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盗賊稼業も楽じゃない!  作者: 北極えび
第三章 -イケメン探索指令ー
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ツァバストラさんの出来事

登場人物


リシュ・レーン 駆け出し盗賊

リティア・ウィンフィールド 先輩

シンシア・ルフィン プリ盾姐さん

アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー

ララ・ヘルミナ アデルちゃん

ジーン・トアロ 輩ウォリアー

マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段

ジェフリー モヒカンロード

ティアナ 盛り髪修道士

リリィ  ツン系魔法少女

アデル  スイーツ系悪魔

アンベル スイーツ系小悪魔

ローレンス 泣きの元騎士

ウォーレン・ジーク 紫オーラ

ーリシュ達がビーチから別邸へ向かっている頃ー


初めてバークレイルへ訪れたツァバストラさんこと”リッチ”はプラムの頭に

飾られている装飾品から外を見ながら観光気分で町を眺めていた。

2百年前。この辺りは絶えず戒律の違う者同士での争いが起こっていると

聞いていたが、現在ではそのような事はないようだ。むしろ「商業の街」

という印象が強くなっていた。並ぶ店が軒並み鮮やかで賑わっている。


”プラム様用の食材を買出しに来ておるのだろうか?”


今日の昼間、アリッサと呼ばれる娘の父親の元でプラムは身体検査や

体調の具合などを調べられており、その過程を盗み聞きしていたリッチは

人間でいう所の「未熟児」状態で出来てしまっただけで、致命的な問題が

あるワケではなく、至って健康と聞いて安心していたが、その後にプラム様

の食べるものが乳製品と果物である事を話していて、今それを選んでいる様だ。


”乳製品での好物は何なのであろう。果物では苺を好んでおられるのだが”


実のところ、プラムの装飾品が今の形「ほぼ髪に隠れて見えないがオデコから

少しだけ宝石が見える」になるまで、何十回と形を変えているリッチさん。

寝ていると頭に違和感を感じて邪魔なのか何度も投げ捨てられていたのである。

その度に頭の装飾品の種類を調べ、子供用で動いても邪魔にならない形を模索

した結果が「薄いチェーン製であまり刺激を感じさせないサークレット」


「ララちゃん、アイスクリームも良かったんだっけ?」


「ええ、大丈夫だけど、見つけるとすぐに食べちゃうから

 アイスは特別な場所に隠しておかないと、分かったわね?リッチ」


”承知致しました。プラム様が匂いに気付かれぬ場所に隠します故”


昼間の検査時にはウォーレンという大男も一緒にいたが、

つい先程、他の子供達の場所へ向かうと言って別れ、プラム様を抱えている

のはアリッサの母で隣にララと呼ばれる少女。アデル様曰く、ワシと同等の

存在と思え、この娘とは契約があり、今はそれで満足しておる。シエルグ、

メルヴェーオ、メルティエル、アネモネを探すまで時間がかかる、と。


”この方ならシエルグ様を越えるやも知れぬ”


まだ幼くはあるが、リッチはプラムが持つポテンシャルの高さに気付いていた。

アデルとララには言っちゃダメとプラムに言われているので伝えれないが

いつからなのか浮遊能力を得て、リッチにしかその能力を見せていない。


「驚いたでしょっ、でもまだうまく出来ないんだ。だから言っちゃダメっ」


どうやらうまく飛べる様になったらアデル様を驚かせたいらしい。

しかし一体、どのような事が引き金になって浮遊能力を得たのか・・・。

自身も透化できるリッチはプラムが透化しても捕まえる事が可能だが

浮遊する能力を見せた事はなく、心当たりはあの窓から入って来た時。

背中に乗っていたが、まさかあの経験だけではないはず。他にも要因が


”いつぞや、アリッサという者が指輪を狙っておるからと言っておられたな

 何でも飛翔する能力に必要だとか、だから隠し持っておられるのか”


アリッサが欲しがっている指輪はAGI値を倍増するモノであり、

元はウォーレンの持ち物だったがプラムが気に入って所持している。

ララはプラムにアリッサに譲るように説得したが、頑なに拒否され

その時の話しをリッチは耳にしていたので、その事も関係あるのかと考えた。


”もし、見たり経験した事をそのまま自分の能力と出来るとしたら

 プラム様は最上位の悪魔となれる素質をお持ちだ”


だがこれは仮定にしか過ぎず、アデルよりララの方がプラムの事に

気を使っていて、そのララからは「奥に潜む強大な魔力」を感じており

見た目は子供だが、外見からでは想像できぬ力を宿していて

それが何なのか分かるまで様子を見ていた方が無難だと判断していた。


”焦る事はない。今は成長の事を考えねば、しかしどう隠すとするか”


ララに承知したとは言ったが、プラムの嗅覚は異常なほど良いので

アイスクリームやプリンの様な大好物なモノは離れた場所に隠さないと

あの家の中では簡単にバレてしまう。匂いを紛らわせる為に柑橘系の

果物などと一緒でないといけなかった。グレープフルーツやレモンの

匂いを嫌がるので、切った状態で入れて置くと好物の場所が分からなくなる。


”ララ様。掃除用の布巾や窓拭きに使う霧吹きなどもお願いします”


「あなた、見た目と違って綺麗好きなのね。まあ、良い事だけど

 分かったわ。アデルと代わったら、あとはお願いね」


プラムの事でアデルと交渉したララだったが、バークレイルだと夜に

出歩く可能性があるかも知れないので、アデルがプラムを連れて夜遊び

する事を監視し、もし出たら私に報告するからと戻る様に言っていた。


”はい。夜半に街で噂にならぬよう、目を光らせておきますので”


幼子が夜に2人で出かけようものなら必ず街の中で人に見つかってしまい

理由はどうあれ、目立つ事を避けないとアリッサの両親にも迷惑がかかる。

あの家の周りにあった妙なオブジェを見るに、変わり者扱いされていても

おかしくない。その上にまた問題があるとなると余計に気を使わせてしまう。


”アデル様はこの家にお世話になっておられるみたいだが

 この家の娘なのだろうか、だとしたらあのアリッサという者は”


とてつもない悪寒が走ったリッチさんだが、この事は考えない方が

自分の為なのかも知れないと思いつつ、ララ達と家路へと戻って行くのだった。


お読み頂き有難うございます。

拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。

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