表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 田中浩一
3/8

バイクと友情と愛

16


城島隼人(きじまはやと)は、白赤の自分のバイクに近寄ると、

「俺のペガサスよ。今夜もともに羽ばたこうぜ」と言いながら、タンクのウイングマークに右手を置き、目を閉じる。

一分間。

それが、彼の、ルーティーン。

跨がる。

バイクに火が入る。

軽くレーシング。

チタンマフラーが虹色に光る。

「今夜は『風の女神』に会えますように」

そしてやっと、夜に包まれた街へ走り出す。


「えぇっ、まじでっ?」

美凪は、思わず声を上げる。

今夜の夕食当番は美凪で、渾身の二度揚げから揚げとアスパラベーコン巻き、そしてシチューを作っていた。

「ごめん、大浦さんとこに不幸があって、急遽お休みでさ~。母さんが出ることになったの」

旦那が行っても、役に立たないから、そこはやっぱり奥さんがいくことになるわけよ、とも一人言のように言う。

由美子は、シチュー以外のおかずをぱっぱっと弁当箱に詰めると、

「ほんじゃ、行ってきます。戸締まり、ガスの元栓、消灯、よろしくっ」そう言って、出ていった。

ひとりの食事は、侘しい。

テレビで、コンビニの焼き鳥が割引中とやっているのをみて、食べたくなった美凪は、自転車の鍵を持つと、家の鍵を閉めて、出る。

近くのコンビニだから、電気はそのまま。

自転車のそばに行くと突然、ガサッと音がして驚いてそちらを見ると、バイクカバーの下から猫が出てきた。

人生のストーリーの始まりはいつも、些細なきっかけから始まる。

美凪は、家に引き返すと今度は戸締まりをして出た。

ジャンプスーツに、今夜はつい最近、勇二と守人にプレゼントされた、アライのヘルメットを被る。

何でもない日のプレゼントさ、と笑っていたふたり。

火を点す。

鼓動が、落ち着いてきた。

美凪も、ゆっくりと夜に包まれていった。


17


井上勇二と中島守人はふたり、鹿児島市内のボーリング場にいた。

近くに大学があるせいか、学生が多い。また、すぐそばに、全国チェーンのバイク屋もあるからか、バイク乗りのいろんなバイクが、駐車場に並んでいた。

3ゲーム終わって、3戦3勝なのは、守人。

「なぁ、勇二。ボーリングってのはさ、頭を使うゲームなんだよ」

勇二の3ゲームの足したスコアが、百にも満たなくて、守人は笑う。勇二は、ハイハイと両手をあげる。

「そのマイボール、歪んでるんじゃないの?」

勇二はマイボール、マイシューズ持参で来ていた。どちらも。緑色。

特にマイボールは、グリーンに黄色と黒のラインがうねうねと入っていて、全体がラメで光っていた。

「玉虫か。それとも都知事ファンか?」

守人に最初から最後まで、そのネタで茶化された。

「そっちじゃねぇよ。さ、終わろうぜ」

勇二が清算に行く。その間に、守人はスマホとは違う、タブレットを取り出して、見る、

勇二が、戻ってくると、タブレットを見せながら、

「葛城のやつ、今夜も走ってやがる」と言って苦笑する。

「あれ?おかしいな、今夜はあいつのお母さんのシフトは休みのはずじゃ」

勇二は首を傾げる。

タブレットには、市内の地図が表示されていて、そこに赤い点が、東から西へ移動していた。

かなり速い。

駐車場から舗道まで、バイクを押して出ると、目の前の道路の、路面電車の線路の向こうを、三台のパトカーがサイレンを鳴らしながら走っていく。

すると、遠くからも、サイレンが聞こえ出した。

「何が起こってるんだ?」

守人が呟くその後ろにいた大学生の数人が、口々に喋るのが聞こえた。

「ジャッドが、走ってるらしいぞ」

守人が勇二に振り向きざま訊ねる。

「ジャッドってなんだ?」

「地元の暴走族だよ」

「暴走族にしちゃ、ジャッドって、他に名前があるだろうに」

「郷土愛にあふれてるんだよ」

なるほどねと、守人は笑う。

「こりゃ、しばらく走らない方がいいかもな。とばっちりを食いそうだ」

そう、勇二が言ったとたん、ふたりは同時にひらめいた。

「葛城が、ヤバイっ」


18


「ラッキーちゃちゃちゃっ」

城島隼人は、フルフェイスの中で、思わず歌った。

「見つけたよ~ん、愛しの『風の女神』ちゃん」

クラッチミート。

加速するバイク。


ちょうど、西郷隆盛像の前を過ぎた辺りだった。遠くのあちこちで、サイレンが聞こえた。

それより、よく聴こえたのは、「ラクカラチャ」「パラリラパラリラ」「ゴッドファーザー」。

何が起こってるのかしら?美凪は、自分のことではないなと思いながらも、捲き込まれそうな不安を感じていた。

そんなことを考えていて、後方から近づいてくるバイクに気づくのが遅れた。

ミラーに映ったバイクは、あっという間に、横に並ぶと、ライダーがシールドを上げて、

「今晩は。麗しのきみ。僕の女神様!」と浮わついたことを言いはじめた。

よほど、地声の大きな男なのだろう。

走っているのに、ヘルメットの中に、聞こえてくる。

明らかに大人の男で、なおかつ走行中にも関わらず、ナンパに来ているのは、気持ち悪いやつだと、思う。

サイレンの音の方へ行かないように、そちらに注意をして、走行する。

それで、相手を無視していると、

「ねぇ、名前は特に聞かないよ。僕は、城島隼人。『風の女神』の風に乗って、羽ばたく翼になりたいんだ」

タンクを叩くから見れば、ウイングマーク。

美凪は、メーカーに疎いから、勝手に貼った自己アピールのステッカーだろうと思った。

羽ばたきたければ、勝手にどうぞ。この鳥野郎。

そう、心の中で、罵った。

「今度の日曜日に、鹿児島駅そばの『かんまちあ』に待ち合わせて、熊本方面のやまなみハイウェイにツーリングに行きませんか?」

この喧騒の中で、なんて悠長なことを言ってるんだろうと、さらに無視すると、

「そうだっ、デート代は全て僕もちで。誘うんだから、当然だよね。とにかく、君と走りたいんだ。走るの好きだろ?」

最後の言葉は、なぜか響いた。

警察憎しで、警察の鼻を空かしてやろうと、バカにして見下してやることで、過去の恨みの溜飲を下げていた。でも、ここ何回かは、信号も止まるし、景色も楽しむようになっていた。

昼間、休みのたびに、ツーリングする数台のバイクを見ると、そのうち井上くんを誘って、遠くに行きたいなとも、思うようになっていた。

オートバイが、無心で走ると言うことが、憎悪を洗浄してくれたのかもしれない。

その時。

「そこのバイク、左に寄って止まりなさい」

パトカーが、すぐ後ろにいた。


19


「今夜は、暴走族及び暴走車両の一斉摘発を行ってるんだ。遠くの、ラッパミュージックはきっと、ジャッドだろう。

僕が後ろのパトカーを引き付けるから、君は逃げなさい。事故には気をつけて。また、日曜日にかんまちあで会おう。アディオース、アミーゴっ!」

そう言うと、鳥野郎こと城島隼人はスルスルと後退した。

美凪がミラーで最後に見た景色は、鳥野郎がしばらくパトカーの前をフラフラしたあげくに、路肩に止まる画だった。

いつの間にか、目の前には国道3号線を横たえる交差点に来ていた。

信号は、赤。

止まる。と、右角のガソリンスタンドから、

「はい、そこのバイク。そのまま歩道で停車してください」と見慣れないパトカーが、出てきた。

今までのセダンタイプと明らかに違う。

まず、ドアが二枚しかないし、やたら車高は低いし、バンパーの開口部が大きい。

「ただ者ではないな」

美凪は、ひとり呟くと、右を見ながら、左にバンク。

「待ちなさい。止まりなさい」

いやに丁寧な言葉も、余裕を感じさせるパトカーは、丸4灯テールをわずかに沈ませ、四輪で加速する。

あっという間に、美凪のバイクに接近。

ゲッと思いながらも、左に揺らして、思いっきり右にバンク。

対向三車線を一気にまたいで、細い路地に入ると、さらに右へ。

甲突川(こうつきがわ)沿いを戻ると、平田橋を渡り、そのまま鹿児島中央駅へ、駆っ飛ぶ。

巻いた、と思った瞬間。

鹿児島中央駅が見えたと思ったら、高見橋電停方向からあの、「パラリラパラリラ」が聞こえてきた。

10数台のバイクが、フラフラと走ってくる。先頭車両は、なぜだかライトが高いところに着いている。

美凪はそれを見ながら、「これもツーリングかしら?」明日、井上くんに聞いてみよう、と思った。


20


先頭車両の高く上がったライトより、後方車両のアメリカンのバイクのライトは、更に高かった。

アメリカンの座りかたからなのか、ライトが高い方が格上な感じが、美凪にはした。

その後ろに、ハイリフトの四輪駆動車が続く。

リフトされた下をくぐれそうなほど、高かった。

「どうやって乗り降りするんだろ?」

美凪は、まるでお神輿だと思い、回りにはしごを探したけれど、見つからない。

その更に後ろに、数台のパトカーが、赤色灯を光らせて追従する。

ラッパミュージックに警察の警告に、それは賑やかなお祭りだった。

その時スマートフォンが震えた。

勇二だった。

「はい。もしもし」

「おっつー。そこから大学方面に走るとボーリング場があるんだけど、守人といるから、おいでよ」

「そこからって、わたしのいるとこ、わかるの?」

美凪は、キョロキョロ探したけれど、群衆のなかに勇二の顔はない。

「中央駅だろ。俺と葛城を繋いでるのは、電話だけじゃないぜ」

キザな言い回しに一瞬、鳥野郎を思い出した。

「今は無理かも。お神輿を見てる人たちだらけで、走れないよ」

「お神輿?」

「あっ、ちょっと待って」

お神輿の後ろのパトカーの中に、さっきのパトカーを見つけた。

「つり目が来た。できるだけ、たどり着けるように、頑張る」

そこで、スマートフォンを切った。

「あれっ?おい、おい。葛城?」

「どうした?」

守人の心配顔。

「お神輿とか、つり目とか言ってたけど」

ふたりは顔を見合わせて、黙ったまま、中央駅の方を見つめた。


21


美凪は、「ごめんなさい、通ります」と頭を下げながら、人混みのなかをバイクを押しながら、中央駅東口一番街に向かう。

アーケード商店街も、ほどほどに混んでいたけれど、押して歩くには、十分空いていた。

途中、左へ折れて、路面電車の走る道路に出る。

のろのろ動くお祭り隊はまだそこまで、来ていなかった。

跨がりエンジンをかけると、右折する。

ボーリング場までは、すぐだ。と、左の脇道の一車線から、パッシングされた気がした。

通り越してから、左ミラーで確認すると、つり目だった。

「しつこいっ!」

どうやら中央駅から、脇道を通ってきたらしい。

「はい、ナンバーの見えないそこのバイク。左に寄って止まりなさい」

相変わらず、警察は他力本願、努力しない。

そうは思いながら、今回は勝手が違う。引き離せない。

右に揺らしてフェイント。

直ぐに左バンク。

クラッチミート。

加速。

ミラーに一瞬遅れて、つり目の青白いライトが映る。

あっという間に、ミラーに大写しになる。

直ぐに、右バンク、そして、左へ。

一車線を電柱すれすれに、(かし)げてすり抜ける。

ミラーから消えた。

ミラーから前に視線を戻すと、つり目の横っ腹が見えた。裏道から廻ってきたのだ。つり目は急停車、バック、そして、右折。

来るっ!

美凪も急ブレーキ。

フロントホークが沈む。

直ぐに再加速。

右を見る。

リアブレーキ。

プルクラッチ。

リアタイヤロック。

右にハンドルを切る。

リアサスが伸びる。

アクセルオン。

クラッチミート。

スピン。

前傾姿勢。

荷重移動。

リアブレーキを当てながら、ハンドルを刻む。

バイクの傾きをコントロール。

シフトダウン。

180度転換終了。

ゴム片を飛ばしながら、前へっ!

「ひゅーっ!」

つり目の、スピーカーから思わぬ、歓声。

それでも、

「止まりなさいっ!」は変わらない。


22


勇二は守人のタブレットを覗き込む。

「今、どこだ?」

守人は答える。

中山(ちゅうざん)方面。地図にも載らないような、山道だ」


車一台、やっと通れるような、山道。

林道だけれど、舗装され、崖側にはガードレールも備わっている。

とはいえ、二輪に山道は恐怖だ。特に下りは、身体を起こしてしまう。

うねうねとした道を走りながら、どうか対向車が来ないようにと祈りながら、美凪はバイクを駆る。

パトカーも、追跡車両が、事故を起こされてはたまらないから、ある程度の距離を置く。

幅広のボディは、道幅いっぱいだったこともある。

とばせない。

一旦、登りきると、次に下りが来る。

頂上で、はるか向こうに指宿(いぶすき)スカイラインが見えた。

どうしても体が起きる。

スピードも落ちる。

後方が気になる。

焦る。

ミラーを見る回数が増える。

その時。

思いもよらない急カーブが現れた。

右バンク。

お尻を落として、左膝でバイクを倒す。

ズルズルと、ガードレールに迫る車体。

トラクションコントロールでエンジン回転数は落ちるも、間に合わない。

一か八かだった。

身体をシートに戻すと、リアブレーキを踏み込む。

リアタイヤが滑る。

ハンドルを左に、クラッチを切る。

二輪が滑る。

慣性ドリフトになる。

シフトダウン。

クラッチミート。

アクセルを開ける。

リアタイヤがグリップを取り戻した。

それでも、そこにガードレールが迫る。

思わず左足で、蹴るっ!

三回蹴って、軌道にもどる。

膝から先が痺れる。

でも、止まれない。

警察憎し。

警察憎し。

警察憎し。

こいつらに捕まってなるもんか。

こいつらに捕まるくらいなら、

「死んだほうがましだっ」


23


内燃機関エンジンは、燃料がなくなると、動かない。

わずか17リッターで480キロ走れるとメーカーでは言うけれど、それはそれ、人による。

「どうする?」

守人が、まだ移動し続ける赤い点滅に安堵しながら、勇二に訊ねる。移動手段は勇二のバイクしかないのだから。

「俺の予想だと、ジャッドは産業道路沿いのどこか港に追い込まれて、一網打尽になるはずだ。だから、葛城には、その向こうの谷山の埠頭まで来てほしい」

「考えがあるんだな?」

守人の問いに、無言で頷く。

タブレットを、見る。

「とにかく、電話はかけ続ける。行こう、谷山に」

守人は、勇二の後ろに、跨がる。


左足が限界だった。

もう爪先が、石のようだった。

アニメや映画のようにはいかないんだと、改めて思う。なぜだか、クスリっと笑いが漏れる。

お父さんのところに行くのか。

悔しいけれど、わたしの力不足。

目の前に三叉路。

二車線の道路が横たわる。

低音のエキゾーストノイズはまだ、山の上。ライトが途切れ途切れに見える。

三叉路突き当たりに、行き先案内の看板。

右に谷山とある。美凪には、それしか見えなかった。左に傾くには、左足が荷重を嫌がった。右に、曲がる。

スマートフォンが震えている。

救いの手がさしのべられている。

ミラーを見る。

まだ、敵は山腹なかほど。

止まる。

左足に力が入らず、転倒する。

「チクショウっ、チクショウっ」

バイクを起こそうとする。215キログラムプラスアルファの車体はおいそれとは、起き上がらない。

ここまでか。そう思った。スマートフォンをとる。

「葛城。谷山港までこい。俺たちがそこにいる」

勇二の声。

なぜだか涙が出る。

「うん。行く」

美凪は、右膝をバイク下に入れる。腰を、1、2、3で跳ね上げる。左足が悲鳴を上げる。エンジンは止まっている。

下り坂。

クラッチを引く。

転がしながら、ジャンプして跨がる。

なん速か、確認せずにクラッチミート。

ブスッブスッとバイクが愚図る。

「お願い」

願いは届く。

派手なバックファイヤーを鳴らして、息を吹き返すと、傷ついた女神を乗せて、鉄馬はまるで自身の意思を持つように、走り出した。


24


産業道路まで、下りてきた。

片側四車線。信号が変わると右へ進路を取る。

どこをどう走ったのか、美凪には、わからない。バイクが導かれるように勝手に走っているようにも感じる。

潮の香りが強くなる。

巨大なコンテナ群が並ぶ場所に出る。

暗がりに、ポツポツと軽トラックや自動車が止まっている。それらも軽自動車が多い。鹿児島らしい。

夜釣りをしているようだ。

誰も美凪を気にする者はいない。

堤防の先には、真っ黒な海が凪っている。

美凪は、ライトを消す。

低速だが、ギアが高いのか時々ノッキングする。でも、左足はもう、動かない。

静かに、赤色灯を回したつり目が、港に侵入してきた。

釣り人はみな、定期的な見回りだろうと、これも気にしない。

美凪はコンテナを回って、コンクリート造りの漁協の事務所の前にバイクを止める。

倒れた。

もう、動けない。

息が苦しい。

意識が遠のくなか、人影が近づいてきた。

ふたりは手分けして、一人が美凪を、もうひとりはバイクを起こすと、事務所横の倉庫との路地に入っていく。


25


温かい空気を感じて、目が覚めた。

ゆっくり視点が合っていく。

井上くん?

勇二の顔が、上昇していく。

何してたんだろう?頭のなかに(もや)が掛かったようで、判然としない。

白い天井、白い壁、白いカーテン。

入院したことがなくても、ここが病室だとわかる白さ。

全部、夢だったのか?

左足を動かす。動かない。視線を落とす。吊られた自分のものらしい左足が見えた。

「井上くん」

自分でもか細いなと思う声掛けに、

「おっ、気づいた?もう大丈夫。井上病院へようこそ」と反応が良い。

「バイクも無事だよ」

そう言われて、「ありがとう」と微笑んでみる。

少しずつ、思い出してきた。

暴走族を見て、つり目のパトカーに追いかけられて、山道でガードレールを蹴った。

「あぁ、あのときの怪我か」

ボソッと呟く。

「どのときの?」

勇二はどんな小さな声でも、聞き逃さない。今ならきっと、アリの歩く音も聞こえるかもしれない。

「ガードレールを、蹴ったの」

「そりゃ、すごいな。俺は蹴られないようにしようっと。で、ガードレールは無事なのか?」

笑っていた。

つられて、笑った。

少し足に響いた。

でも、笑い続けた。

と、急に思いついた。

「さっき、わたしに、キスしたでしょうっ!?」

勇二は笑いながら、美凪の足元から、後ずさった。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ