大丈夫ですよ、戻れますから
登場人物
リシュ・レミルトン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン パワー系プリースト
アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー かぴばら
ララ・ヘルミナ お子様メイジ 雨がっぱ ヒヨコ
ジーン・トアロ 盾なしウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
”目を開けたら街の入り口”
そんな夢の様な魔法だが1回使用すると次までのクールタイム
「リキャスト」が長いらしく連続して行使する事が出来ないという。
蒼の洞窟へ入ってから気を張っていたのでマトモに食べれたのはカニくらい。
定食屋からの匂いに後ろ髪を引かれるけど、先輩達は過酷な状況に陥っている
のかも。そう思うと早急にギルドへ報告しに向かわないという思いが強かった。
「とりあえず、うちのギルドへ行って状況を報告しましょう」
シンシア達にそう伝えるとシーフギルドへと急ぎ足で向かい、ギルドの
中には金庫番のアルテミシアさんが対応してくれたが、マスターはトレハン
「トレジャーハンティング」で消息を絶っていると、金庫番の人は書類を
整理しながら、毎度の如くといった感じで表情も変えず冷静に話をしている。
”トレハンの度に消息不明になるギルドの頭って、そんなんアリかよっ!”
そりゃ確かに居る時とそうでない場合の比率だと、いない方が多い人。
ギルドの中でも金庫番の人と調整役の2人は居場所を知っていると思っていた。
「まぁだいたいの事は分ったわ。リティアさんが転移した
ヘルミナ様を単独で追いかけて行ったのね」
椅子に座って資金の勘定をしてる金庫番のひと、焦っている感じが全く
しない。ナゼだか分からないけど、こういうシリアス的な雰囲気だと先輩を
アダ名で呼ばないんだ。なぜかララをヘルミナ様といったのが気になるが
「地図はたしか、マスターの手書きのがあったはずだから探してみるわね」
「すみません。忙しい中、お手数を掛けて」
地図を探している間、もの凄く冷静というか先輩とお子様メイジが
行方不明かも知れないのに全く微動だにしてない。他人事というか
仕事優先のアルテミシアさんのオーラにPTメンバーは言葉がなかった。
「あった、あった。この地図だわ、中層に転移装置があると言っていたわね」
持ってきた地図を見ると文字入りで転移装置の事も書いてあった。
魔法陣には秩序 中立 混沌とあり、台座のスイッチで戒律別に作動する。
転移はアライメントに対応した転移を行う様で、もし魔法陣を秩序で作動
して混沌のアライメント者が乗った場合、虚無と呼ばれる地点へ転移する。
「って事は、先輩は虚無の方に行っちゃたのか
でも何でわざわざ戒律別になってるんだろう?」
「昔に採掘してた人達の組分けじゃないですか、戒律別に分けた方が
仕事の分担や作業工程、人数の把握等で解りやすいですし」
先輩が魔法陣に乗ってゆく姿が俺の脳裏に蘇ると同時にアルテミシアさんの
説明になんとなく納得した僕。分担や効率を考えて別々にしていたのか。
管理する側からしたら何かしら目印になる様なモノがアライメントだった。
「まぁ、あの2人なら大丈夫だと思うけど迎えに行くとしますか」
「あの、調整役さん、行くってこれからわたし達だけで行くのです?」
そういうとアルテミシアさんは机の横からゴッツイ杖を取り出した。
他のギルドに通達して応援が来ると思っていたシンシアは金庫番のひとが言い
出した事に疑問を感じている様子。いや、俺もそう感じた。俺たちだけ?
※護法の杖 特殊効果に全属性攻撃を底上げし、スキル使用時のCT短縮。
沈黙、気絶、石化耐性50%UP。ダメージを受けると保護効果を持つ杖。
「ええ、大丈夫ですよ。一瞬で魔法陣でしたっけ、その場所へ戻れますから」
”えーっ、んなアホなっっ”全員のツッコミがかぶった瞬間である。
「一瞬って、あそこまで1日近くかかったんですよ」
「でしょうね。といっても言葉で説明するより実際のほうが
わかりやすいと思うので、皆さんわたしの近くに」
そういうと金庫番の人は俺達に近くに来る様に言い、手にした杖を振り
上げると地面から黒い魔法陣が現れた。驚きで咄嗟にアルテミシアさんを
見たらあの杖が青っぽく光っている。ゴツイけど威厳があって例えるなら
仁王像の背中にあるクネクネした布っぽいのが一杯ある天衣?だっけか、
それにしてもよく隠してたな。というか、シーフなのか疑問が湧いてきた。
「では転移します。眩しい方は目を瞑っていて下さい」
※エンシェント魔法 テレポーター
好きな座標に転移することができる古代魔法。
メイジの全てのスキルを習得しなければ扱う事が許されていない。
古き魔術師の秘技と呼ばれるスキルの内の1つ。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。




