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AI詩情  作者: ルビリンス
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貝の窪み

挿絵(By みてみん)


あの夏の日

海の底で美しい貝をみつけた


居心地の良さそうな窪みで

潮の流れに動じることもなく

ただつつましく光っていた


君は海から引き揚げた貝だった


ボッティチェリのヴィーナスが

恥ずかし気に佇む姿を君に重ねていた


いつかポルトヴェーネレに旅しようと約束した

それはヴィーナスの港という名前の町だった


光ばかりが降っていたあの頃


何もかもが眩しくて

幻の中にいるようで不安になったりもした


君が過去を振り返るようになったのは

いつの頃からだろう


あの暗い森にいるのは

あなたが愛した人でしょ?



ひとりになってから

あの町へと空想の旅をした


ヴィーナスの海に潜り

貝の窪みを探した


そしてボクは

触れ慣れたやさしい手触りの貝を

その窪みにそっと戻した

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