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東京孔  作者: ルーニック
8/13

第八話 孔が来た!


 現場作業員、田岡 安治郎。近年、海外からの作業員も増えたがその丁寧で実直な仕事には定評があり現場の信頼も厚い。

 この作戦の問題は、コの字型の中に入れた後、如何に早く入り口を溝で塞ぐのか? に掛かっている。

 孔が通過後、必死に両側から掘れば何とかぎりぎりで間に合うだろうとの予測だ。


 その重要任務の片側に田岡が指名されたのだ。

 勿論、やる気は満々だ。何としてもここで食い止めてやる! そう考え準備を進めた。

 徹夜で作業し溝は出来た。溝に注水され閉じる側に大型重機が双方から挟むように並んだ。


 青山墓地では墓石が次々と飲み込まれたが予測通り地下にある遺骨には及んでいない。

 しかし骨壺を入れる場所のコンクリート製の蓋まで露出する事態となった。


 孔は赤坂を蹂躙し三宅坂ジャンクション方面へと刻々と近づいて来た。

 もんどり作戦が行われる参議院議長公邸、衆議院議長公邸の庭の前には赤坂見附の商業施設が並ぶ。


 

現場監督「(やす)。大丈夫か?」


田岡「(きよ)さん、任せてくださいよ。自衛隊に俺らの大型重機の実力を見せてやりますよ」


現場監督「まあ無理はするな。ここで捕らえられなくとも皇居の向きを゙変えられれば成功なんだからな」


田岡「うっす!」



 ズガガガガ!


 深夜、孔が来た。

 赤坂見附の商業施設のかなりの部分が崩壊して飲み込まれる。


 そして現場の見守る中、孔はゆっくりとコの字型の入り口まで来た。

 入る!


 誰もが固唾を飲んだ。


 巨大な孔。それが目の前をゆっくりとコの字型の中に入って行く。

 誰もがこの孔を見て恐怖した。


 入り口を通り過ぎる直前、田岡はエンジンを掛けて孔が通り過ぎると同時に重機を動かした。マークされた位置から掘り始めようとすると、なんと向かいのもう一人の作業員Aが動いてない!


 田岡はそれでも必死に重機で溝を掘った。

 大声で「てめーふざけんな! びびってねーで掘れよ!」

 と叫び現場監督が異変に気付きもう1台の重機に走ると作業員Aは走って逃げ出した。


「くそっ!」


 それでも田岡は掘り続け、同時に注水も始まるが、半分では孔は防げない。


 溝はそれなりの幅になったが、孔は奥の溝で向きを変えジグザグに脇に当たりながら戻って来た。


 田岡は反対側へ重機を移動させ掘り始めた。


現場監督「安っ! 間に合わん! 直ぐに降りろ!」


田岡「注水を頼んます」


現場監督「バカ! 辞めろ!」


 田岡は初めて現場監督の指示を無視して掘り進めた。


 孔が戻って来た。田岡の後ろ側のコの字部分に当たり向きを変え田岡に迫る。


 掘削と注水は間に合わず田岡の重機の下に孔が来た。


 くそっ。間に合わなかったか。


田岡「すんません監督。うちのかみさんによろしく言っておいて下さい」


現場監督「安〜! バカヤロー!」


 田岡は重機毎孔に飲まれた。


 孔はぎりぎりで溝に当たりながら入り口を通過し芝公園方面へ向きを変えた。



 東京孔もんどり作戦は失敗した。



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