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盗賊稼業も楽じゃない!  作者: 北極えび
第二章 ー古代の暴君ー
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巨大蜘蛛

登場人物


リシュ・レミルトン 駆け出し盗賊

リティア・ウィンフィールド 先輩

シンシア・ルフィン パワー系プリースト

アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー かぴばら

ララ・ヘルミナ お子様メイジ

ジーン・トアロ 盾なしウォリアー

マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段

ジェフリー マシュマロボディ

ルーファス 大剣メイジ

ティアナ 意識高い系のプリースト

ウォーレン・ジーク シーフのマスター

 パーティに新たな仲間、ニューフェイスのゴーレムくんが加わり蜘蛛の

ミッションが楽になったは事実だけど、俺は妙に胸騒ぎがしていた。

 虫の知らせというべきか、アリッサという少女は良く云えば天真爛漫。

悪く云えば刹那的に感情が変わる様で、次に何をしでかすのか予測出来ない

怖さがある。それに自分が召喚したへるぴを野放しにしても気にしないタチ。


”そういやゴーレムは召喚獣じゃないよな。いきなり行方不明になるなんて

 事はない・・・ハズ。あれだけ大きいし”


 へるぴに関しては、子犬の小ささと素早しっこさが組み合わさった上に

黒い塊みたいな感じなので、人の影部分に入ったりすると見分け不能。

 そんな事を考えていると、蜘蛛を見つけたゴーレムがベアハッグで捕まえ

ると、奥から巡回していた蜘蛛の軍勢がゴーレムの背後へ忍び寄って来た。


「あちゃー、あんなに大勢隠れてたなんてねー」


「お、おい他にも出てきたぞ。とにかくこちらに一匹釣ろう」


「了解、ゴーレムがヤバそうならデコイを出して注意を反らすよ」


 次々と現れる蜘蛛を見たアリッサが大勢と言ってるけど、目で確認出来る

数は3,4匹。ジーンが正面の蜘蛛に突っ込んでいくがゴーレムくんの背後

にいた敵は糸を吐いてゴーレムくんの頭と足に絡ませ、ゴーレムくんは体制

を崩して床に倒れて、重さのせいか半ば木材に埋もれている。


「うっそー。負けるなゴーレムくんっ」


「いや戦況的にマズくない?あれじゃ上半身しか動けないんじゃ」


 どうもオカシイと少し感じていた。自分達より巨大な相手の動きを止める。

そういった攻撃法を取れる事が、まずは腕の部分とか実際に掴まえてくる部分

を狙っても良さそうなのに。そうしなかった、つまりこの蜘蛛達はここに来る

相手の挙動を学習し、それに合わせて手法を変えてくるだけの知能がある。


”ゴーレムを動ける様にして、仕切り直すべきだよな”


 元々は手に握れるサイズだったのだから、アリッサが何かすれば元に戻るの

では?それを回収してから再度立て直すのが得策だと考えていたのだけど。


「うーん、とりあえず動くのか少し魔力を込めただけだからねー。

 フルチャージならあのくらい問題ないっしょーっ」


「そ、そうだったのか、それは頼もしい」


「え?そうなの、振りほどければこのまま押し切れそうですね」


 挑発して釣った1匹を相手しながらアリッサの話しを聞いていたジーンが

もっと魔力を込めれば何とかなりそうと聞いて、表情に余裕が出ている。

 シンシア姉さんも、その場のノリというかアリッサの緊張感の無さに活路

があると判断したのか安堵しているが、俺は少し斜めに構えて見ていた。


”戦いの場じゃ。例え安堵する事があっても本心では、よく観察しろ”


 これはシーフのマスターから言われた言葉だ。意思相通が出来ない相手だと

尚更、こちらの感情など知りえない。そんなのが相手なんだ。どこから不意を

突かれるか分ったモノじゃない。そういう意味では、あの蜘蛛が完全に緊張感

を無くすのは俺達がこの場からいなくなる事。つまり女神送りにされた時。


「よーし、いっくぞー。待っててね、ゴーレムくん」


「ちょ、せめてこの1匹をどうにかしてからの方が・・・」


 そう言うとアリッサは手をかざしてゴーレムに魔力を注いだ。俺は焦って、

相手にしている蜘蛛を処理してからとアリッサに告げたけど聞こえてない模様。


”何だろう・・・順番おかしくね?普通いま戦ってる蜘蛛を倒してからだろ”


 そんな自問自答ツッコミが頭を過ぎると同時に、魔力を注がれたゴーレムは

プルプルと震えだし、挙動が酒を持った酔っ払いの手みたいになっている。

 数秒後、豪快に立ち上がったかと思えば、手当たり次第に暴れ始め。

蜘蛛3匹とジーンを吹っ飛ばしてまるでゴリラの様に胸を叩いている元仲間

っぽいゴーレムさん。巻き添えを食うというのが的確過ぎて唖然とする僕達。


「あちゃー。魔力プールの限界突破しちゃったかなー?」


「突破って、もしかして・・・アレただ暴走してるだけじゃ」


 素っ頓狂に話すアリッサの魔力プールという意味が分からないが、許容

限界があったっぽい。その様子を見ていたシンシア姉さんもさすがに気づいて

アレ呼ばわりにっ!頼れる仲間が一瞬にして狂戦士というホラーなんだぜ!


「お、おい、あれ止められるのか?」


 さすがに何か方法があるのだろうと、派手に吹っ飛んでいったジーンが起き

上がって回復薬を飲みつつ、こちらへ向かいながらアリッサに聞いている。

 見た感じダメージはそこそこあった様だけど気絶しなかっただけラッキー。


「うーん。あの子はこの家に住まわせるってことで逃げようー」


「エェッ!?」


 さすが生粋の放任主義。つまり策はないってことかっ!ジーンに逃げる合図

をして、元来た通路へ向かったのだが、後ろから暴走ゴーレムがやって来る。


”な、何で俺たちを追って来るんだアイツは!!”


 もしかしてアリッサだけ狙ってるんじゃ?とか考えながら、出来るだけ

急いで入り口へ向かおうとした時、背後にあった部屋からけたたましい音が

聞こえ、眼前さえ霞む埃と飛び散る木材、何者かがゴーレムに体当たりした。


「す、凄い音したけど何も見えん。皆平気か?」


「埃で目が・・・自然のデバフを食らった感じだ。こっちは大丈夫」


 突然の出来事に足が止まり、というか埃で目を開けてられない。ジーンの

声が聞こえたので、後ろを向くと次第に視界を取り戻してきたけど、あの石

で出来たゴーレムが跡形もなく粉々になり、俺達の目の前には巨大な黒い塊

かと思うほどバカでかい巨大な蜘蛛がいた。しかも紫色のオーラを放って。


※ネームドモンスター 通常のモンスターが変質、強化したもので凶悪なのは

 紫色のオーラを纏っている。更に禍々しい黒紫色もいるとされる。


 何がどうなったのか全く分らなかったが、俺は気づいたら霊体になって

いた。とりあえず館の入り口にある女神像の所まで行くと、さっきまで近くに

居たジーン、シンシア、アリッサもいるので全員が女神像送りになった様だ。



 霊体のまま意思疎通を取る方法を俺は知らないので、女神像に祈り復活した

あと何があったのか仲間達に聞いてみたら、巨大蜘蛛の前足の一撃で起こった

爆風で皆女神像送りになったと云う。そんな攻撃されてたのか全く覚えがない。


「くー、くやしい!あんなの居るなんてっ」


 アリッサは悔しそうにしているが、石で出来たゴーレムを一撃で破壊し、

パーティ全員をワンパンで倒せるなんてとんでもない奴なのは間違いなかった。


お読み頂き有難うございます。

拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。

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