僕の2回目の入部でやめないようにしたいと思います。
今日も部活か。
なんやかんやで吹奏楽部の体験入部が終わり、僕は無事に吹奏楽部に入部することができた。
あと、すんなり学級委員が決まってしまった。これで、目標は2つ達成だ。
ともかく、吹奏楽のことだな。
なぜか、1回目ではクラリネットだったのが、トロンボーンになってしまった。最初は不安もあったけれど、トロンボーンも、初めての金管楽器としては悪くない感じだ。少なくとも、音を出すのはなんとかできるようになったし、部員たちもみんな優しく接してくれて、なんとかやっていけそうだ。
「和田、君が入ってくれて嬉しいよ!これから一緒に頑張ろう!」
部長の佐藤朱里先輩が明るく声をかけてくれた。どうやら、僕の加入を歓迎してくれているらしい。
今日の練習も順調だったが、すぐに問題が起こった。
「おい、和田。お前、まだまともに吹けてねぇだろ?」
トロンボーン担当の2年生、中島浩一先輩が僕に声をかけてきた。中島は背が高くて、いつも上から目線で他の部員に接している。吹奏楽部の中でもかなり目立つ存在で、その威圧感を持って部活を引っ張っているらしい。
「いや、まだ初心者なんで、練習が必要だと思ってます」
僕は冷静に答えた。今のところ、何も言い返す気はなかった。
「うるさいな、お前、トロンボーンをなめんなよ?もうちょっと真剣にやれよ」
中島は、何もかもを見下すような態度で言った。だが、どうしてもその態度が気に入らなかった。自分の立場を考えずに、初心者に対して冷たく接するなんて。
それでも、僕は我慢した。だって、今の僕にとって、吹奏楽部でやりたいことはただ一つ。それは目標を達成すること。もし、この中島を無視して目標に向かって進むことができれば、このループから抜け出せるかもしれない。
次の週、練習はますます厳しくなった。中島が毎回、僕に注意をしてくる。そのたびに、僕は少しずつ心の中で腹が立った。だが、今回は反論せずにやり過ごすことを決めた。中島に振り回されていたら、何も成し遂げられない。
「和田、何度も言うが、トロンボーンは楽な楽器じゃねえぞ」
中島はまた僕に声をかけてきた。音がうまく出せなかったり、息が続かなかったりすると、決まって言ってくるのだ。なぜ起こるのかがよくわからない。
「はい、頑張ります」
僕は素直に答える。彼の言葉を無視して、黙って練習を続けるだけだ。
その日の練習が終わり、部室でみんなが片付けをしていると、また中島が近づいてきた。
「お前、ほんとにトロンボーンやる気あんのか?」
彼の言葉には冷たい風が感じられた。今までの練習で、僕が少しでも間違えるたびに、すぐに中島は注意してきた。
「やります」
僕は再度、無理にでも笑顔を作って答える。
だがその瞬間、中島は笑いながら言った。
「まあ、どうせお前みたいな初心者には無理だろうけどな。せいぜい頑張れよ。お前のその下手くそな音をみんなで聞くのも面白いしな」
その言葉に、僕の心は揺れた。やっぱりこの中島という男はどうしようもないと思った。でも、ここで言い返しても意味がない。
「絶対に負けない…」
僕は心の中で強く誓った。このループを抜け出すためには、この中島との関わりも乗り越えないといけない。彼の言葉に惑わされず、目標を達成するためにはどうしても頑張らないといけない。
その夜、部屋で「脱出ノート」を作った。
中島に挑発されても、決して反応しないことが大切だ。僕が目指すのは、目標を達成して、ループから抜け出すこと。練習を続けて、少しずつ上達しよう。
僕はノートにそう書き込んだ。中島の挑発に負けず、目標に向かって進むことが今の僕にとって最も重要だ。今度こそ、目標を一つ一つクリアして、ループから抜け出すために戦わないと。
次の日、学校で中島と顔を合わせた時、彼はまた僕に言った。
「お前、頑張ってるじゃねえか。まあ、俺がちゃんと教えてやるから、しっかりついてこいよ」
その言葉は、最初は少し驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。どうせ彼の言うことには何か裏があるだろう。僕は、無理にでも笑顔を作りながら答えた。
「はい、ありがとうございます」
そして、吹奏楽部の練習は続く。中島と一緒にトロンボーンを練習することは、まだまだ辛いことばかりだが、それでも僕は目標に向かって着実に進んでいくことを決意していた。




