約束
空は晴天。でもやっぱり冬。朝は寒くて指先が凍りそう。
私は坂本さんの姿を見つけ、声をかけた。
「おはようございます」
坂本さんは、明るく挨拶を返してくれた。「おはよう。昨日は助かったよ。ありがとう。」
坂本さん、何だか嬉しそう。
「何か良いことありました?」
私は冗談まじりに聞いてみた。
「そうなんだ!」
彼は待ってましたとばかりに笑顔になる。
「実は、うちの部署で企画したシャツのデザインが海外で反響が良いらしくて。影山社長が来月予定してる海外での文化イベントで、使いたいって。うちの社長に報告したらすごく喜んでたよ。」
「すごいじゃないですか!良かったですね。」
私は坂本さんの嬉しい気持ちを感じながら、同時に安心もしていた。影山社長が直々に来られたのはこういうことだったんだ。
「良かったら今夜、食事でもどうかな?」
坂本さんは、少し照れた様子で笑う。
「えっ。」
突然のお誘いに、びっくりして一瞬思考が停止してしまったが、心良く返事を返す。
「はい。ぜひ。」
「良かった。じゃあ仕事終わったら受付に行くよ。またあとで。」
彼は嬉しそうな表情を浮かべ、エレベーターに向かって歩いて行った。