夜蝶(アルテミス)
蝶は人の魂が生まれ変わった姿だと聞いたことがある
ほんとうかはわからない
たぶん、
ほんとうではないだろう
でも、子どものころに見たそれは、
そんなことを思わせるほど、
とても幻想的な雰囲気を感じさせてくれた
大水青
月の銀青色を写し取ったような輝く青白いすがたは、
いまも心のなかに、しっかりと刻まれている
人は蝶の姿でこの世から旅立つのだろうか……
オオミズアオとなった魂は、きっと月へと還るのだろう
月の世界、魂の還るところ
おだやかな光をたたえて、夜をやさしく照らす
月のひかりのもと
よるのそらを見上げて
あのひとを想う
今夜も、
夜の蝶が翔ぶ
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大水青
オオミズアオの成虫には口がありません。
全ての生命力を使い、
相手を見つけて交尾し、次世代をもうけて、
一週間ほどで、この世から去ります。
夜蝶の生は儚いものです。
美しく幻想的に見える姿は、そのせいでしょうか……。
生きること、生きつづけること。
とても不思議で、
とても美しいことなのかなと、そんなことを思いました。