戒律の加護
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
アデル スイーツ系悪魔
アンベル スイーツ系小悪魔
ローレンス 泣きの元騎士
ウォーレン・ジーク 紫オーラ
自分の方へやって来るフォルマと目が合ったプラムはすぐさま
アルテミシアの背中側に回り、首の後ろからチラっと覗いてたのだが
その様子はリッティにとっても、あるのか微妙だけど心臓ドッキドキ。
”この方が戒律の女神様?見た目はごく普通の少女ではあるが
何と言うか、ララ様と同じく奥に潜む絶対的な力を感じる”
「大丈夫だよー。とって食べたりしないから、ほらっ、ちっちっち」
背中側に隠れたプラムに対して、屈んで呼びかけているフォルマ。
どう見ても「小動物」相手にしている態度で、それを見たララは
「あのね。子猫じゃないんだから、それにしても普段は
人見知りしない子なのだけど・・・」
「うーん、そうなんだ。あら、ちょっと特別な事情がある様ね」
そう言うとフォルマは両手で水を汲むような仕草で空中から淡い光りを
作りだして、その光が綺麗な海の様なコバルトブルー色になると凝縮した
光りをハート形のお菓子の様に変えて左右の手に1つずつ生みだした。
「うわあっ、きれいーっ、どうやったのー!」
その光景に興味津々で見ていたプラムはアルテミシアから飛び降りて
フォルマの方へ駆け寄って行くと、フォルマは左手のお菓子を差し出して
右手にある同じモノを「プラムの前で微笑みながら食べてみせた」
「これ食べれるんだーっ、”ほむっっ”」
フォルマの差し出したお菓子を受け取った後、同じ様にプラムが食べると
秩序を示す宝石、アクアマリンの様に透明な青い輝きがプラムの全体を包み、
ララやアルテミシア、リッティが驚いていると輝きが増してプラムの胸の
辺りに吸収される様に消えていき、呆気に取られていたプラムが我に変えると
「ほあー、何で光ったんだろっ、でも甘くて美味しかったよー」
「これでララちゃんの気も休まるでしょ。
まあ、本来ならフォルテの加護の方が無難そうだけど」
「そ、そうやって、いきなり女神っぽく振舞うのヤメてくれない
でも、ありがとう。加護の力を与えてくれて」
”なんとっ!今のが戒律神のみが与えられる能力だったとは
これでプラム様にもその恩恵がっ”
一目みて気付いたのだろうか、プラムに加護の力が宿っていない事を
悪魔側というのもあって、いずれフォルテに会いに行こうと思っていたので
最近会ったというフォルマの事に内心イラついていたが、まさか自分から
プラムの為にその力を行使してくれるとは思ってもいなかった。
「でも、私に黙ってフォルテと会ったという事とは別だから(ララ」
「ぇー、そんなつもりじゃないんだけどなー。ところで、
その口ぶりだとララちゃん、他に用があって来たの?」
フォルマに伝えて許可を貰おうと、ウォーレン達と相談していた事を
伝えようとすると側近でバトミントンをしていた女騎士が休憩しながら
お話ししてはどうですか?と勧めてきたのもあって、ララ達は宮殿の中に
あるフォルマが安息の場として使っている広間へと向かって歩き出した。
”うーむ。加護を享受できたのはいいのだが、フォルマ様では・・・
今回の件をアデル様にお伝えするべきだろうか、こ、困った”
ララに抱っこされたプラムの装飾品の中でリッティがそんな事を
考えていると安息の場という「観葉植物」で埋め尽くされているかの様な
所に案内され、円形の大きいテーブルに椅子が数多くあり、普段からお世話を
しているのか従事服を着用した者が、ララ達に軽く挨拶をした後に次々と
休憩用のフルーツ盛り合わせやお菓子と飲み物などを用意して準備を整えている。
「なるほどねー。バークレイルでそんな計画を立ててるんだ。
私は別に構わないよー。大修道院の事も、何なら拡大しようか?」
準備している最中にフルーツ盛り合わせからカットされたメロンを手に
取ってプラムに手渡しながら話し出すフォルマに「ハッ」とララの顔つきが
変わったが、果物を手にしてる無邪気なプラムを見て一瞬で我に返った。
「まったく、油断出来ないのはフォルテと同じね。その力を使えば
ウォーレンに負けなかったでしょうに」
「それはそうだけど、使ったら分かるから卑怯な事するなって
先手打たれてさー。レンちゃんシーフだから尚更、勘が鋭くなってるし」
”ヤルつもりだったんだ。フォルテと違うのは負けず嫌いじゃない所だけど
迂闊に範囲内に入ったら、簡単に思考を読んでくるわね。相変わらず”
秩序の戒律を司るフォルマは自分の加護下にある者が範囲内に入ると、
その者の思考や感情といった内面を読んでくる能力を持っている。
変化する姿によって能力も違ってくる様だが、思念を読み取る力はどんな
姿になっても変わらずに持っており、ララはそれに気付いて表情を変えた。
「いえまあ、あなたが協力してくれるなら、こちらとしては有り難いけど」
「じゃあそれでフォルテとの事は手打ちって事で、私が知ってるのは
昔、洞窟の奥に閉じ込めた魔物に会いに行った事かなー」
「え?さっきその事を言わなかったよね?バトミントンの事しか」
ララの憶測していた通り、フォルテは何か企てている様子で、おそらく蒼の
洞窟で見た「魔力で閉ざされた扉」の奥深くに関係あるだろう。マリアが
調査していたが、あれからどうなったのかウォーレン達が動いていないという
事は無事であるはず、フォルテの事で不安の種が1つ増えたのであった。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。




