第十三話 マスコミ
実家の母は父が亡くなってから少し老けたかも知れないが足腰はまだ大丈夫だ。
実家に戻ると、連絡はしていないが真守と夫が迎えてくれた。
電話が混線して何度かけても繋がらなかったのだ。都内で真守からの通話は奇跡に近い話だったのかと思う。
真守「やっとママが来た」
千尋「遅くなってごめんねー」
母「二人とも心配してたのよ」
浩「東京はかなり酷そうだね。あちこち壊滅状態じゃないか」
千尋「それでもようやく最初に発見された4つの孔は対処出来たのよ」
浩「テレビで被害を報道しているけどあちこち多過ぎて状況が良く判らないんだ」
実際にテレビを見ると様々な被害現場からで進行方向を正確に表現した局はなかった。
浩「まだ世田谷のうちの会社は大丈夫そうだ」
千尋「今度、もしも荒川で向きを変えたら新宿へ行くかも知れないからもしかすると世田谷まで行くかも知れないわ」
浩「そりゃ困るね。無職になりそうだ」
・・・
千尋「今回の被害は膨大だわ。そういう人も相当いるわね」
浩「いや、ちょっと待って。今もしも荒川で向きを変えたらって言ってなかった?」
千尋「・・・」
浩「じゃあ向きを変えなかったら、、、」
千尋「こっちに向かってくるわ。ここはその予測線上」
浩「なんだって!」
千尋「だから帰して貰ったのよ。もう対処方法はいくつか確立しているから任せて来たのよ」
浩「そ、そうか。判った」
千尋「いやねぇ。もしもの話よもしも。計算では荒川で向きを変えるわ。仮に来たとしてももう古いオンボロな家なんだから建て替えの手間が省けるわね」
千尋が無理に作った笑顔に浩は言葉が出なかった。
マスコミはヘリ映像による被害や被災者のコメントばかり報道するが、現在進行形で危険が迫っている地域も多く、事件は今発生しているのだ。しかしこれはなかなか報道としてのまともな対処は難しいだろう。
防衛大臣の記者会見があり、東京孔を4つ対処した事が報じられた。
まだ孔はあるが記者達は被害や補償ばかりを質問攻めにした。
大泉防衛大臣、室井博士、荒木教授はもしも荒川を越えたら対処場所が見つからない最悪だと考えていたが、孔はその最悪を実現しそうな程巨大化している。
現在直径59mとなり、確かに荒川の川幅が狭い箇所は30m程度の部分もあるがぎりぎりで向きを変えると予想している。




