばしていますが、

少女さんの方は一対一なら押されはしないものの、複数相手は少々厳しいようで、

囲まれそうになる度に攻撃魔法で援護射撃を行っておきました。


そんな感じで順調に倒していくと、どうやら片側の魔物は全て全滅したようです。

援軍も途切れたので、いよいよリーダーのいる反対側へ向かいます。


先程と似たような作戦で背後へ回り込むと、最も手前側に深くローブを被った何かがいました。

ちょっと大きいゴブリンかコボルド辺りがいると思っていたので緊張が高まります。


ここは攻撃魔法を使った不意打ちからの追撃をしましょう。

今更ながら卑怯な手が続いていますが、

あちらも普段地形を使った不意打ちを常套手段としているのですから、

仲間からは異論どころか積極的に支持されました。


雷撃は一瞬で辺りを駆け巡り、それを合図に二人が駆け出します。

咄嗟に手に持った杖で二人の攻撃を受け止める何か。

周囲で今にも駆け出しそうな姿勢だったゴブリンとコボルド達は、

予想に反してそのまま構えを解きました。


細い腕にギリギリと二人分の力を受けながらもびくともしない杖。

魔物達が無条件に従う存在。


逃げるのも難しい、明らかに場違いなレベルの魔族ですが、

二人を振り払ってこちらに迫ってくるその表情を見た途端、

恐怖とはまた違う嫌な予感を感じました。


最近噂を聞く変な魔族。

本来であればこんなところにいるはずがないのに最近よく目撃されているアイツ……。


……個人的には出来ればもっと後で遭遇したかったのですが、

いつまでも現実逃避しているわけにもいきません。


視界の端ではおろおろする二人が見え、

俺の正面では何故か高い高いをするように俺を持ち上げる、

俺達と同じぐらいの年の変な魔族がいました。


「軽いなーお前ー。こんなので私に挑むつもりなのかー?」


……ええ、間違いありません。コイツがあの魔王です。

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