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夕食の時、突然告げられた。
「一姫、急で申し訳ないが…北海道に引っ越すことになった…」
「えっ?」
いきなりおとうさんから、引っ越す。と言われた。
「ごめんね、急に言って…お父さんの転勤が決まったの…」
おかあさんが謝る。
「おかあさん、あやまらないで、私は大丈夫!」
そうだよ。あやまらないで。
しょうがない…
しょうがないんだから…
でも、胸がモヤモヤする…
なんで?
*・゜゜・*:.。..。.:*・'
引っ越す…
ご飯を食べ終わって、自分の部屋にあるベットに寝転がる。
ちょっと実感がない…
でも、
「これで嫌がらせしてくる子たちと離れられる…」
そうだ。もうない。
学校の教室に着くと嫌でも目に入る落書きされた机も、
お手洗いのたびにかかってくる水も、
とげのような視線も、
嘲笑う声も、
でも、
でも。
「宇宙ともう会えない…?」
そうつぶやいた瞬間、目から涙が溢れた。
「なんでっ…」
嫌がらせしてくる子たちと離れられて嬉しいはずなのに…
それ以上に…
「そっか…嫌なんだ…宇宙と離れるのが…」
それ以上に、宇宙と離れたくない。
机に落書きをされても。
水がかかってきても。
視線が痛くても。
笑われても。
いつだって救ってくれて、いつだって味方だった宇宙と。
離れたくない…