第十話 船上閉じ込め作戦
【米大統領執務室】
「Your Excellency, we have received an update on the pitch-black hole. There is no danger to the North American continent.」
(大統領閣下、漆黒の穴の続報が入りました。北米大陸には危険はありません。)
「What does that mean?」
(それはどう言う事なのか?)
「According to the CIA, the pitch-black hole appears to be vulnerable to water and cannot be crossed by sea.」
(CIAによれば漆黒の穴はどうやら水に弱く海を越えられないと言う判断です。)
「Heh heh, that's good news. What's the situation like in Tokyo?」
(フフフ、それは朗報だな。東京の被害状況はどうなっているのか?)
「Some of the holes seem to have disappeared, but the damage in Tokyo is extensive.」
(いくつかの穴は消滅したようですが東京の被害は甚大です。)
「Disappear?」
(消滅?)
「Yes. The pitch-black hole that appeared on the small island seems to have been completely ravaged, and nothing can fall into it anymore, so it has disappeared.」
(はい。小さな島部分に出現した漆黒の穴は蹂躙し尽くして穴に何も落ちなくなり消滅した模様です。)
「If America is safe, send a message of utmost sympathy and condolences to the victims in my name to the Japanese Prime Minister immediately.」
(我がアメリカが安泰なら日本の首相に盛大な同情と被害者へのお悔やみを私の名で直ぐに送れ。)
「Yes, Your Excellency President」
(はい、大統領閣下)
◇◇◇◇◇
【東京孔危機管理本部】
これ以上の人的犠牲は出したくないし、被害もなんとかここで抑えたい。芝公園で渋谷孔と品川孔の向きを浜松町の湾岸線まで誘導して大型船舶上の舞台に誘い込むのだ。
大泉はここが勝負どころだと思った。
日本の大型船舶は幅40mを超える物もあり、甲板は積み下ろしが考慮されそう段差も大きくはない。
位置を上手く調整して渋谷孔を誘い込み、直ちに舞台の縁を破壊して出港。時間を置かずもう一隻の船に変え、品川孔に対処する。破壊工作などは自衛隊が行う予定だ。
二隻の船の孔用舞台が整った。
ここに段差を感じさせず誘い込めば良いだけだ。
芝丸山古墳は日本最大級の前方後円墳だが、芝公園の単なる丘の様に見える。
木々も生えていたが、孔の蹂躙により地面の上部分は綺麗になくなっていた。
渋谷孔はその先の溝で浜松町方面に向きを変えた。
大型船舶方向である。
片瀬「少し向きがずれてます!」
室井「船舶をずらせば大丈夫でしょ。前方に15m程ずらして下さい」
現場も臨機応変に対処した。
大泉「続けて品川孔も芝公園に来るぞ、溝は?」
オペレーター「まだ作業中です」
大泉「急がせてくれ」
オペレーター「はい」
大泉「船長。間もなく孔がそちらへ向かう。孔の乗船を確認出来たら自衛隊が舞台の陸側を爆破する。その後直ちに出港してくれ」
船長A「かしこまりました」
大泉「幸運を祈る!」
船長A「はっ!」
場所は竹芝客船ターミナルのやや北側だ。
渋谷孔は後5分程で到着する。
浜松町の駅を越え街を蹂躙しながら、孔はやって来た。
予備の工作班や船舶関係者達が見守る中、ゆっくりと孔が港に近づいて行く。
大泉「頼む! このまま乗船してくれ!」
孔は計算通り緩やかなスロープをそのまま登り、船舶上の舞台へ移動した。
陸自隊長「爆破用意! 爆破!」
隊員「爆破!」
ズガーン。
孔が通過した陸側の舞台か破壊され、孔は船上に捕らえられた。
大泉「良し! 直ぐに船舶を入れ替えてくれ!」
渋谷孔を乗船させた船が出港した。
オペレーター「品川孔、芝公園に来ます」
大泉「溝は間に合ったか?」
オペレーター「現在注水中!」
片瀬「お願い! 間に合って!」
現場「注水完了!」
オペレーター「孔が来ました!」
片瀬「向きが変わった!」
室井「少しずれてるな」
オペレーター「港で北へ120m程ずれてます」
大泉「不味いな。船長。北に120mだがずらせるか?」
船長B「浜離宮排水機の建物に当たります」
大泉「破壊しても構わん! 船も沖まで持てばいい!」
船長B「なかなかワイルドですね大臣。判りました」
船長Bはそのまま前進させ浜離宮排水機の建物に大型船の先端を当てても位置を調整した。
大泉「国交省! 海上保安庁に船舶からの救助を頼む。沖に停泊させ乗組員を全員救助だ」
国交省「はっ!」
大泉「沖まで持ってくれよ。頼むぞ」
船舶の上部か破壊されたと言っても簡単には浸水はしない。この程度では沈没には至らないのだ。
渋谷孔同様に品川孔も乗船に成功し陸側を爆破。港を出港した。




