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東京孔  作者: ルーニック
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第二話 多孔式

 翌日、昨日東京に開いた孔は、全部で4箇所程見つかったそうだ。


 千尋の家の近くの渋谷再開発地域、豊洲、品川再開発地域、臨海副都心の4箇所だ。

 これまで2名が行方不明、4名が怪我をしている。

 行方不明のもう1名は迂闊にもスマホを操作したまま、孔に落ちた事を目撃されている。

 いずれも地下構造が複雑な場所なので、マスコミは識者と呼ばれる方々を呼びそのように報道した。このニュースを聞いた誰もがまだ「インフラ事故」だと思っていたのである。

 

 状況が尋常でない事から、警視庁、消防、東京都建設局、区役所はほぼお手上げ状態で警視庁の藤堂警視正は科捜研を渋谷孔に呼び出した。

 まず理解不能な孔に対する科学的な知見が必要だろうと言う判断だ。

 

 科捜研の町田は様々な装置を持ち出し、レーザー測定による測定が不可能な事、長い棒などが入れるとなくなる事が判るが対処は不可能だ。

 そして問題は一時間に数センチずつ拡大している事だ。


 町田は状況の現在判る事をまとめたが、孔の拡大は止まらない為、付近は避難した方が良いと藤堂へ伝えた。


 このまま広がり続ければ被害が拡大するため、藤堂は区役所と自治体の協力を得てこの孔の半径300mに批難をするように呼び掛けた。この事はまだ公にされておらず、自治体と相談の上、不発弾処理の名目で避難を実施した。


 藤堂は直接、筒美警視総監へ報告する。

 事の重大さを理解した筒美警視総監は「東京孔合同捜査本部」を警視庁に設置した。

 科学捜査研究所(科捜研)の協力として地質学の荒木教授と片瀬千尋、物理学の室井博士も外部から参加した。


 現状把握の為、室井博士は科捜研や藤堂らと共に渋谷の現場へ急行して孔のすぐ脇にドリルで竪穴を明け、いくつかのセンサーを仕込んだ棒を立てた。

 また、孔の縁にセンサーやブロックなどいくつかのものを置き、それの観察を始めた。


 孔は徐々に広がるが室井達が測定しても真円ではない。

 あたかも丸に見えるがその広がり方はひまわりの種のようにフィボナッチタイプだった。

 これだと人工物なのか? 自然現象なのか? は現状判断は出来なかった。


 平均すると一時間に数センチ広がる。もしもこのまま止まらなければ近隣の建物も飲み込まれるかもしれない。


 観察していると脇に設置したセンサーの1つが孔に落ちた。

 

 GPSによる位置情報は恐らくこの黒さによって信号が届かなくなったのか直ぐに切れたが、無線接続は少し異常だが長い間接続し続けたのである。

 まるで赤方偏移のように信号波長が長くなったが、そんなものが測定可能なほど加速しないし、無線接続が遠距離で届くはずはないのである。


 穴に棒を入れるとほんの少の間があってから異常が始まり中に入れた部分が消失する。


 レーザー光、つまり光は届かない。レーザー距離計では測定不可能。

 だが電波は異常だが届くようだ。波長によるものなのか?

 電波の波長からこれはもしかすると孔の向こう側は時間経過が異なるのかもしれないと室井は考えた。

 いずれにしても人知の及ばない現象である事は間違えない。


 藤堂警視正は警視総監に報告後、このタイミングで政府に連絡を入れ内調の佐藤が派遣され「東京孔合同捜査本部」に出席する事になった。


 品川に開いた孔にはポストが落下し消滅。他も樹木などが飲み込まれた。

 このままでは人にも住居にも被害が始まるだろう。

 何も原因が掴めない中、ここ数日で孔は直径約5m程になっていた。



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