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五話 君の名前は

すみません、かなり遅れました。

「君の名前は、二ドルだ」


「いいですね!!でも、、、」


 何だかしっくりくる、だがしかし、何をどう組み合わせたらこうなったのだろうか?

 俺には全くに意味が分からない。そうして俺が疑問を顔に浮かべると、俺の疑問を察知してくれたのだろうか、ラーナさんが俺の名前について説明を始めた。


「ああ、これは古代ルーボーグ語の三つの単語を組み合わせてつくったんだよ」


 ラーナさんは続けて言った。


「まず、私の中での君のトレードマークの、隕石とかみたいな意味を持つ言葉「ルーリャ」、そして、訪問者というような意味の言葉「ルスド」、そして君の夢から、旅という意味がある「ルニューラ」、それぞれから、ル、ド、ニ、をもらった感じかな」


「どう?気に入ってくれた?」


「はい、とっても良い名前で、凄く気に入りました!」


「そっか、良かった」


 ラーナさんは返事を聞いて満足げに返してきた。


「ちょっと気になったんですけど、その、ルーボーグ語って何ですか?」


「えっとね、ルーボーグ語っていうのはね、魔法言語ともいわれる言葉でね、魔法に使う言葉なんだ」


「そうなんですか、初めて知りました、だけど、どうしてルーボーグ語を使ったんですか?」


「ふふっ、それは秘密」


 ラーナさんは悪戯っぽく笑いながら言った。

 

「本当にありがとうございます、ラーナさん」


 俺は礼を言って頭を、っと、下げなかった。


「どういたしまして、二ドル」


 ラーナさんは早速俺の名前を呼び、微笑んで返してくれた。すると、横で聞いていたグレンさんが言った。


「ようやく名前が決まってよかったな、二ドル」


 聞いた俺は、改めて二人に、挨拶をした。


「はい、、、………………グレンさん、ラーナさん、これから暫く、よろしくお願いします!」


 それを聞いた二人はそれぞれ、笑いながらも同じようなことを言ってきた。


 グレンさんは


「明日から俺が身体面をみっちりしごいて、二ドルをいっぱしの冒険者にしてやるから、せいぜい覚悟しとけ!」と。


 ラーナさんは


「明日から私が魔力についての解説と、魔力操作の基本について教えてあげるから、覚悟しておいたほうがいいよ、魔力操作は地道だからね」


「はい!」


 しかし、先ほどの二人の言い様に若干の不安を覚えた俺は、一応に言葉を付け加えておいた。


「ですがまあ、少しだけ、少しだけでもいいからお手柔らかに」


 そうしてもう一度挨拶を済ませた俺たちは、明日に備えて早々に、体をふいたり、歯を磨いたりなどをして寝る支度をはじめ、それぞれ眠りについた。








 翌朝、ぐっすりと眠ることが出来た俺は、日が昇る前に目が覚めた。


 昨日、使って良いといってくれた服に着替えたり、寝癖を直したりと、一通りの支度を済ませた。そうして支度を済ませた後、俺は、起こしに来てくれたのであろうラーナさんと廊下で鉢合わせた。


「おはようございます、ラーナさん」


「おはよう、二ドル、意外と起きるの早いね、まだ寝てるのかと思ったよ」


「いえいえ、そんな、昨日長い間寝ていたのと、昨日早い時間に寝たから起きられただけですよ」


 そんなことより、と俺は続けた。


「そんなことより、わざわざ俺を起こしに来てくれて、ありがとうございます、ラーナさんもグレンさんもものすごく起きるのが早いんですね」


 何故グレンさんが起きているのを知っていたのかというと、先ほどからグレンさんの素振りの掛け声が地味に聞こえてきていたから気付いたのだ。「はっ!」とか「うっ!」って感じの思わず漏れてしまってる見たいな感じのやつだ。日が昇る前から素振りで鍛錬なんて凄いものだ。


「そうだねー、確かに早いほうかもしれないね」


「グレンさんが朝の鍛錬のために起きているって感じだと、もしかして、ラーナさんもなんでしょうか?」


「そうだよ、朝起きてから、すぐに魔力操作の訓練をやって、寝ている間にたまった不純物がたくさん混じった魔力を綺麗にしたりしているんだ」


 ラーナさんは続けて言った。


「まだ二ドルには出来ないかもしれないけど、そのうち出来るようになったら二ドルも毎朝やることになるんだけど、それが終わったら朝食って感じかな?で、今日起こしに来たのはその時に備えて生活習慣を整えておく為でも有るってわけ、まあ起こすまでもなく既に起きてたんだけども」


「ははっ、、、これからも起こされないように頑張ります」


 俺が笑いながら返すとラーナさんもまた笑いながら返してくれた。


「期待してるよ!、、、で、それはそうとして、二ドルにはこれから、私から教える事があるんだ」


「何でしょうか?」


「魔力についてだよ、昨日、私が教えるって言ったでしょ。そう言うわけで、私がこれから二ドルに魔力についての解説と、実技を教えてあげる」


「だから、これから暫く話す事になるんだ、廊下での立ち話は難だし、ひとまず、移動して椅子につかない?」


「そうですね、よろしくお願いします、ラーナ師匠」


「ふふっ、ラーナ師匠って、何だかむず痒いけど、まあ、あんまり上手く教えられないかもだけど、こちらこそよろしくね」


 ラーナさんは可愛らしく笑って、少し照れながらも返してくれた。





 俺たちはリビングのテーブルで向かい合っていた。どうやらラーナさんが対面式で教えてくれるらしい。席に着くと、早速にラーナさんが話は始めた。


「まずは魔力ってなんだか知ってる?」


「んー、魔力は、力ですかね?」


「うーん、そう、そんな感じ、でも魔力っていうのは力の中でもかなり異端なものでね、────」


 それから話した内容を要約すると、魔力っていうのはどうやら権力のような物、らしい。ラーナさん曰く、なんでも、人それぞれ分野別で世の理を捻じ曲げることが出来る魔力(権力)の性質を与えられているというのだ。その内容は実に多岐にわたるらしく、広く弱かったり、狭く強かったり、広く強かったり、狭く弱かったりいろいろだ。例えば草に関する断りを捻じ曲げられる人が2人いたとして、それぞれで出来る限りの魔法を使ってもらったとしよう。その時、あるほうは一つの草の根っこを消し去ったり、もうあるほうは何個かの草の根っこを部分的に消し去ったりできるだとか、そんな感じだ。


 草の魔法使いがいるかもしれないとは、驚きだが、それよりも俺には気になる事があった。それは、ラーナさんの魔法の事だ。もともと、ラーナさんは、俺を魔法で治してくれたと言っていたがしかし、他の理を操る魔法である可能性が出てきたのだ。


 もっと言うと、ラーナさんはもしかしたら、単に、治癒をしたりするだけでなく、人体を改造したり、生物を改造したりするかもしれないのだ。


「じゃあ、もしかして、ラーナさんの魔力って、、、」


 俺の口は好奇心から勝手に動き、ラーナさんの魔力について質問をした。すると、ラーナさんは人差し指を立てて唇に当てて言った。


「それは秘密だよ」


 やはりと言うか秘密であった。


「後学のために教えておくと、魔法使いに魔力の特性を聞くのはタブーだよ、魔法使いにとって、自身の魔力の性質は切り札だからね、そう易々と教えられるものでも無いんだよ」


「そうでしたか、すみません、ラーナさん」


「いいよいいよ、こういう常識もこれから教えて行ってあげることだから」


「ありがとうございます!」


 ラーナさんは笑いながら優しく忠告をしてくれたが、これを聞くと怒る魔法使いもいるそうだ。口に出さない様に気をつけよう。


「でもまあ、魔法使いなんて滅多にいるものじゃあ無いんだけどね、ほんとうは────」


 途中から聞こえなかったけど、なんと言ったのだろうか?


「なんて言ったんですか?ちょっと聞こえなくて」


 俺が聞き直すと、ラーナさんはハッとした様な顔をした後、なんでも無い、と言って話を切った。こうなると気になってしまうが、まあいいか。


「大体わかったっぽいし、次にいくね、あんまり長く話してても、飽きちゃうでしょ。だから次は実技、魔力って言うものを体で感じてみようじゃ無いの」


 そう言ってラーナさんは目を瞑り、何かをぶつぶつと呟き始めた。小さく、ハッキリとしない物であった。


 そうしてラーナさんが目を閉じて何やら呟き始めて数十秒、俺は、隕石がある胸の辺りに何やら違和感を感じ始めていた。隕石が肉体的に直接影響を及ぼしてるとかそういうのではなくて、何か、何か漠然とした違和感を感じるのだ。


 すると暫く、どんどんと胸の辺りの違和感は明確なものになっていった。そうして遂には、感覚的に、物理的に触れる状態に近いより確実な存在に変わった。絶対にあるとは分かっていても、どんなに頑張っても触れないし動かせない、本当に奇妙な物だった。が、暫くすると、途端にその何かが動かせるようになった。


 俺が戸惑う中、暫くしてラーナさんは何やら呟くのをやめた。そうして目を開け、再び俺に視線を向けると、ラーナさんは何やら驚いた様子で俺に言った。


「二ドルあなた!?」


 ラーナさんはそう言って机に身を乗り出すと、俺の胸の辺りをまじまじと見た。

 何かあったのだろうか?俺は特に何もしていない筈なんだけど、少し心配だ。


「とうかしたんですか?」


「いや、、、、えっと、、、、あなたがもう魔力を動かせていたから、、、驚いたの」


「俺、魔力を動かせてたんですか?!」


「えぇ、そう、普通は魔力を動かすのって何ヶ月もかかることなの、私も何ヶ月もかかってようやく動かせる様になったのに、どう言うこと?」


 ラーナさんは疑う様な目で俺を見ていた。もしかして、俺が元々知っていたと思っているのだろういるのだろうか?


「いえいえ!そんなわけ!」


「でも、漸く知覚したばかりの人間が動かせる筈なんて無いんだよ、普通は。これはそもそも原理から言うとわかるんだけど、感覚とかそう言う次元で為し得るものじゃ無いんだよ、もしかして、これもピリカルの加護によるものとでも言うの?」


 それからラーナさんは、現状の異常さについての説明を始めた。要約してみると、どうやら魔力というのは普通、動かせるものでは無いらしい。魔力というのは本来、どこかに固定されてあったり、一定の位置にとどまるものだから、それを意志によって変形、移動させることは本来不可能。つまり、魔力にそのような性質がなければ不可能な芸当である、というわけだ。


 ではなぜラーナさんは俺に魔力操作についての教えようとしたかと言う話になるが、それはラーナさんの魔力特性に用いて、特異な訓練をするつもりだったという。特異な訓練を通じて、意志によって魔力を動かせるように、俺の魔力の特性を変質させるつもりだったのだという。でなければ、魔力を動かすことなんて不可能だからだ。


 だからというか、なんというか、この複雑なで難度の高い技術が習得に必要となる、魔力操作を使えるものは魔法使いの中でもかなり数が少ないそうだ。ラーナさんと、それと限られた魔法使いのみしか出来ない、つまり特別な物、それが魔力操作だと言うのだ。


 話が少しそれたが、つまり、俺の魔力の性質によるものか、ピリカルの加護によるものか、それともほかの魔法使いの下に師事していたか、この三つの中で一番最初に思い付いた師事という者を疑っていたそうだ。


 というか、ラーナさんには魔力が見えているのか?俺には自分の魔力の状態すら把握できていないっていうのに、凄いものだ、もしかしてこれも俺が出来るようなれるものなのだろうか?


 未だに混乱しているラーナさんに俺は無理やり声をかけた。


「あの、俺が魔力を動かしているのって、どうやって認識していたんですか?」


「あぁ、それはね、魔力操作の訓練のたまものってやつだね、目で見てたんだよ、凄いでしょ」


「じゃあ、俺にも出来るようになるってことですか?」


「うん、そうだよ、でもそれより、二ドル、君はさっきどうやって魔力を動かしたんだい?」


「わからないです、何か突然動かせるようになったんです」


「そう、じゃあ、やっぱり加護なのかねー、凄いもんだね」


「そうなんですかね?」


 つい最近まで、なじみの無かった魔力というものに自身が触れる機会なんてないと思っていた俺には、どこか他人事のような気分だった。


「まぁ、あんま深く考えたってしょうがないし、最初の訓練の手間が省けたと思って放っておこう」


「そうですね、でも、本当に自分が扱えているのか不安なので、もう一度見てもらえますか?」


「うん、そうだね、一度確認して、大丈夫そうだったら次に進もうか、、じゃあ、もう一度お願い」


「はい」


 俺は返事をしてから、もう一度魔力を意識し始めた。

 硬くて、動かなそうな印象を受ける、ごつごつした気配を感じる。それは体よりも大きい気配で、どうやって胸の中に入っているのかが気になった。


 うっ、どうだ、動いたか?


「動きません」


「大丈夫、さっき出来てたんだから、もうちょっとやってみれば出来ると思うよ」


 なんとなく力を入れてみるも、みじんも魔力は動かなかった。さっきは良くわからない内ですら動いたのに、本当に訳が分からない。


 しばらく集中して格闘を続けると、漸くに魔力が動くようになった、一度動かせると楽なんだけど、最初がなかなか難しい。


「お、動かせたじゃん、凄いね、まさか覚えた初日に二回も動かせるなんて、無理だと思ってたよ」


「え、行けそうだったとかじゃないんですか?無茶ぶりだったんですか?」


「そうだね、どっちかって言いうと無茶ぶりかもしれない、ごめんね、無理そうだったら止めるつもりだったから」


 どっちかというまでも無いとは思うけど、まあ動かせたんだし良いか。だがしかし、ラーナさんがたまに無茶ぶりをしてくる可能性があることは覚えておこう。

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