四話
先ほど三話を見直したところ、かなりの量の修正点が見つかったので、急遽加筆修正しました。一昨日の内容と、まま、ズレが有りますので、お手数おかけしますが、もう一度読みなおすこと推奨します。
ラーナさんと互いに挨拶を済ませた後、俺たちは一緒にご飯を食べにグレンさんが待つ部屋へと向かった。目的地である部屋のドアへと近づいていくにつれて、何かおいしそうな、いい匂いが漂ってきた。
扉を開いて部屋に入ると、ピリカル用のご飯と、椅子が三つと、大きなテーブルの上に三人分の食事が用意されていて、グレンさんがうち一つの席について俺たちを待っていた。
「お待たせー」
「お待たせしました」
「おー来たか、座れ座れ」
俺は席につく前、椅子に掛ける二人に向かって姿勢を正して言った。
「グレンさん、ラーナさん、いろいろとしてもらってばかりで、本当にありがとうございます」
俺はこの短期間のうちに二人にしてもらった、幾つもの気づかいや親切、勿論、命を救ってもらったことを考えながら言った。
聞いた二人は、それぞれに笑いながら返してくれた。
「おうおう、働いてたっぷりと返してくれよな」
グレンさんは豪快に笑いながら言った。
「どういたしまして」
ラーナさんはニコッ、と可愛らしく笑いながら言った。
父親と娘そろっていい人たちだ。優しい二人の返事に、俺の頬は思わず緩んだ。
2人の返事を聞いた俺は、心優しいこの親子に絶対に恩を返そうと決意を込め、「はい!しっかり働いて、倍にして返します!」と、力強く言った。
「よし、食べるか」
そうしてグレンさんが食事を始めると、俺たちも食事を始めた。
食卓に置いてあったのは、見たことのない料理たちだった、それぞれ一人一皿ずつ置いてあって、右から、赤っぽいスープ、謎の形をした貝らしきもの、謎の形の動くサラダ、謎の透き通って香ばしいいい匂いのする塊という感じだ。
それぞれの食べ物について聞いてみたところ、どうやら、赤っぽいのがボスカスープ、沸き貝の蒸し焼き、海風草のサラダ、海麦のパンという名前の料理らしい。もちろんというかなんというか、俺は全く聞いたことがない料理たちだった。
「この地域特有の料理なのだろうか?」などと思いながら食べてみると、どれも絶品だった、それも、俺のような劣悪な食生活を送っているものからすれば、何が何だかよくわからない程においしかった。
「おいしい、おいしいです!」
俺はのどに詰まらせる程に勢いよく料理たちを掻き込んだ。壊れたようにおいしいと言いながら食べる俺の姿を見た二人は俺をなだめながらも喜んでくれた。
横で一緒に食べてるピリカルもおいしそうに食事にありついていた。可愛らしい恩人だな。
そうして三人と一匹で和気あいあいとした食事を終えて、片付けをした後。俺はグレンさんと机越しに向かい合って今後の話を始めた。
「それで、お前にはこれから家で働いてもらうわけなんだが、俺らの仕事は知らないよな」
「はい」
「俺たちはな、親子二人でパーティーを組んで冒険者をやってるんだ、そこに入ってもらおう思ってな」
「冒険者?」
「ああ、知らないか?」
「いえいえ、聞いたことはあるんですけど、その、冒険者って戦う仕事じゃないですか、それを親子で組んでやってる理由が気になったのと、あと、そこで俺って役に立てるのかな、って思って、それと、ラーナさんは了承してくれてるのかなって」
「ああ、ラーナの事は気にしなくていい、もともとラーナからの提案だしな」
そこで一息つくと続けた。
「で、二人でやっているのには色々と理由があるんだが、話すと少し長くなるからまた今度機会があったら教えてやる。でだ、役に立つかどうかだが、そのとおり、今のお前は確かに冒険者として役に立たない」
自分で役に立たないかも、って言っといてなんだけど、面と向かって役に立たないといわれるとすこし傷つく。自分勝手だとは思うけど、やっぱり期待されたいもんなんだな。などと思っていると、グレンさんは言葉を続けていった。
「だが、これから俺らでお前を鍛えれば、なんてことない」
「でも、どうして俺を入れてみようと思ってくれたんですか?」
「ああ、それはお前がピリカルの加護を受けていたからだ」
またもや出てきた謎の単語、ピリカルの加護とやらは万能すぎやしないだろうか?延命してくれたり、ある程度まともな人であることの証明になったり。
「ピリカルの加護があると、何があるんでしょうか?」
「あぁ、それはだな、お前………って、もう何度お前って言ってるんだよ、これすげー呼び辛いしいい加減お前、はぁ、お前さんの名前決めとこうぜ」
どうやら肝心なところでお前呼びにしびれを切らした様だった。気になるが、うーん、仕方ない、そのうちすぐにわかるだろうし、今は俺の名前を決めるか。自分の名前か、うーん、まあ、適当でいいか、じゃあぱっと出てきたこれだ。
「えっと、じゃあ、クとかでいいですかね?」
俺が適当に名前を決めた様子を見てか、グレンさんは渋い顔をした。
「ク?ク、だってぇ!?そんなふざけた名前ででいいのか?今後、多分一生呼ばれる名前だぞ、それにせっかく奴隷から解放された門出にそんな下手な名前つけたんじゃ縁起悪そうだろ」
「え、それは、まあ、確かに、じゃあ、グレンさん考えてくれますか?」
「はぁ、、、適当すぎやしないか?本当に。助けてくれたラーナに考えてもらえよ、あいつなら幾分ましな名前も思いつくだろ。それと、そこのピリカルの呼び方を早く決めてのやれ、命の恩人だぞ、適当な呼び方してたら罰あたあるぞ」
「確かにそうですね、ありがとうございます、ごめんな、ピリカルさんや」
申し訳なく思って言うと、会話を聞いていたのか、ピリカルは嬉しそうに返事を返してくれた。
そうして俺は、名前を決めてもらうためにグレンさんに部屋を聞いてからラーナさんのもとに行った。グレンさんはその時、「お前、一応言っとくけどラーナを襲ったりしたら許さねからな」と警告をしてくれた。ラーナさんへの深い愛を感じたけども、言ってる時の顔が怖すぎてちびるかと思った。いつか恐れてたあの禿を軽く上回る恐怖を感じたよ、ほんと。最近は最強の恐怖の更新が目白押しだな。
そうして、ラーナさんの部屋の前についてノックをすると、返事が返ってきた。
「はーい、だれですか?」
「あの、俺です」
扉越しに返事が返ってきた。
「ああ、君ね、どうしたの?」
「あの、ラーナさん、ちょっとだけ時間もらっていいですか?」
「いいよ、用件はなに?」
またも扉越しに返した、やはり男だから多少なりと警戒しているのだろう。ラーナさんは美人だしな、このくらい気を使ってないと確かに危ないだろう。
「あの、自分の名前が決まらなくてですね、適当に決めるのもなんだと言われたので、俺を助けてくれたラーナさんに聞こうと思って」
「あぁ、そういう事か、確かに名前がないと不便だしね、よし、ここは私が一肌脱いでやろうじゃあないの」
ラーナさんはそういって鍵を開けて部屋から出てきた後言った。
「よし、リビングに行こう」
「はい」
そうしてリビングについて椅子に座ると、グレンさんと俺とラーナさんの三人で椅子に座った。
「よし、じゃあ、君の名前を決めよう」
ラーナさんはそういうと、俺に質問をしてきた。
「君は何か夢があったりするかな?」
「ありますけど、どうしてですか?」
「えっとね、名前に夢に関する何らかの単語を組み込んだらどうかなって思ってね、それで」
「そうですか、俺の夢はですね………」
俺は少し考えた、本当の夢をすべて言うべきかを。あまりにも俗欲にまみれた夢で、女性にとっては余り好ましいものでは無いと思ったのだ。
「言い辛かったら、言いやすいのだけでもいいよ」
どうやら少し詰まったのを見て何やら察したようだ、少しにやにやとして言った、少しばかり恥ずかしい。が、気遣い??に感謝してここは言いやすいものだけ言おう。
「世界中を回りたいです、冒険して、いろんな場所を知って、いろんな人と知り合いたいです」
「そうかそうか、分かった」
聞いた後、ラーナさんは考え始めたのだろう、目をつぶって顎に手を当て、うんうんとうなっていた。こんなに真剣に考えてくれるなんて有難い限りだ。そうしてくれているのを待っていると、グレンさんが何やら話しかけてきた。
「さっきのピリカルの加護の話だがな」
どうやら先ほどの続きを話してくれるようだ。
「ここらで古くからある言い伝えの中に、ピリカルの加護を受けたものが持つ、偉大な魔法についての言及があるんだよ。こんな感じのとこだな」
グレンさんは続けて言った。
「ピリカルの加護をうけし者は、偉大なる魔法を操り、この世の転換点となる」
「とか何とか言っていた筈だ、まあ、あんまり詳しくは覚えてないがな、それがお前にも使えるんじゃあないかって俺たちは思ってるんだ、使えたら冒険者の仕事に役立てられそうだろ?」
グレンさんは冗談めかすように、しかし何処か期待を込めたような目で言った。だが、しかし、どうにも信じられなかった俺は聞いた。
「その感じだと、かなり昔の御伽話みたいなものなんじゃ無いんですか?」
「まあ、そうだな、そんな感じだ、確かに、こんな奴が本当に現れたって記録とかそう言うのは存在していない」
だが、とグレンさんは続けた。
「だが、お前が見つかった時、ピリカルの加護で延命されてたと言うじゃねぇか」
「そこが信憑性を高めたんだ、だがしかし、いくらピリカルが人に懐かないとはいえ、これじゃあまだここまで期待するには全然足りないと思わないか?」
「そう、」と、心なしかグレンさんは興奮しながら続けて行く。やはり、幾つになっても、例えある程度育った子供の親になっても、男は変わらず冒険心を持ってしまうのだろうか。俺もつられて、段々とテンションが上がって来てしまっていた。
「お前、その体、自分の服が変わってるのに気付かなかったか?」
そういえば、と、服が変わっていることに気づく、着心地の良い服だったから今まで気付かなかった。
「この服に何かが?」
「いや違う、やっぱし知らなかったか、それはただ元からうちにあっただけの服だ」
グレンさんは否定して、そして次を促した。ほんと今更だけどこれ、中々着心地良いな。誰のなんだろ。
「え?じゃあ、服の下に何かが?」
俺がそう言うと、グレンさんは嬉しそうに笑ってから言った。
「ああ、そうだ、俺らが信じたその証拠はお前の身体にある」
今更だけど、俺は真っ裸の状態で見つかってたりするんだろうか?もしかして、ラーナさんに全てを見られてしまったんだろうか?何だか恥ずかしくなって来た。ふたりでよってたかって俺の裸をみてる姿を想像したら。うぅん、やめよう。なんか、なんか意味がない、意味がないよ。考えなくていいや。
そうして考えていたら、中々返事が来ないことに戸惑ったのだろう、グレンさんが声をかけて来た。
「おーい、どうした?大丈夫か?」
「あぁ、すみません、大丈夫です」
「なら良いが、、、胸だ、胸」
そう言ってグレンさんは自分の胸を叩く。
「ああ、そう言う事ですか」
俺は服の襟から自分の胸を覗いた。そこには、深く胸にめり込んだ何か黒い石と、それを中心に広がる幾何学的な模様があった。
「うわっ!?何ですかコレ!?」
俺は全くに見覚えのない2つに驚いた。石に触ってみたりするけれど、辺りが痛んだりすると言う事は無かった。
まるっきりめり込んでいるのにだ。それに感覚的な違和感もない。
「今の今まで知らなかったということは、お前が寝ている間についたんだろうな、それも言い伝えの中にあってな、その者は胸に紋章と、黒い隕石を持つんだとか何とか」
またのうる覚えだがしかし、俺は少しばかりの期待を感じていた。そこまで一致するならばと、可能性を感じたのだ。
だが、何と言うか、コレはちょっと怖い、何てったって意識が無いうちに胸に石がめり込んだ上に謎の模様が胸にめり込んだって言うんだ。少しはビビらない方がイカれてる。
びびっていると、グレンさんが話を続けた。
「ここ迄異様な物が有るんだ、信じるのも無理無いだろう」
「そうですね、ありえそうです」
「だろう」
そう言って、自信満々なグレンさんの様子を見ていると、ラーナさんが、ついに俺の名前を考えついてくれたようだ。満足気にこっちに向いた。きっと会心の出来なのだろう。
「君の名前、漸く決まったよ、、、、、、、、、、、君の名前は────────────」




