第五話 移動被害拡大
ズガガガガ。
家屋、ビルの小さなものは倒壊し始めた。近くにあった巨大なビルはどうやら落ちなかったようだが、基礎などはどうなっているのかの点検は必要だろう。しかし現在は地表で切断された様子はない。
そしてまた孔が戻って来ないという保証などない。今はそれどころではないのだ。
孔の移動速度は徐々に上がり、予測班の予測が追いつかなくなって来た。
予測は何時何分に何処へ行くのか? だが、拡大と加速は続いている。
近隣及び移動先と予測される箇所はかなりの混乱を招いた。
渋谷再開発地域の孔は青山方面へ向け移動し、品川再開発地域の孔は田町へ向け移動した。
片瀬(千尋)「教授。問題は豊洲と臨海副都心の孔ですね。海がどう影響するのかです」
荒木「海上が地表と同じならそのまま渡って来そうだが片瀬くん、移動孔の海抜は?」
片瀬「高さに関係なく地表を移動していますね。地質も関係なさそうです」
オペレーター「臨海副都心の孔は海に接する部分で進行方向を変えました」
片瀬「荒木教授。やはり意図や知能があるのでは?」
荒木「これはまるで全自動掃除機のようだね」
臨海副都心、豊洲は避難を終え、橋を自衛隊と警視庁により警備されている。
片瀬「しかし青山へ向かうのは不味いですよ。青山墓地は完全に通過するし、このままだと下手すれば皇居方面へ向かってしまいます」
大泉「これは確かに不味いな。直ぐにご連絡を差し上げて葉山などでご静養頂くように宮内庁に緊急連絡して状況を説明してくれ」
部下「判りました」
大泉「荒木教授と片瀬女史はやはり知能があると思われますか?」
荒木「少なくとも今のところ全自動掃除機のような動きなので何らかのルール的なものがあると思いますね」
片瀬「臨海副都心の状況を見ると、、、これもしかすると水に弱い?」
大泉「本当かね!」
荒木「それは今のところ何とも言えないが可能性はありますね」
片瀬「だとすれば水路を形成して閉じ込める事も可能かもしれません」
荒木「曲がり方のサンプルをもう少し取れれば先回りも可能でしょ」
大泉「巨大化しつつある今、もうそんなに余裕はないが引き続き解析を頼む」
大泉防衛大臣は陸自に説明し施設科に工作班を編成させ、消防に給水設備を整えさせた。
かなり大型の重機も準備される。
都内の重機貸し出し業者も区の依頼で快く提供してくれた。
これは公共事業というよりも東京の危機なのだ。
その間にも臨海副都心の孔と豊洲の孔は海部分で再度進路を変えた。
千尋の予想通りのようだ。
孔の挙動は海まで行くと自身の半径よりも多くを海の上には晒さないようだ。
つまり半径よりも大きな水溝ならば孔を止められる可能性がある。
水路を作り閉じ込める事は出来るのか!?




