第六話 作戦
七日目です。
町と現場まではそこそこ距離があったのですが、何故か少女さんがついてきました。
寂しさを紛らわすために剣と体術を習っていたとかで、
そこらの魔物ぐらいだったらどうにかなるとお墨付きまで貰ったのだとか。
随分とアグレッシブな少女さんですが、
あの村では珍しい事でもないのでちょっと驚き損ねました。
暗くなってから現場に行くのは危険なので、
少し早めに野宿をして朝一で現場に辿り着くようにします。
どちらにせよ、徒歩だとどこかで野宿が必要になる距離なので、この辺りが妥当でしょう。
野宿は初めてだったそうですが、初めてにしては割とすんなりいきました。
見張りは全て俺達の方でやらせていただきましたがね。
一度だけゴブリンの襲撃がありましたが、数が少ないので大した事はありませんでした。
さて、現場に辿り着いたわけですが、見える範囲には魔物の姿がありません。
山の谷間にある道。
左右の急な斜面には木がたくさん生えていてそちらはあまり見通せません。
ですが、時々何かがいるのか、茂みが不自然に揺れています。
魔物はまだこの先かと、道へ入ろうとする少女さんを止めて、状況説明と今回の作戦を話します。
今回の魔物はゴブリンとコボルドの混群。
更に、道を通る旅人や商人が道の中央あたりに差し掛かった頃を狙って
一斉に谷を駆け下りて挟み撃ちにする事から、
それを統制するリーダーが存在する可能性が濃厚。
そこで今回の作戦は、
少しだけこの道を戻ったところに、以前山菜を取る人などが使っていた
山へ入れる獣道があります。
そこから山のやや上を目指し、上からの戦闘に持ち込みます。
ここで注意すべきはあまり下まで降りすぎない事。
なぜなら、たとえ半分を制圧できたとしても、反対側には同数の魔物がいます。
挟み撃ちでなくても斜面を駆け下りてくる魔物の群は脅威ですし、
不利な状況で戦うよりは、また反対側から登り直して少しずつ数を減らした方が得策だからです。
また、今回の作戦は緊急の物ではありません。
リーダーの魔物があまりに強すぎる場合や、魔物の数が多すぎる場合は早めに引きましょう。
二人が頷いた事を確認して、作戦開始です。