召喚士みたいだね
登場人物
リシュ・レミルトン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
アデル スイーツ系悪魔
アンベル スイーツ系小悪魔
リッティ 肉球ドクロ
ウォーレン・ジーク 紫オーラ
フィリア 海底アイドル
話して説明するまでも盗賊と言ってしまえば嫌でも理解出来るだろうけど、
この街では盗賊のイメージが最悪だし、姉であるティアナの友達というのも
マズいかもなあと考えていたら「圧倒的閃き!」こういう場合、相手の事を聞
いて質問を有耶無耶にしてしまえばいいのだっ。それに先輩ならティアナの家
族の前で、俺達が盗賊というのを濁すと思う。ローレンスさんは自分が話すべ
き事と思ってなさそうだ。シーフと知ったら驚いていたけどあの場の勢いだし。
「いやまぁ、お姉さんの居るバークレイルでは色んなギルドがあるけど、俺の
ギルドも同じ街にあってさ。それで知り合いになったんだ。ところでルメリ
アさんは地元で何かのギルドに属しているのですか?」
自分でも不思議だったのだが、何でか「さん」付けで話してしまっていた。
初対面だけど同じ歳頃のリリィ、アリッサとは違って気品がある。オーラと
呼んでもいい。見た目が完全にティアナより箱入りのお嬢様なんだわ!
”いや。俺がティアナのあの裏の性格。拳で解決女子というのを知っている
からかも知れない。普通に殴るのが楽しいと語っていたからな”
「私ですか、そうですね。式神使いという陰陽師の方の見習いをしています。
それとルメリアで良いですよ。リシュさんと同じ年くらいの年齢ですから」
「そ、そう、有難う。でも式神や陰陽師?初めて聞く名前で全く知らないよ。
この街、リバーガーデンにあるギルドなの?」
所変われば、その土地から生まれたギルドがあるとエドワードの事で知った
のだけど、グラディエーターという剣闘士以外にもあるみたいだ。
ルメリアが口にした式神使いなんて聞いた事もないし想像もつかないっす。
先輩も船に乗るのが初めてだったと言ってたし、知らない可能性大。というか
俺ら一行で知っているのティアナしかいなさそう。ここの出身なのだから。
「はい。遥か昔に東方の地からこられた方が始められたそうですが、最初の
頃は全く理解してもらえず、噂を聞いた領主様達に認められてギルドとして
の活動をなされる事になったそうです」
「へー、凄く歴史がありそうだね。一体どんなスキルを使用したりするの?」
ルメリアの話しを聞いていると結構古くから活動をしている様で、遠い地か
ら布教というより、何らかの理由でレーヴェンベルクに来たみたいだ。
流浪の修行僧がローレンスさんと似た境遇に陥り、命を救ってもらった礼な
のかも知れない。それに亜熱帯地方なので苦行荒行好きには願ったり叶ったり。
「スキルですか、そうですね。今この場で呼んでしまっては他の皆さんが
驚かれると思うので行使するのはちょっと・・・でもこんな風なお札を使う
のですよ。文字が書いてあるのですが、それに術を掛け識の神という使役
する者を呼び出すのです」
「なるほどー、何だか不思議な形をしているお札を使うけど召喚士みたいだね。
といってもあっちはメイジからの派生。召喚というのは似ているのかな」
「召喚士?その様なギルドもあるのですか、おそらく似ているとは思います。
魔方陣を使い、使役する者を呼び出す人もいると聞いた事がありますから」
どうやらルメリアの説明だと特殊なお札を使って自分の命令を聞く識の神
というのを呼び出すと言う。その様にアリッサの姿が脳裏を過り、召喚士と思
わず口にしてしまった。マノンくん召喚の時に奇妙なサークルを見たんだよな。
多分似てると思うのだけどアリッサは一度しかサークルを出してないから、
メイジの場合、最初だけって感じで後は必要ないのかも。マノンくんも勝手に
帰還するし、自由意志が強いのかアリッサが奔放過ぎるのか、もう理解不能。
「うん。バークレイルという俺達が居た街でメイジのギルドがあって、
あそこにいる女の子が、ルメリアの言う魔方陣を使って召喚していたよ」
「あっ、お姉様が向かわれた街ですね。何でも商業が盛んだと聞いています。
魔法使いのギルドがあるのは初耳なので是非、お話を聞いてみたいです。
実は向こうに居る薄桃色の髪の方、ちょっと気になってはいたのですが」
「え?気になってたの?あの子はアリッサという名前でさ。メイジギルドでも
優等生なんだって、その隣に居る子も同じギルドだよ」
バークレイルの名前を出すと、ルメリアはティアナが滞在している事を知っ
ている様で、商業の街というイメージが強いみたいだ。商業というかシーフが
仕切ってるからなー。お金に関してはそうなるのか。何だか俺のイメージとも
違うんだけど、シーフが色々手広く活動してるのは確か。しかし何故ルメリア
はアリッサの事を気にしているのだろう?本人に何か感じるモノがあるのか。
「ああ、なるほど。だからですね。アリッサという女の子から尋常じゃない程
の強い力を感じているので。お隣におられる方は能力を抑えている感じがし
ます。感情に波があまりないというか状況をクールに捉えれるというか」
「よ、よく分ったね。アリッサはまあ、大胆不敵というか恐れ知らずで無鉄砲
な所があるけど天賦の才と謂われる魔力の持ち主だよ。隣にいる子はリリィ
と言ってルメリアの思ってる通り、所謂クールかなぁ。余り感情を表に出さ
ないね。お姉さん、ティアナと居る時は違うみたいだけど」
俺が魔法系の職を経験してないからなのか、ルメリアがアリッサに対して
感じている事が分らない。でもメイジギルドが神童と言うくらいの天性の才。
アリッサという存在を「只者ではない」と思わせる何か、それが魔力の高さ
だとしたらルメリアが気にしてしまうのも不思議じゃない。リリィは普段から
落ち着いてて、アリッサより衝動や感情で動かない面があるし、当たってる。
「そうなのですか、魔法使いで天賦の才をお持ちなら、まさに神童ですね。
ところでリリィさんはお姉様と何か関係があるのでしょうか?今の言い方
だと、2人で一緒に居る事が多い様な、そんな風に聞こえますが」
「そ、そう?それはバークレイルに来たら分るかも・・・。いや、初めて俺が
ティアナと会った時にはすでに2人で活動してたからさ。それにユニオンと
いう人が多く集まる組織を作ったのもお姉さんなんだ」
「あら、それは面白そう。ユニオンですか、その話しはお姉様から聞いてませ
んね。そんな大事な事を家族に隠してるとは」
この子、見た目より妙に勘がいい。直観的な感覚に優れていると思える程。
式神使いというジョブがその様な性質にも関係するのなら、おそらく向いてい
るのだろう。ちょっとした違和感や、予感や虫の知らせを本能で感じ取れる。
ティアナとリリィの事を話したつもりが、あの2人がパーティーとして共に
行動してるのを俺の言葉のみで感じ取った。住み込みで暮らしてるんだっけか。
「いやいや、説明がぶっきら棒だったよ。ごめん。家族に話してないのは、
ユニオンとして活動を始めたばかりで、まだ名前さえ決まってないし、ここ
へ向かう船の上でティアナがいづれと言っていたのに乗った形なんだ」
「なるほど、そういう経緯だったのですね。でしたら、まだ活動が本格的では
ないので話していないのに納得出来ました。でもバークレイルへは行ってみ
たいです。それこそ、いづれ」
「あははは、お姉さんが居るし事だし。ある程度向こうでの生活が固まったら
観光がてら遊びに来ても大丈夫じゃない?その時は街を案内するよ」
ルメリアはティアナがユニオンの事を隠していると思っているので、そう
ではなく。まだ本格的な活動準備中みたいな感じだと説明したら納得しても
らえたけど、名前さえ決まってないって、何だかいやーな予感するんだよな。
バークレイルにルメリアが遊びに来たら、俺はそこの生まれなので街を案
内するよと愛想笑いで返しつつも、先輩の動向が気になってしょうがない僕。
”さっきから、だいぶ向こうで話し込んでるんだよな。先輩にも考えがある
のだろうけど。ティアナとお友達作戦で誤魔化しきれるのか”
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。
第二章加筆修正中につき、更新遅めになります




