第四話 記者会見「未知の脅威」
大臣のつまらないジョークから始まる会議では絶望的な状況が浮かび上がった。
「ゴミを入れたら処理出来て楽なのじゃないかね」
「よしてくださいよ。古いSFにある通り、そんなのはしっぺ返しが来るに決まってます」
「現在直径20m程で近隣家屋の一つが半壊して落ちました」
「まだ何も判らないのか?」
「別の空間に繋がっているとしか思えません。最早、通常の物理現象を超えています」
「別の空間に? 宇宙人の仕業だとでも言うのかね? それとも他国の新型兵器か?」
「それは判りませんが、どちらも可能性はあるかと」
「何か止める手段はないのか?」
「今のところなすすべがありません」
「では、このまま食い止められず広がり続ければどうなる?」
「被害が拡大し多くの家屋やビルが穴に落ちるでしょう。区レベルでなく東京都も危ないかと」
「なんてことだ!」
秘書の1人が緊急にメモを渡す。
何っ!
「孔が移動を始めた! 警視庁は孔の移動先の批難誘導を! 各自治体は自衛隊に応援要請を頼む! これはもうマスコミに公表せざるを得ないな」
「はっ!」
「観測チームは各孔の進路を予測して指揮ボードに表示してくれ」
「室井博士、荒木教授」
「はい」
「君らも孔の進路予測に参加をお願いする。しかしどう思いますか? 忌憚のない意見を頼みます」
「ある意味、映画のゴジラよりも厄介ですね。生物に見えませんので自衛隊の武器では退治出来ませんし今の所対処する方法がありません」
「くっ! 全くその通りですね。では移動先予測に協力をお願いします。筒美警視総監! 移動先を都知事や自治体と協力して避難誘導を頼みます」
「理由はどうします?」
「未知の脅威だ!」
他県からの都内への移動が原則禁止され、東京孔危機管理本部は記者会見を開き「未知の脅威」についての状況を簡単に説明した。
これは千尋の予想通りだったと言わざるを得ない。鉄道も都心部は運行が停止された。
記者A「人知を超えた現象なのですね。防衛大臣としてどう対処されるのです!?」
大泉防衛大臣「今は状況をご説明した通りの段階であり人知を超えた話にそんなに簡単に答えは出せませんが我々が必ず食い止めます」
記者B「このままでは東京、いや日本も全部飲み込まれてしまうのでは?」
室井博士「それは少し語弊があります。地表のものが落ちているだけであって日本の土地が消えてる訳ではありません」
記者C「地下は大丈夫だという事ですか?」
室井博士「はい。保証はありませんが、今のところ大丈夫ですね。ビルや家屋は倒壊し消えましたが、基礎部分は残っています」
切れて落ちてるのか?(記者のつぶやき)
出来るだけ混乱を招かないように公表してもらえるように大臣から根回しされた。
各自治体はまるでミサイル攻撃や空襲が発生したかのように、地下への避難を推奨した。




