第七話 皇居前で食い止める
陣地構築・施設建設は自衛隊では通常陸上自衛隊の「施設科」が行う。重機に慣れた一般国民の協力の申し出を大泉大臣は受け入れ官民混成チームとなった。
いつも自治体の公共工事に力を貸してくれる業者、重機レンタル業者と緊急に力を合わせた。
これは東京の危機なのだ。
施設科は率先して動くが時間的により大型の民間の重機が必要だ。
場所は駐日メキシコ大使館に協力を得て、参議院、衆議院議長公邸の主に庭で展開される。
貴重なものは既に運び出されメキシコ大使館も緊急に書類など重要なものがが退避された。
重機が敷地に入れなければ、入り口、参議院議長公邸、衆議院議長公邸、メキシコ大使館の建物に当たっても構わないと許可が出ている。何よりも今は工事が最優先だ。
到達予測時間は18時間後。それまでにアスファルトを剥がし、幅、約20mの溝を掘り、そこに水を満たす。手持ち機器で砕いている余裕などない。
恐らく半径を超える幅ならばと室井博士の推測を忠実に再現する為に必要な幅なのだ。
コの字状に伸ばし、入った事を確認後、直ちに残りの一辺を工作し溝を掘り水で満たして閉じ込める作戦だ。
正確な位置予測、位置の測量が終わり、大規模な工作班による「東京孔もんどり作戦」が始まった。
恐らく途中、青山霊園を通過するが、墓石などには被害は出るだろうが幸い地下の遺骨には影響がないと考えられる。
これは時間との勝負だ。
この間にも品川、荒川の孔や豊洲、臨海副都心の孔も被害を出し続けている。
◇◇◇◇◇
いつの世もイタズラ好きな学生はいる。
この危機的状況に於いても、避難せず近くのビル屋上から動く巨大な孔を見ていた。
学生の頃は得てして大人達のような先入観はなく、逆に敢えて単純に物事を考えトライする。
孔が拡大する様子までは判らないが、徐々に移動していることは上から見ると良く判る。
祐希と尊は部活で使うドローンを持ち出し発進させた。
カメラ付きドローンを降下させ孔の中に入れたのである。
この話題はたちまちSNSで盛り上がった。
〜 東京孔スレッド79 〜
名無し孔「異世界に繋がってると見た」
名無し孔「いや普通にブラックホールだろ」
名無し孔「恐れ多いですぞ。これは神の孔ですぞ」
名無し孔「信濃町の学生によれば中は時間経過が遅いらしい」
名無し孔「何で判ったの?」
名無し孔「ドローンで普通に撮影したらライトが当たってるプロペラが飛んでるのに遅くなったらしい」
名無し孔「あれ? 入れば孔の入り口で切れるんじゃね?」
名無し孔「ズボッって入ったら入れたらしい。映像は僅かしかないけど」
名無し孔「じゃあ中に入っても生きてる可能性あるんじゃね?」
名無し孔「無限に近く落下しても死ななければね」
名無し孔「飛べればいい訳?」
名無し孔「恐らく」
名無し孔「でもドローンはそのまま飛んで出てこれなかったんでしょ?」
名無し孔「力不足か!」
名無し孔「ジェットエンジンなら行けるかも」
名無し孔「しかし誰がこんなの作ったのかね」
名無し孔「神?」
名無し孔「人」
名無し孔「宇宙人の仕業でござる」
〜
施設科隊員「隊長! 時間的に深さは3mが限界かと思います」
隊長「判った。続けてくれ。直ぐに博士に確認する」
隊長「確認が取れた。消防は奥の溝が終わった部分から注水開始! たりなければそのままホースを残し注水しつづけろ!」
隊員「はっ!」




