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盗賊稼業も楽じゃない!  作者: 北極えび
第二章 ー古代の暴君ー
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役割通りの動きを

登場人物


リシュ・レミルトン 駆け出し盗賊

リティア・ウィンフィールド 先輩

シンシア・ルフィン パワー系プリースト

アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー

ララ・ヘルミナ お子様メイジ

ジーン・トアロ 盾なしウォリアー

マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段

ジェフリー・スチュアート ミケポの盾

ルーファス 大剣メイジ

ティアナ 片手鈍器オーガ

 何だろう、先輩が戦っている時に見せる表情は楽しげというか

遊んでいる感覚に近いのだけど、同じ女性でもコイツは危険な感じがする。

 血が滾って(たぎって)見境が無くなる性格なのだとしたら最悪。

こっちにも被害が及び兼ねない。狂戦士というよりマッドネス・オーガっ


”しかし案外体力高い敵なんだな。あの攻撃受けても倒せないなんて”


 先輩レベルだったから楽に倒せたんだろうなー。と考えつつ、デコイを

出したとしてもスキルレベルが低いのもあって、そんなに時間を稼げない。

 敵が4対だとほぼ数秒しか持たず、3体のニードルフェザーはデコイを

使った俺にヘイトを向けてきて、1体は片手鈍器殴りオーガが相手をしている。


「向こう1体か、こっち3体はマズいな。ここはヘイトを切って罠を作るか」


 小型の盾を使い、うまく戦闘での立ち回りをみせる鬼の顔のひと。何回か

この羽虫ミッションを経験してる立ち回りだ。そんなパーティーメンの動きを

見ながらも、俺に3体からヘイトが向いている事に対して恐怖を感じていた。


”毒罠なら踏ませてデコイのCT回復まで逃げていれば・・・”


 シーフが使用するスキル「ステルス」はヘイトをリセットする事も

出来る。姿が見えなくなるので特殊な感知を持つ以外のモンスターは攻撃

目標を見失ってしまう。盾であるジェフリーが女神像のお世話になってるし、

ココはヘイトを切って毒罠を設置する為に、俺はステルスを発動。


「ちょっ盗賊!ナニ消えてるのよ。こっちに敵が来るじゃない!」


 1体の敵を倒した片手鈍器がそんな声を上げているのをステルス中の

透明人間状態で見ていると、俺の近くにいたニードルフェザー3体は感知

範囲内にいたマッドネス・オーガ達の方へ向かって行く。


”いくらなんでも駆け出しシーフが3体も相手できるかーっ”

と息を殺して心の中で呟く僕。


「ほらアンタ、振り回せるからそんな剣を持ってるんでしょっ

 さっさとアレに攻撃しなさい!」


 意識高い系にそう言われて後ろを見ると、あの大剣メイジがフラフラと

歩いて両手剣を構えている。存在感のないメイジとか初めて見たわー。

 アリッサのキャラが濃いせいか、メイジって魔法大好きっ!って感じだった

のだけど、コイツはもう全てが違う。別次元のメイジを目指しているかの様だ。


”魔法で攻撃しないんかいっ”


 ようやく構えて、大剣に魔法を使うのかと思ったらナゼか明後日の方へ突進

して行く。もうツッコみ要素しかなかったが、彼なりの美学があるのだろう。

 そんなやりとりを見ていると、あの片手鈍器オーガが大剣メイジの方へ逃げて

来て、彼の後ろに回り込もうとしている。


「その剣なら3体くらい当たるでしょっ。一度に全部当てなさい」


「ふっ、お任せあれ。当たったら、アイツらこの剣の錆になってますよ」


”おおっ、凄い自信だ!もしかしてアレはただの大きい剣じゃなくて

 刃の方に魔法が付与されている魔法剣なのではっ、ん?当たったら?”


 そう言って大剣メイジはヘロヘロしながら攻撃するにも、対して

敵には効いてなく、ヘイトすら取れているのか微妙ーっと思っていたら、

最初にいた徘徊位置へ戻って行くモンスターの姿が見え、2人が居た

場所は閑散として誰も、何もなかった。


”えー、あの防御無視を食らって2人共、女神に行っちゃってるーっ”


 3体が2人を見えなくしていたえので、まさか消滅して女神に行っている

とは思わずに、像からの復活待ちをしてるとジェフリーが申し訳なさそうに

鎧をガチャガチャいわせてやってくる。そういや、普通最初に像を探すよな。

 余りにも衝撃的な事が多すぎて、蒼の洞窟での基本的な事を忘れていた僕。


「すみません。まさか近くにあと3体もいるなんて」


「いや、間違えは誰にでもあるよ。それよりさ、この狩場って女神像は

 入り口にあるよね?確かそんな記憶が・・・」


「はい、入り口に有りますよ。すみません、最初に立ち寄るべきでしたね」


 ジェフリーをフォローしたのは俺も間違えが多いし、それが経験になる

からだけど、謝ってくれたのは駆け出し者に対して配慮が足りなかったと

ジェフリー自身が思っているからだろう。あの片手鈍器が急いでいる風だ

ったし、名も知らないあいつがリーダーっぽくなってキテルからなー。


「ちょっとあんたっ!盾ならきちんと単体のみ先に挑発しなさい!」


 まぁ、たぶんブチ切れてるんだろうなと思っていたけど、頭にデカい

絆創膏姿の意識高い系オーガも戻って来てすぐ、捲し立てている。

 もしかしたらあの攻撃を何発か耐えれたのかも。特に悪気があって

まとめたワケじゃなかったのに、まとめの芸風はアタッカーの火力が

ないと成立しないと先輩も言っていたっけ。かなり遅れて大剣も到着。


「いやぁ、申し訳ない。コレ握ってると魔法使えなくて」


”そりゃ両手で握ってるんだからムリだろ?というかお前があの羽虫の

 トゲ部分の錆になってどーする!”


 そんなツッコみを頭の中で入れていると片手鈍器がちゃんとロール

”役割”通りの動きをしてくれと、このメンバーに無理そうな事を言ってくる。


「とりあえず1体なら皆で攻撃すれば何とかなるはずよ」


 そんな計画というか、ごく当たり前のともいえる話し合いをした後、

俺たちはニードルフェザーの徘徊場所へ向かって歩き出した。


お読み頂き有難うございます。

拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。

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