第1話 いとしの美人モデル。
ガールズラブではありません。
安心してお読みください♪
初めて見たのは雑誌の化粧品広告だった。
雪のように透き通った白い肌、蒼く深い瞳、細くしなやかな体、ウェーブのかかった金髪。
女神、という言葉がよく似合う、すべてを包み込むくらいキレイだった。
それからあたしは、モデル『神崎ゆりあ』が生きがいになってしまった。
「ええ〜っ、奈那、それレズって奴じゃない〜?」
あれから1年弱。あたし、門倉奈那は16歳。
「違う、ファンだよ。ってゆーか、レズでもいーよ、大好きだもん」
ポスター、広告、写真集。マイルームは神崎ゆりあで埋め尽くされている。
筆箱・カバン・机・ノート、いろんな物に切り抜きをON。
「確かに神崎ゆりあって、オーラがハンパないよね、オーラが」
「ちょっと!ゆりあ様の一番のファンはあたしだからねッ!?」
「はいはい、分かってますよ(てゆーかあたしはファンではないのに)」
「あ〜ッ、ゆりあ様に逢いたい〜」
繁華街を通って帰るのがあたしの日課。
目的?そんなのゆりあ様の広告を見るために決まってるじゃないッ!
あこがれとか愛情っていうよりも、磁石に引き寄せられる砂鉄みたいにただただ惹かれてる。
恋の感じとも違うし、衝動買いの感じとも違う。けどその2つが結構近い。
毎晩夢に神崎ゆりあが出てくる。
毎晩毎晩、ただあの大きな眼であたしを見つめて消えていくんだ。
〈素肌に潤い・・・・・・〉
あ、始まった。
ビルの大きな液晶画面に映し出される資○堂のCM。
綺麗な顔が画面いっぱいに映る。
「ゆりあ様・・・・・」
何度見ても引き込まれそう。あんまり綺麗すぎて、切なくさえなる。
生で見たらどうなんだろ、テレビってちょっと太く見えるとか聞いたことあるから、もっと綺麗なんだろうな。画面に映る姿でも涙が出るほど綺麗なのに、これ以上綺麗なものがこの世にあるんだろうか。
「生で見てみたいな〜・・・・・・」
目の前にいたりしないかな。プライベートで買い物に来てたりして。
・・・・・なんてね。
ゆりあ様いないかなぁ〜。
ゆりあ様〜ゆりあ様〜
ゆり・・あ・・様
ゆ・・・りあ・・・・・・様?
ゆっ、
ゆりあ様!?
50メートルくらい先に、あの特徴的な瞳が見えた。