両方で3000個
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
アデル スイーツ系悪魔
アンベル スイーツ系小悪魔
リッティ 肉球ドクロ
ウォーレン・ジーク 紫オーラ
甘いモノを食ってるのに何も感じない。そう思っていたら、ふいに子供の
頃を思い出してしまった。あれは10歳くらいの時だったろうか、凄く暑い日。
オヤジの手伝いをするために魚の入ったカゴを何回も往復して運んで
いると首に掛けていたタオルから汗が絞れそうなくらい酷く、休憩で飲んだ
昆布茶が凄く美味しかった記憶がある。あれはどんな理由だったのだろう。
”あの後、家に帰ったら疲れには甘いものと母が言うし”
今も疲れてるっちゃ疲れてるんだけど、メンタル的に。しかし何の味もしねぇ
疲れの種類が違うんか、肉体と精神。これからの事「先輩に言うべきか」を
考えたら疲労度合いが増してくるんだけど、アニキは空気読んでくれると思う
しかしアリッサはかるーく、マスター辞めたんだってーと言いそうっスわ。
「しかし無一文って事が奇妙だな。3人だけでミッションでもしてたのか?」
「違うよー。手合わせしたらリティアちゃんに秒殺で負けちゃってさー」
「あのお転婆と勝負したのか、そりゃレベル差もあるし勝てんだろーよ
瞬間的に状況を判断できる天賦の才もあると思うが」
アリッサに話させると俺たちが感知しようとしてた事とか色々言いそうなので
闘技会の前だからと、練習がてらに相手してもらったら手加減抜きでこうなった
経緯を説明したのだが、元の人は洋菓子を食べながら冷静に分析していた。
「魔法に弱いって聞いたからイケると思ったんだけどなー。気付かない内に
一瞬で後ろに居たんだよ。アレ何のスキルなんだろー」
「それは色んな職を経験すれば分る。ヘルミナが付き添っているんだろ?
アイツが手ほどきしてるなら向いてるのは魔法職だ」
「えー、次シーフに行く予定なのにー。大道芸人も面白そうなんだよね
ララちゃんはメイジを極めてからにしなさいって言うけど」
シーフに行く予定とアリッサが話した時に洋菓子を食べていた元マスターの
手が止まった気がしたのだけど、何かあるのか、というか誰になったんだっ
戻ったらと言ったのはギルドに顔を出して確認しろっていう意味だと思う。
アリッサが大道芸って方向性おかしいけどジャグリングやらに興味あるのか
「まあ、案外シーフとの相性はいい。トレハンPTならな」
「え?大道芸がですか?」
「・・・追加したお菓子と一緒に注文したジュースを飲んでるアリッサさん」
アリッサが言った事に対する返しなので横槍入れた感じになってしまったが
シーフと大道芸人の相性が良いって初耳だ。先輩から聞いてない、いや本人
も知らないのかも。そもそもトレハンPTって事は盾やヒーラーもいるよな。
そんな中に大道芸の人が居て、どうなるんだ?立ち回りとか全然わからんぞ
「ああ、戦闘向きの職ではないがトレハンだとLUKを任せられるし
運勢の効果時間内なら宝箱やドロップ品の中身も期待できる」
「そんなスキルがある事に驚きなのですが、支援、補助系っぽいですね」
「立ち回りとしてはそうなるだろう。レベルが上がってくると火力職を支援
するスキルが多くなるんだが、他職から継承してないとソロでは面倒だな」
この人は一体どんだけの職を転々として来たんだ。そういったスキルを知って
るって事はこの顔で大道芸人だったんかっ、スマイルとか一切しなさそう。
いや大前提として”大道芸”が戦闘に参加できる事に驚きだわ。隣で芸を
してたりしたら笑いにしか、もしやそれで隙をつくるのか!魅了する的な?
「へー、何か面白そうな感じだね。若い子も多そうっ」
「まあ、比較的若い娘には人気かもな。衣装も凝ってるからよ」
「・・・(無言の俺とアニキ」
”なんだろう、この人が凝ってるというとマリアさんの姿が浮かぶんだけど”
あんな衣装でPTメンバーに居たら気が散って戦闘どころじゃなくなるって
ある意味、俺とアニキとジェフリーの士気は上がるかもだが女性陣は下がるかも
知れん。とは言っても、ユニオンにシーフが1人もいなくなりそうだけどっ
「さて、思ったより良い名物を堪能できた。店主、迷惑ついでに
頼みがあるんだが、この洋菓子を1500個ずつ頼んでもいいか?」
「せ、1500個っ、片方ずつですか」
「えっ、そんなに1人で食べれるの!?(アリッサさん」
一体何を言い出すのかと思ったら迷惑ついでって、それも1500個だとー。
余りの意外さに店主さんと従業員も引き気味になってるんだが、一日で作れる
量なの?アリッサだけ驚き方が違う気もするがこの人でも1500はムリっ
しかも片方ずつだぞ。両方で3000個、フードファイターじゃないんだから
「急な注文に対する謝礼も代金とは別でしよう。なるべく急いでもらえると
有り難いが、悪い話しじゃないだろ」
「あの、何か理由があるのですか?アリッサは1人で食べると思ってる様
ですが、さすがに量が尋常じゃないですよ」
「いや、まあ手土産だ。レニー達だけとはいかん、あっちへ転移した後
大修道院での祝い品になればと思ってな」
サッサッパリ分らん!あっちってどっちだ。何だか言い辛そうにしてるけど
レニーと口にしたって事は子供達が関係しているよな。また転移する予定?
「レニー達のためなの?といっても量が凄くない?」
「いや2人とも、ウォーレンさんが言ってるのは保育院内全員の事だ」
「あーっ、なるほど。それでっ、でもあっちってまたどこかへ転移する
予定なのですか?ティアナから大分変わるかもと聞いてますが」
聞きかじりなので内容は知らなかったのだけど、どうやら一定の期間王都へ
移動するという。あとシーフから転職予定の者は建設する保育院での人手が
必要な為にズラす通達が来ると、レベルジャンプで都合がある場合は可能。
「へー、王都にあるんだ大修道院って、その時の特別なおやつって事かー」
「故郷の名物の味を知らないでバークレイルへ来ているんだ
俺に出来る事といったらこんぐらいのもんだ」
そういって店主の方へ代金を支払いに行く姿を見て、先輩もそうだと思うけど
俺にとってもマスターはこの人。風体と顔がもうそっち側だけど細かい所で
気遣える。現在のシーフギルドがどうなっているのか早く知りたいが、
先輩にどう言えばっ、闘技会が終わるまでは知らない方がいいと思うんだよな。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。




