前へ目次 次へ 13/72 火星にあった海 夕暮れの空が 杏子(あんず)色から 紫へと変わるときに よぎる思い それは 火星の海辺で 目覚めた記憶 無音の波が 水際で白く泡立ち 夢の名残のように 千々に引いてゆく 天に在るふたつの月は 軍神マルスに捕らえられた フォボスとダイモス 「狼狽」と「恐怖」 ふたつの月に惹かれて 海が満ちるとき 遠くの方で 懐かしい 波の音がしたような 火星の夕暮れ ~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~