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盗賊稼業も楽じゃない!  作者: 北極えび
第三章 -イケメン探索指令ー
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遊砂庭園へ

登場人物


リシュ・レーン 駆け出し盗賊

リティア・ウィンフィールド 先輩

シンシア・ルフィン プリ盾姐さん

アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー

ララ・ヘルミナ アデルちゃん

ジーン・トアロ 輩ウォリアー

マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段

ジェフリー モヒカンロード

ティアナ 盛り髪修道士

リリィ  ツン系魔法少女

アデル  スイーツ系悪魔

アンベル スイーツ系小悪魔

リッティ 肉球ドクロ

ウォーレン・ジーク 紫オーラ

 大聖堂の中へ入ったララの目に飛び込んできたのは、数多いテーブルと

数百人はいると思える子供達がお喋りしながら食事をしている光景だった。

 広さにかなり余裕があるけど、これだけ多いとプラム達が何処にいるのか、

動く子たちもいるので、探そうとして見ていると全く分からない状態だった。


「あっれー、いない。向こうの窓側辺りで食べてたんだけど」


「確か、食事が終わった後は自由時間のはずよね?」


「そうだけど、よく知ってるな。午後3時前まで自由だよ

 もっと小さい子は修道女の人が見てるけど」


 保育院の代表者セシルは元司教の一人でララの旧知の友であり、ウォーレン

とも騎士時代から縁がある。院内の規則はセシルが定めているが確認の

為にララ達にも通している。特にウォーレンはその辺りに厳しくて蘇生率

95%以上を決めた本人でもある。院内で女神送りになった子供が復活できず

行方も分らない場合、フォルマに連絡するパイプ役として王都まで出向く。


「そうなると、ルピタ達と外へ出てるか誰か大人と一緒ね」


「外だと歩道の奥にある遊砂庭園だなー。行ってみる?」


「ちょっと待ってて、彼女に誰か一緒に行ったのか聞いてくるから」


 大聖堂の中で子供達を見ている修道女にララが駆け寄って話しかけると

相手はララの顔をみて驚き跪いたが、その様子をレニーに見られてしまったら

また勘違いされると感じたララは咄嗟に立ち上がる様に命じ、レニーの方を

確認すると、窓側辺り居た場所に食器類がないか見ている様子だった。


「申し訳ありません。いらっしゃていたとは気付かずに」


「いえ、これだけ子供達がいるのだから見守っているのも大変な事。

 それより、私がいつも連れて来ている子が何処へ行ったか分かるかしら?」


 修道女は紅い目をした小さな女の子と数名の子供たちが食器を片付けに

向かってゆくのを目にしており、おそらく遊砂庭園へ向かったのでは?と

ララに告げ、ソフィアという侍祭がその子達に付き添っている事を話した。

※侍祭 アコライトとも呼ばれる司教に付き添う奉仕者。


「そう。なら、そちらの方へ行ってみるわ」


「でしたら私も、ソフィアはヘルミナ様の事を知らない新参者ですので

 そのまま向かわれても、院内の子だと思われるかも知れません」


「・・・有難う、手数をかけて。貴女の言う様に司教の中で

 新たに加わった者だと、姿を知らないのは当然のことね」


 ララは大魔司教の座を降りているのではなく、一時的に離れている。

代理という形を取っていないのは、指名するのが戒律の女神達であり、

後任としてマリアの名前が挙がっているが混沌の女神フォルテはララほど

マリアの力量を認めていない。最近転職してきた司教でララを知らない者

もいる事は仕方がなかった。現時、BISのマスターではないのだから


「それと、向こうにいる男の子と他の子の前では普通に接して頂戴。

 色々とワケがあってね。いづれ時が来たら話すつもりだから」


「あの子ですか、リバーガーデンから来られた子供たちですね。

 承知致しました。でも何故、今日はあの子を探しておられるのですか?」


「その事は歩きながら説明するわ。まずは遊砂庭園へ向かいましょう」


 ララと話していた修道女の名はアンナといい、司教からプリーストへ

転職後、蘇生率95を得てシスティナからこの保育院を紹介されたと云う。

 窓側にいたレニーに声をかけて3人で遊砂庭園への回廊歩道を歩いていると


「俺、先に行ってルピタに話してくるよ。遊びに夢中になってると

 俺たちが髪の毛の事を言っても、たぶんきかないぜ、アイツ」


 2人にそう言うと、レニーは先に遊砂庭園の方へ駆け出して行った。

ララよりも、古びた屋敷に居た頃からプラムと一緒だったのだから

 あの中でも頑固な性格を見せる一面があった事を知っているのだろう。


「いつも連れて来られる。あの子の髪を切るのが目的なのですか?」


「そうね。セシルから聞いてはいないでしょうけど、私の養子でね。

 さすがに足先まであるのは、夏場だし。遊んでる時にも危ないから」


 アンナは養子と聞いて、ふと戸惑った。目の前にいる少女は姿こそ

10歳にもならない女の子。養子と聞いても真意がパッと伝わらず、

”容姿”の事と勘違いしてしまっていた。しかしララと瞳が似ている事を

思い出して、何故毎日連れて来ているのか理由が分かり納得がいった。


「そうだったのですね。すみません、ちょっと戸惑ってしまって」


「いえ、まあ、この姿だと仕方がないわ。それより、理容する時は

 どうしているの?時期になると外注していたとは聞いていたけど」


「1年ほど前まではそうでした。現在は調理経験のある者と同じで

 専属の要員として働いてもらっています。条件は厳しいですが」


 保育院で働くこと自体、かなりの難易度が求められるのは、セシル達が

決めた規則であり、調理を担当する者達は調理だけでなく素材から調味料を

作ることや毒生物に対する知識。食中毒への予防も求められる。理容師も

同じで使用する器具の仕組み。染めたりする場合の調合剤の知識、頭皮への

影響など、病気の起因になり得そうな事に対してあらゆる対処を想定している。


「そうだったの、まあ予防を考えているのは良い事ね。私も最近、風邪を

 ひいてしまったけど、免疫がまだ未熟な分、色々気をつけないとね」


「その点ではウォーレン様に感謝しております。毎日訪れているのも

 システィナ様へ状況をお伝えしておられるとセシル様から」


「まあ、見えない所で色々と動く人だから、ここに食料が数年分

 貯蓄されている事を知っている者もあまりいないでしょうし」


 陰徳を積む。ララはウォーレンが人知れず行う功徳をフォルマから伝えら

れていた。その話をすると気配を消すスキルを使い、何処かへ消えてしまうが

何かあった時の為に子供達への食べ物を少しづつ運び、いつしか莫大な量と

なった。歩きながらその事を思い出しているとプラムの笑い声が聞こえてきた。


お読み頂き有難うございます。

拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。

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