帰還と解放
登場人物
リシュ・レミルトン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン パワー系プリースト
アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー かぴばら
ララ・ヘルミナ お子様メイジ 雨がっぱ ヒヨコ
ジーン・トアロ 盾なしウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ー始まりの魔法陣ー
識別をせずに開けるとはいえ、確立的には半々なのに当たるって事は
他の職とシーフではLUK値「運」に違いがあるので、それも関係あるのかも。
宝箱の罠から解毒した俺は中身の確認を行い、ネームドモンスターのお宝と
あって期待が高まったが、中身は錆びれた短剣やアクセサリーの品が多かった。
「鑑定するのが楽しみだねーっ」
「うん、鑑定するまで何か分らないからロットした人でドローしよう」
並べられた品からブレスレットの未鑑定品を手にとるアリッサは
ネームドのドロップ品なので嬉しそう。ジーンとシンシアは近づかないで
見守っているけど、メイジが開ける時はかなり離れてないと危険が危ないぜ。
※アイテムロット 宝箱のアイテムを欲しい人は参加表明をして、街などへ
戻った後にドローする事。主にカードでの数値勝負となる。パス可能
戦利品の数々を背中から掛けていたダッフルバッグに納めながら皆に
PTによってはこの戦利品で揉める事もあると先輩から習ったと告げて、
割り切れる人ならいいのだろうけど、お宝でパーティーがギスギスして
人間関係悪くならない様に街でドローをしようと説明した。それを考えたら
いづれはソロでトレハンがしたい。そうなれば全てが自分のモノとなる。
”勿論、その道は険しいだろう。先輩でさえ単独で行動するのは条件が
揃った時だと云う。スキルのビルドと継承を考えなければ達成できない”
「それにしても、リっちゃん遅いですね。初めての場所だから
ララちゃんを見つけれたとしても、今度は戻り方で迷ってるんじゃ」
「確かにその可能性は考えられる。シーフとはいえ未知の場所では
探索をしながら進まないと行けない。更にリドルが関係してると厄介だ」
「あの、これはいったん街へ戻った方がよくないですか?
シーフギルドだったらここの地図もありそうですし」
解毒の魔法4人分で多少疲れ顔のシンシアが案じている様に先輩とララの
戻りが遅いのは俺も心配していた。経験があるのは地図に載っている場所で
今、先輩が足を踏み入れているのはジーンの言う通り手持ちの地図では不明。
シンシアは転移した2人を危惧して、一旦街へ戻る事を提案しているけど
これから戻るとなると時間が掛かってしまう。が、ララの事を考えたらギルド
に報告して応援に来てもらった方が良策だ。転移先の地図があるかも知れない
「わかった。俺はここで2人が来るかも知れないから待機している。
3人でシーフギルドとメイジギルドに報告して応援を頼んでくれ」
「ここからだと戻るのに時間が掛かるよね。2人を待っているのなら
食料などをジーンに渡しておこう」
シンシアの申し出でを聞いた俺はジーンが残ると言っているので
持っているアイテムを渡しておこうと話した。おそらくリーダーだから
その責任を感じて留まる事を選んだのだろう。
アリッサもララのことがあり街へ戻り応援を呼びたそうだし。
「あ、大丈夫ですよ。戻るのは一瞬で出来ます」
「ぇ?!今何て、一瞬って言った気がしましたが」
「ふぇ?そんな事出来るの?」
行って戻ってだと時間が掛かるだろうと、ジーンにアイテムを渡していると
シンシアが意外なことを口にしたので俺とアリッサは驚いてしまった。
一瞬って、瞬く間だよな、そんなバカなっ、というツッコみすら出ない。
「ええ、おそらくジーンさんがプリ経験者にこだわりがあったのは
こういう事が起きるかも知れない。最悪の場合を想定しての事ですよね?」
「まあ・・・帰還魔法を使えるというのが一番気にしてはいた」
「帰還魔法?もしかして魔法で戻れたりするのー?メイジで聞いた事ないよ」
そうだったのか、言われてみればヒーラーにだけ拘りがあったので
回復役がいないというのが、パーティーとしてどれだけ大変なのか経験して
いなかったからジーンの言葉だけで”妙なヤツ”だと思ってたわー。
「はい。プリーストにはリターンといって街へ戻る魔法があるのです」
「えっ!そんなことできるんだ」
「女神様の力をお借りするので戒律によって効果が違いますが、
秩序の者はフォルマ様の加護を受けているので範囲内だと全員戻れますよ」
※リターン 効果範囲内に居るパーティーメンバーを街へ帰還させる
プリーストのみの固有スキル。戒律が秩序者だと範囲になる。継承不可
あまりにも意外すぎて面を食らってしまい、開いた口が塞がらない僕。
ジーンが経験者を望んだのは、もしもの場合を考えて帰還魔法を使う為だ。
おそらく案件から未経験者が2名入ると聞いていたのではないだろうか
「わーい、やったーっ」
喜びのあまりシンシアにアリッサが抱きついているが、メイジに似た魔法
がないんだ。あるなら口にしてるよな、まだ取得出来てないってのもあるけど
そういった魔法ってメイジの専門っぽいイメージだっただけにプリの人の印象
変わるわ。回復以外にもやるべき事が多いんだなー。
「ではジーンさんに待機してもらって、街へ戻るとしましょう」
そういうとシンシアは両手を広げて薄青い光のサークルを召喚し、
俺とアリッサに中に入るように言って帰還の魔法を行使したのだった。
◇
ーその頃のララ達ー
閉ざされた扉の前で作業員の兵士達に石造りの祭壇のようなものを
作らせている。どんな目的なのか不明だが、儀式に必要だからなのだろう。
「彼女は王都の司教よ。こんなところに居るなんて」
「あっちゃー。司教ゆうたらメイジの上位職やねんな。
こんな土臭い所でなにしてるんやろ」
神妙な面持ちで話しながら、螺旋階段の司教を岩陰に隠れながら観察して
いるララとリティアとその他2名。元々はあの扉を開ける事を頼んでいたが
王都の司教がココに居る以上、何らかの使命を受けているハズである。
「あの扉を開けちゃうんですかね?」
「おそらく開けるでしょうね。この事はメイジギルドの人達も知らない。
何の情報も入ってないから」
ララに開けることを頼んでいたローグ達は司教が開けるかも知れない。
そんな思いに駆られていた。祭壇の前で杖を振りかざしていた司教は魔力を
解放すると、それに呼応するかのように扉が音を立て開き始める。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに書いています。、




