ぜひ!そうしましょうっ
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
アデル スイーツ系悪魔
アンベル スイーツ系小悪魔
ローレンス 泣きの元騎士
ウォーレン・ジーク 紫オーラ
ララが口にしたマスターじゃなければ出れたというのは、観客たちに被害が
及ぶのを避ける為にリバーガーデンでの闘技会のルール変更が何回も行われて
18年前と現在ではかなり違っている。レベルシンクも導入されていなかった。
「でも実際の話し、いくら考えてもマスターである以上、ルール違反よ」
「そりゃ分かってるけどよ。懐かしい肖像画を見たら、無性になー」
なんでまた急にそんな事を言い出したのかと思っていたララはウォーレンが
コロッセオにある自分の肖像画を見て、物思いに耽っているのを理解した。
「まあ、正統な手続きだとマスターの座を降りるしか方法ないけれど
まさか変装して参加しようと企んでたんじゃないでしょうね?」
「いや、お前。それだと名前でバレるだろ。ギルドマスターだし
本名なら、俺もお前も知ってるヤツは数えるくらいだが」
孤児だったウォーレンは当時、オーフェン「みなしごの意味」と名乗って
いたが、色々と面倒を見てくれていたシーフから現在の名を名乗る様に
言われ、シーフのスキルを試していた頃に名家内で魔力の高さから脅威の
対象として匿われていた深窓の姫君ララと知り合い、その後2人で旅に出た。
「まったく厄介なルール変更ばかりしてやがるな。これじゃ昔みたいに
観客まで女神に送られるって危機感持って観戦するのはムリで緊張感もねぇ」
「それは運営する方も考えなきゃいけない問題でしょう。
地域行事としてお金がかかってるワケで、資金の回収率も関係あるし」
「・・・お前な。自分が何したか分かってて言ってるのか、それ」
チクチクと痛い所を刺してくるウォーレンの言葉に若干表情が変わった
ララだが、隣にいたプラムが懸命に知恵の輪鍵に挑戦している姿を見て
リッティが言っていた「教育機関、アカデミー」の事を思い出した。
「そうね。本来、私が言うのはご法度だけど、今から言う条件を飲んで
くれるのなら一時的にシーフのマスターとして代わってもいいわよ」
「お、おい、本気か?そりゃ大魔司教なら他のヤツらも納得するだろうが、
どういった魂胆なんだ。魔法職じゃないんだぞ」
「ぜひ!そうしましょうっ!!・・・あっ(アルテミシア」
いつから聞き耳を立てていたのか、ララがマスターとなってもいいと口にして
ウォーレンがツッコんだ瞬間にアルテミシアがドアを開けて飛び込んで来た。
「あ。あなた、何時から話しを聞いていたの?」
「お前・・・そーいえば、ヘルミナと同じギルドに居た事が
あったんだよな。すっかり忘れてたぜ」
「い、いやその、ヘルミナ様がマスターになられるのなら、むしろその方が
私にとって都合がいいというか、嬉しいというか」
妙にモジモジしながら喋るアルテミシアに2人とも引き気味になりつつも
こんな風に接してきたのは初めてなのでウォーレンの方がより引いていた。
”数年の付き合いあるが、こんなヤツだったのかっ”(ウォーレン
「おい、お前それ。俺がシーフのマスターに向いてないって事か?」
「いえ、そうではなくて、ヘルミナ様のもとで一緒になれるのが久しいので」
「ギルドの実績を考えたら向いてるでしょ。むしろ私は近接系は不得意で
彼女とはメイジギルドで教えていた仲だから、師弟関係ではあるけれど」
ウォーレンがマスターとなった時、ギルド内部は酷い有様だった。
それらを全て清算するべく、各方面から人材を集めていたらアルテミシアを
紹介され、転職してシーフから離れていたリーゼロッテも呼び戻した。
「まあ、その話しは置いておいて、さっき言ってた条件って何だ?
俺がマスターから退いたって事が広まったらどうするつもりだよ」
「それはいいじゃない別に、王都で用事が出来たとか言っておけば」
「すげー、適当にいうな。でも、まっヴァレンシアならアリか」
ララに条件を聞いたはずが、降りた後の事を考えてしまっていた
ウォーレンは何故、条件があるのか改めて聴き直すと
「プラム、いえ、バークレイルの保育院をアカデミーに改良したいの
いまだと他の子供達と交流がないでしょう、リバーガーデンの子達に
会いたいのに気軽に会う事も出来ない。それを改善したい」
「アカデミー?名前は聞いた事があるが、王都の大修道院みたいなものか?」
「かつてオリオールにあった階級別の学び舎の事ですよね、おそらく」
どうやらアルテミシアはオリオールの歴史を調べた事がある様で
リッティと話していた内容とほぼ同じ事を言っていた。
ウォーレンにアカデミーという段階によって専門的な教育を行う学院を
作り、そこで教育と専門分野への架け橋を提供出来ればと提案した。
「なるほど、となると今の保育院は「学寮」に変わるって事になるのか」
「保育院の近くから通えるアカデミーを創立して、そこで年齢別に
学年を設けて学習する機関を設置すれば人員の管理も可能だと思う」
「まあ、だいたいの事は分かったが、まだあるだろ?」
ララの言動から何かしらの意図を感じとったウォーレンは
自分がマスターの座から降りてしまった後に、近接系の経験がない事を
フォローしろ、とツッコんでくるなと先読みしていた。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。




