この地、バリアンツ
一回書いてたんですけど、満足いかなくてタイトルとか内容とかほぼ全部変えて作り直したので実質初投稿です。読みづらい文章ですが、ぜひ見てくれるとありがたいです!
ここは人々が住む大大陸から海を越えた。遥か北方の地
あるものはここを魂の墓場と呼び、あるものはここを命の棺桶という
その名はバリアンツ
今から約200年程度前にとある探乗家によって見つけられた
巨大な駅の集合体によってできた、島、そしてその地下深くを指す
人間を狂わせ、その身を真実のためにささげるものの為の、大きな鳥かごである
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「うんしょ、よいしょ....っと!」
ふう、やっと終わった....ここに運ばれる荷物、毎回なんでこんな重いんだろう?
いったい、何が入ってるんだろうな
「おい!ジャーニー!こっちの荷物も頼んでいいか!」
「あっ!はい!分かりました!」
俺の名前はジャーニー、ここ、バリアンツの西南区、13車両駅で働いてる
エンジニア兼運搬屋だ
「グラセルさん!これはこの車両に積めばいいんですか?」
「そうだ!あと.....それとそれも頼むよ!」
この人はグラセルさん、この13車両駅の現場チーフで、熱血、情熱、勇気
という言葉が似合う人だ
「グラセル!こっちの指示も頼む!」
「こっちもお願い!」
「少し待ってくれ!!今行くよ!すまないジャーニー、ここは頼むぞ」
そういうとグラセルさんは小走りでほかの車両の点検やらなんやらに向かっていった
それにしても今日は忙しい、もうそろそろ休憩でも取りたいけど.....ん?あの列車はなんだ?
見たことのない赤と黒の列車に、大きく008と書かれている。
「ジャーニー?ダイジョブそ?」
「うわあああああああっ!?」
突然誰かに肩を叩かれ、驚いた反動で持ってた荷物を足に落としてしまう
「....いっっっってええええええええええええええええ!!!!」
「ありゃりゃ...そんなびっくりするとは」
「くぅ~、いったたたた。もう!急に肩叩くなよ、シロン!」
目の前に現れた、白いロングヘアーの少女、シロン
俺と同じエンジニア兼運搬屋で、働き始めたころも同じぐらい、いわゆる同期ってやつだ
「だってぇ~?なんかボーっとしてたし?同期としてサボってるとこは見過ごせないかなってね」
そういうと小悪魔っぽくいたずらな笑みを浮かべて俺の顔を覗き込んでくる
ちょっとドキッとしたけど、痛みを思い出して足元を慌てて抑える
「も~、そんな痛いの?どれ、見せなさい」
「いや!そんなことよりこの荷物運ぶの手伝ってくれよな?!」
「はいはい、了解」
「てか、そこまで集中して何見てたのよ?」
「あ、あぁ、あれだよ、あの赤と黒の列車」
「あぁ、特戦乗客のこと?」
「とくせん...なんだって?」
「特戦乗客、政府がバリアンツ調査のために調査官と戦闘公務官から選んだ、いわばこの国のエリート集団だよ」
「そんなものが...」
言われてみれば、いつからかバリアンツ調査のための精鋭部隊がある....という噂は聞いていたが、まさか本当に存在していたとは...
黙ってみていると中から人が降りてきた、青い髪の女性....ん?少女?!それに...馬鹿みたいにでかいガトリング砲みたいなものを担いでるピンク髪の女性、後から出てくる剣や銃で武装した人々。
いったい何が始まるというんだ?
「ねえジャーニー、あの人達、こっちに向かってきてない?」
「え?」
ホントだ、なんかすごいただならぬ形相でこっちに来てる....え?俺なんかしたっけな?
もしかして...殺される?!??!?
「シロン....俺らってなんかまずいことしたかな...?」
「さ、さぁ?少なくとも私はなんもしてないわよ?!」
あっ、なんかもう青い髪の少女?に睨まれてる。終わった.....
一歩、二歩と一歩一歩噛みしめるように歩いてくるその姿はまさに
鬼のようだった
そして俺らの1mぐらい前で止まり、青い髪の少女が口を開けた
「おぬし....ここの従業員か?」
「え.....?あ。はい」
「ここに、飯を食える場所はあるのか?」
「「は?」」
俺とシロンは互いにぽっかーんとした表情で見つめあった
「聞こえなかったかの?飯を食える場所はあるのかと聞いておるのだが...」
我に返ってすかさず答える
「は、はい!あります!ただ今は作業時間なので閉まってると思います.....」
「なっ!!!!!嘘....だと....言ってくれぬか.....」
青い髪の少女は力なくその場に座り込みそれと同時にぐぅ~というお腹の音が聞こえてくる
そういえば...俺まだ昼の弁当食べてなかったな...そうだ!
「少し待っててください!」
俺は走って弁当を取りに行き、少女に渡す
「ななななななっ!!!!おぬし!これを我に....?」
「はい!自分で作ってるので味の保証はできませんが、もしよかったらどうぞ!」
「あらあら隊長、あんまり従業員の方に迷惑をかけてはだめですよ?」
「わ、分かっておる!しかしこれは...いただきます!」
そういうと少女は弁当にがっつきうまいうまいと連呼しながら貪り食っていた
「えっと....それで、あなたたちは?」
シロンが問いかける
「私たちは第008特戦乗客、通称スコール中隊です、私は美亜、こっちは千凛」
そういうとピンクの髪の女性がお辞儀をし、青い髪の少女が食べるのを止め、ピースをする
「お、俺はジャーニーで、こっちはシロンです。よろしくお願いします」
慌てて二人でお辞儀をする
「なになに、そんなかしこまらなくても良いではないか?」
「特戦乗客の方となると...さすがに...ね?」
シロンがこっちを見て問いかける
「あ、うん。そうだね」
「そうだ、ここのチーフはいますか?確か名前は...」
「どうもどうも、特戦乗客の皆さん!13車両駅のチーフ!グラセルです!」
どこからともなくグラセルさんが現れ、話に入ってくる
「いやぁ、長旅お疲れ様でした、一度こちらの事務所で隊の皆さんも休憩してはどうですか?」
「それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらうぞとするか」
「えぇ、そうしましょう」
「じゃあな!ジャンキー!シロン!」
そういうと千凛と美亜、008....スコール中隊は事務所の方へ歩いて行った
「なんだったんだ...」
「さぁね....てか、私もあんたの弁当食べたいんだけど」
「いやそこ?!まあいいや、それは後で作ってやるから残ってる仕事終わらせよ」
「おっ!まじ?!さっさと終わらせちゃお!」
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「よーし!終わったぁ!」
「疲れたな...とりあえず事務所行って休もう」
「おっけ~、てか、さっきの約束忘れてないわよね?」
「あーえっと....なんだっけ?」
「べ!ん!と!う!私も食べたい!作って!」
そういやそんな話もしたかな、めんどくせぇ~
「はいはい、明日ね」
「何よそれ!さっき言ってたの覚えてるからね!」
俺はシロンに小言を言われつつ、事務所に入ってった
ちょうどほかの現場も終わったところなのか、なかなか賑わっていた
「はぁーお腹すいたな」
「この時間なら食堂も空いてるんじゃない?行ってみましょ」
食堂へと歩いてると、何やら近づくにつれ騒がしくなっていくのを感じる
「おいおい、ありゃ何なんだ?」
「あんなに食うなんて...ありゃ人間なのか?」
食堂で何が起こってるんだ?ほかの作業員たちの会話を聞き耳立てながら
歩いていく
「よーし着いた、ここの道地味に長いのよね~ってえ?!」
シロンがなぜか固まってる。いったい何が....え
そこには先ほどといっても何時間か前話していた千凛と美亜がいたのだが................
千凛の食べている量が明らかにおかしい
天井まで積み上げられたからっぽの茶碗にバケツリレーのように運ばれてくる食事
かと思うとわずか数秒で消えていく美味しそうな食べ物
厨房からは悲鳴にも似た叫びが聞こえる
「え、えぇぇぇぇ」
「モグモグモグモグモグ、あっ!!ジャーニー!シロン!こっちだー!」
食堂の作業員たちの視線が一斉にこっちに集まる
うわぁ、帰りてえ
「これ...知らない振りしたらダメかな」
「私もそうしたいわよ....」
仕方なく俺らは千凛と美亜の座る席へと行った
「ジャーニー!さっきはすまなかったの!今じゃこの通り!モグモグ!とっても元気じゃぞ!」
「隊長...少し食べ過ぎでは?それでは太ってしまいますよ?」
「うるさいな美亜、我は食べたいと言ったら食べるのだ」
あきれ顔な美亜と目の前の食べ物を吸引するかの如く消していく千凛
俺たちはあっけにとられることしかできなかった
「えーっと、それで......千凛...さんたちはなんでここに?」
「なんでってそりゃ、バリアンツの調査のために決まってるであろう?」
「そりゃそうか....ここからバリアンツに入るってことは旧コルス駅から入るんですか?」
「えぇ、その通り。出発は明後日。ここ最近、このあたりのフィエール数値が異様に高いので、その調査に行くんです」
フィエール数値...あまり聞きたくない言葉だ。バリアンツ内のエネルギー数値のことを言うのだが、上昇の仕方によっては人間が化け物に変わったり、予測もできない環境汚染が起こるといわれている。
俺の故郷も、フィエール数値の上昇で大変なことになったのを覚えている。あれは....本当に....
「ジャーニー?大丈夫であるか?」
「え、えぇ、大丈夫ですよ」
いつの間にか黙り込んでしまったらしい
ぐぅ~
「おや、ジャーニーもお腹がすいたのではないか?何か頼んだらどうだ?我がおごってやろうではないか、シロンもどうだ?」
「「じゃ、じゃあお言葉に甘えて....」]
そうして俺らはひとしきり食事を楽しんだ後、明日も仕事があるので解散した
シロンとも別れ、事務所内の自室に戻る
「はぁ...なんだかすごい日だったな」
寝る支度を進めながら、一日を振り返る
疲れもしたが、楽しくもあった、
明日も仕事だし、もう寝よう
......フィエール数値の上昇......どうしてもそこに突っかかってしまう
あの事件を、あの事件を思い出してしまう
...鳴り響く悲鳴
「ジャーニー!!逃げて!!!」
...母の恐怖にこわばった顔
「振り向くな!走れ!ジャーニー!」
...父の最後の言葉
「助けて!助けてくれぇぇぇぇ!」
...誰かの悲鳴
「パパ!ママ!なんで!なんで!」
泣き叫ぶ自分
崩壊した町
燃える我が家
人間の形をしたそれ以外
けたたましくなるサイレン
安心する声
「もう大丈夫です。よく頑張りましたね」
...あれ、これは誰だっけ_______
息が苦しくなるような思い出と共に
俺の意識は眠りへと落ちていった
ちょっとした用語説明
ジャーニー
エンジニア兼運搬屋、13車両駅で働いてる17歳ぐらいの少年、家族を失っている
シロン
ジャーニーと同じく、エンジニア兼運搬屋として働いている19歳ぐらいの白いロングヘアーが特賞の女性、ジャーニーとは同期で、一番仲が良い
グラセル
13車両駅のリーダー的存在、情に重く、とってもいい人
スコール中隊
第008特戦乗客の別名、約170名で構成されており、その誰もが厳しい選考を通過した調査、戦闘のエキスパートである、特戦乗客の中でもトップクラスの優秀さを誇っており、大義の為なら命も問わない恐れ知らずが数多く在籍している
千凛
スコール中隊の隊長、見た目は子供だが、特戦乗客のなかでも若手の実力派、食べることが大好きで一回食べ始めると止まらないが、任務の時などは全くの別人になるほど的確な指示を出す
美亜
スコール中隊の副隊長、千凛に世話を焼いており、背中には大きなガトリング砲を背負っている
フィエール数値
バリアンツの中に存在する、実態不明のエネルギーのことを指す、謎が多くあまりわかっていることはないが、上昇により周囲の人や環境に著しい悪影響を与える
特戦乗客
調査、戦闘、各分野の精鋭を集めた政府によるバリアンツ調査隊の名称、スコール中隊のほかにもあるらしいが、その実態は謎に包まれている
旧コルス駅
13車両駅付近で唯一バリアンツの地下には入れる駅、かつては賑わっていたが、フィエール数値の上昇により人が住める場所ではなくなってしまった、隔離地域と化している
バリアンツ
大大陸から海を越えた、遥か北方の地にある島
島の中にはだれが作ったのかわからない駅が無数に存在しており、地下へと潜っているものが数多く、その全貌は一切明らかになっていない。下に行けば行くほどフィエール数値が高いため、政府は調査のためスコール中隊のような特戦乗客と呼ばれる精鋭を集め、調査に当たらせている