第十二話 孔、神田川を越えず
オペレーター「江戸川橋公園付近の神田川で向きを変えました!」
大泉「なんだって!? どう言う事だ」
オペレーター「丁度ぎりぎりで届かない太くなった部分に直面したようです」
大泉「直ちに工作班を中止! 方向は?」
オペレーター「再度荒川方面です」
室井「だとすると荒川の間でまた行き来するのか。本当に東京北部は荒川孔で壊滅だな」
片瀬「それはまだ判りませんよ。荒川は河川の幅は堤防間は2.5kmで日本一かもしれませんが実際の水域の幅は狭い箇所もあります。下手をすればそのまま埼玉へ入るかもしれません」
大泉「そうだな。こんなぎりぎりで向きを変える事もあるのだ。直径が大きくなり続ければ日本中が危険になるだろう。すまないが総理に説明してくる。進行線上の対処場所案を考案してくれ」
室井「荒川河川敷での対処だろうな。川の水も使える」
荒木「あそこは掘削はかなり困難でしょ。大きな石だらけですよ。時間が掛かり過ぎますね」
片瀬「野球グラウンドやゴルフ場のような場所は埋め立てて使えてるだけで地盤は確かに石だらけですね」
室井「すると向きを変えるか? もしくはこのまま川口、西川口、蕨と進みかねませんよ」
片瀬「ちょっと待って下さい。オペレーターさん、予測線の範囲の地図を拡大して貰えませんか?」
拡大された荒川を超えた場合の進行線上には片瀬の実家があった。大宮公園、大宮球場の近辺だ。
片瀬「荒木教授。申し訳ありませんが私の実家がライン上で家族が避難した場所です。退出しても構いませんか?」
荒木「判った。大泉防衛大臣が戻られたらひと言入れて直ぐに向かってあげて下さい」
・・・
大泉「判りました。直ぐにご実家まで向かって下さい」
片瀬「対処は?」
大泉「もう、あなたに発案して頂いた方法でこちらでも考慮可能ですよ。藤堂警視正! 彼女を大宮まで緊急車両で頼む」
片瀬「職権乱用?」
大泉「乱用ではないな。防衛大臣だとこれくらいの権利はあるだろう:笑」
片瀬「ありがとうございます」
千尋は藤堂警視正に緊急車両に乗せられ大宮を目指した。壊滅地域も通過し荒川大橋から川口に入る。
荒川でまた向きを変え埼玉に来ないかも知れないがやはり家族は心配だ。
荒川大橋は川口からは通行止めで都内からは警察官が許可制で通過可能だった。
千尋は学生時代に浦和近辺に通っていたので土地勘もある。
裏道を通り、思いの外早く大宮まで到着した。
藤堂警視正は孔発生時からお世話になっており、送ってくれた事に感謝した。




