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盗賊稼業も楽じゃない!  作者: 北極えび
第一章 ー蒼の洞窟ー
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閉ざされた扉

登場人物


リシュ・レミルトン 駆け出し盗賊

リティア・ウィンフィールド 先輩

シンシア・ルフィン パワー系プリースト

アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー かぴばら

ララ・ヘルミナ お子様メイジ 雨がっぱ ヒヨコ

ジーン・トアロ 盾なしウォリアー

マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段

ー始まりの魔法陣ー


 霧状の毒罠を取り扱う時に、風の向きは重要な事で間違えると仲間全員が

状態異常になってしまう。俗に云う自爆、オウンゴールとも例えられ

味方の毒で死んだりしたら、女神像で復活後、絶対にネタにされるだろう。


”それだけは避けたいっ、初めてのパーティーで罠失敗とか

 先輩が知ったら爆笑されるぞ。あと俺の案なので気まずくなりそう”


 腰にある道具袋から小さな蝋燭に火を灯し、奥から吹く風が自分の方へ

流れているのを確認した俺は、こちらに罠を作って踏ませ、敵の動きが遅い

事を利用してどうにか向こう側へ回り込む作戦を立て、それを皆に説明した。


「なるほど、毒が効いたら風向きが逆の方に逃げればいいんだな」


「なんかあれだねー、鬼ごっこ。毒まわるまでって事かー」


「まあ、似てるというかそのモノだね。敵から逃げ回るから」


 両手斧での攻撃が”ぽよよん”なジーンは物理が効かないのもあって

毒で内部からという作戦に賛成。風向きを間違わない様に確認している。

 アリッサの言う通り、スライムとの鬼ごっこ。毒が効けば倒せそう。


”まあ、やたら体力高いと時間が掛かるかも。俺にヘイト向く分には

 デコイのCT「クールタイム」が明けたら使えるんだけど”


※クールタイム 近接系スキルを使用して次に発動できるまでの時間。

※キャストタイム 「CT」魔法職での発動までに掛かる時間。

※リキャストタイム 「RT」クールタイムの魔法職系の呼び名。


「ですが、風の流れはいつ変わるか分らないですし。ここは

 アリッサちゃんに風属性魔法で支援してもらってはどうでしょう」


 流れが変わると自殺点にしかならない事を危惧した俺は安全策に

風魔法で流れを援護してはどうかというシンシアの考えは名案に思えた。

 メイジにとって攻撃系に属性があると聞いていたが、こればかりは

現職の魔法少女ことアリッサに聞いてみないと分らない。


「あのさ。さっき言った通り、毒の罠を使うので風の向きが重要に

 なる。アリッサが風の魔法使えるのなら支援してもらってもいい?」


「大丈夫だよー。いちおー、四属性は使えるし闇もばっちこーいっ」


 シンシアの案を話してみたけど、もしかしてアリッサって優等生なのではと

思ってしまった。毒を扱うのでキュアボディになるから、まずは自分そして

アリッサと体力が少ない者から解毒してとシンシアに伝えた。

 自爆した際のサポートも考えないと、また精神のヤツを使われたら

毒消し草が一番人気になってしまう!人数分あるとジーンは言っているが


”状況的に出たとこ勝負になるから何が起こるか分からない。

 それなら出来る限り選択手段を取れる様にする”


 これも先輩とのチュートリアルで学んだ事。瞬間的な判断が必要に

なる場合。自分が行える選択肢を把握しておかないとミスる確立が高くなる。

 スライムの動きが遅いことを利用してジーンが攻撃する事でヘイトを取り、

その間に俺が罠を設置。ジリジリと誘導し、スライムが罠を踏んだら風向きの

逆へ。アリッサが風魔法で押し、スライム毒霧まみれという作戦が幕を開ける。



ー転移先 秩序の魔法陣奥ー


 ゴブリン達の居た所を抜けて、さらに奥へ歩を進めていると前方にある壁の

側面に人影っぽい姿が伸びてくるのを見たララは、何かが近づいて来る気配を

感じた。中層で影が人型ならモンスターである可能性は低いが、さき程のゴブ

リンが移動してきている事もあり、他の魔物達もやって来ているかも知れない。


「誰です。そこにいるのは、人間の方ですか?」


 こちらの言葉が通じるのなら”意志の疎通”が出来るという証し。

ララは迫ってくる影に対してどんな反応を示すのか、相手の出方次第では

魔法を行使しようと杖を握り締めた。

 奥の方から盗賊っぽい衣装で中年くらいの2人組が出て来ると男の1人が

声の主に驚いている。目の前に居たのが子犬と杖を持った少女だったのだ。


「なんでこんな所に子供が・・・って、魔法使えるのか?」


 少女の手にしている杖は白銀に輝き、見る者を引き込む力を持っていた。

男は色々な魔法職を見てきたが、この杖から伝わる厳かさと美しさは荘厳美麗。

 男は何でこんな場所にそんな杖を手にした少女が居るのか不可解なまま、

もう1人の男に、俺に任せろと片手で牽制して黙っている少女に声を掛けた。


「いや怖がらせるつもりはないんだ。ココで魔法の練習をしていて

 いきなり男が2人もやってきたら身構える。当然の事だ」


「ギルドにお世話になっているので魔法を扱えますが、練習ではないです。

 それより、あなた方はシーフギルドの方ですか?」


 リティアがシーフ界隈でこの転移装置のことが噂になっていて、他の者達が

珍しさから探索しに来ているかも知れない。そう思ったララが男に聞き返すと、


「いや、俺達はこの近辺を拠点としてるローグだ。お、おいっ、ちょっと待て」


 ローグという言葉を聞いた瞬間にララは杖を上げ魔法スキルを行使する

体勢に入り、魔力を高めると頭上の空間に蒼い炎の渦が巻いていた。


「待ってくれってっ、どんな理由で居たのか分からないけど、魔法が使えるの

 なら俺達に力を貸してくれ。そしたら最初の所に戻る場所へ案内するからっ」


 ”戻れる場所”という言葉に反応したララは杖を下げ、今にも魔法が

襲い掛かってくると怯んでいる男達を見直す。

 もしかすると何らかの理由があるのかも知れない。装備品を奪って闇市で

転売するローグなら無言で襲いかかっている。


「力を貸すってどういう事かしら、

 言っておくけど無法者の所業に手は貸しませんよ」


「違うって、俺達がしてほしいのは魔力で閉ざされている

 扉を開けてほしいだけだ」


 てっきり犯罪行為のために魔力を欲しているのかと思ったララは

中層にそんな魔法の力によって閉ざされている扉のある事が気になって、

戻れる場所を知っているというローグ達の用件を承諾する事にした。


お読み頂き有難うございます。

拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。

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