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AI詩情  作者: ルビリンス
18/56

蝶、幾千

挿絵(By みてみん)


黒き蝶

青き影より

生まれ()


百万色の

花吸いつくし

真の黒


~~~~~~~~~~~~~~~~


白き蝶

バニラの奥の

羽化の夢


鱗粉と

散華する香と

紅茶の香


~~~~~~~~~~~~~~~~


ドービニーの庭に

アイリス色の蝶


捜しをり

塗り潰されし

黒猫を


~~~~~~~~~~~~~~~~


夕焼けに

染まらぬ蝶は

オレンジ色


逢魔が時

紫磨金色(しまごんじき)

光る蝶


~~~~~~~~~~~~~~~~


水色の

蝶透きとおる

空の青


天上まで

飛べた飛べぬか

空に消ゆ


~~~~~~~~~~~~~~~~


銀の蝶

過去の川面に

点滅す


過ぎ去りし

日々の(またた)

銀の(はね)


~~~~~~~~~~~~~~~~


プシュケーと

呼ばるる蝶の

紫に


魂を

染めて空へと

送りゆく


~~~~~~~~~~~~~~~~


幻界より

(くれない)の蝶

降臨す


ガンジスの

波に浮かびて

花となれ


~~~~~~~~~~~~~~~~


菜の花の

色に染まりて

蝶の谷


浮かれ蝶

黄泉(よみ)の国めく

黄檗(きはだ)


~~~~~~~~~~~~~~~~


生まれきて

逝く日まで添う

蝶幾千


曼荼羅の

色は幻世に

在る(あかし)


~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~~~~


青い影からうまれた

黒い蝶は

色鮮やかな花を探している

すべての色を吸いつくして

ベンタブラックになるために


バニラの奥で羽化した

白い蝶は

ときどき透明になり

紅茶の時間に

甘い香りを散華する


ドービニーの庭から抜け出てきた

アイリス色の蝶は

消えた黒ネコを

ずっと探し続けている


夕焼けに染まらない

オレンジ色の蝶は

逢魔が時の残照を跳ね返して

紫磨金色(しまごんじき)変化(へんげ)する


プシュケーと呼ばれる

紫の蝶は

夜にだけ羽ばたく

人々の魂を薄紫に染めて

月の空へ送るのだ


生まれるときに連れて来て

逝くときに寄り添う

蝶幾千


その色彩は

幻想の世を生きた証の色


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