液状のモンスター
登場人物
リシュ・レミルトン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン パワー系プリースト
アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー かぴばら
ララ・ヘルミナ お子様メイジ 雨がっぱ ヒヨコ
ジーン・トアロ 盾なしウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ー転移先 秩序の魔法陣ー
慎重に歩を進めるララとへるぴの前に、少し開けた空間が目に入ってきた。
気配を感じたララは岩陰に隠れながら目の前を見てみると、背の低い小太り型
のモンスターが見え、地面に置かれた木箱をせっせと奥の方へ運んでいる。
”あれはゴブリンかしら、あの辺にいるって事は彼らの拠点が近いのかも”
鉱山や洞窟等に棲むゴブリンは比較的ポピュラーな種族で、リーダー格の者
が人間側と交渉して炭鉱夫として働いたりしている。ララは下層で何度も目に
した事はあったが、中層で目にしてるのなら土砂崩れが原因なのかも知れない。
ゴブリンの様子を暫く伺っていると、どうやら生活品を運び込んでいる様だ。
”崩れたので、不安定な場所から拠点を移しているのかしら”
ギルドに属さず暮らしている者より、遥かに感覚器官が発達している。
例えるならナマズが地震を感知する様にココにいるゴブリン達も何らかの
異変を感じて移動して来たとしか思えなかった。
「はぁ、今はしょうがないわね。中には好戦的なモノもいるのだから」
そう呟くとララの右手人差し指が光り、左手の平に魔法文字を書き始め、
完成すると文字の中から白銀に光り輝いた杖が出現する。
こちらの見かけが子供となると、脅威の対象というより、猫がネズミを
弄ぶ様に、ちょっかいを出してくる可能性をララは危惧しての事だった。
※イストリアロッド ララによって封じられていた専用の杖。
扱う為に必要な能力値が非常に高く、敵を討伐する毎に魔法攻撃力が上昇。
各属性の数値を底上げし、特殊スキル「大魔導の理」習得。
”広範囲なら1回くらいは使えるはず”
ララは杖を手にとると行使できる魔法が1回のみかも知れないという事を
念頭にゴブリン達に気付かれずに裏から奥の道へ向かった。
◇
ー始まりの魔法陣ー
どうしてあの姿になってしまったのか、アリッサも詳しい事は知らない
という。出会った時はすでに子供だったので、とてもメイジの先輩とは思えず
現在のギルドマスターから”専属の指導役”として紹介されたのがララ。
「あれ?そういえば、へるぴもいないっ!」
「ん?誰のこと?俺たち6人だよね」
「もー、やだなー。リシュくんもお水あげてたじゃん」
へるぴってまさか、あの放し飼い召喚獣ヘルハウンドことチビハウンドさん。
そんな名前だったんかいっ、ココにいないという事はララと一緒だったり。
そもそも居た事すら気づかなかったぞ。ステルス機能を搭載してるんじゃ
ないかな。成長するのが怖いんだけど・・・。あんまりその辺考えてなさそう。
「いないって事はララちゃんと一緒なんでしょうか」
「召喚獣だったら一旦戻して、また召喚すればいいだけじゃないのか?」
「やだ」
はやっ、ジーンのまた召喚すればを即効でブロックしたアリッサさん。
ララと一緒では?と話していたシンシアもその反応速度に驚いてるわ。
心なしか冷たい風が直撃した様な表情になってるジーンなんだが即ブロ
させる程の事を言ったとは思えないよな。帰還というのがタブーなのか。
「ま、まあ。アリッサちゃんなりの考えがあるのですよ。
そんなに落ち込まなくても」
「そ、そうだといいなー。ん?あれ・・・何だ?動いてるような」
ショックを隠せないジーンにフォローをするシンシア姉さんの優しさが
眩しいぜ。当人は棒読み状態で話したと思ったら、俺たちの後ろを見て
何か動いていると言った後、一気に表情が変わっていった。
「なんだこいつ、スライムなのか。今まで見てきたのと違う」
俺たちの背後にある水晶の隙間から青い液体っぽいのが滴り落ち、
少しづつ水溜りの様になっていくと、液状のモンスターの姿になっていく。
ジーンからスライムという声が聞こえたが、本人も判断に迷っている。
俺とアリッサより経験あるんだから知ってそう何だけど、種類が違うのか
「えー、スライムってこんななのー。思ってたのとイメージ違ってる。
柔らかそうだから塩かければ消滅しないかな?」
「どこでそんな知識をっ、ていうかそれ。ナメクジにしか効かないんじゃ」
アリッサも俺と同じで初めて目にする魔物なのか、だけどナメクジに塩って
経験ないとワカラナイ事だよな。こ、このオナゴは危険が危ないかも知れねー!
「とりあえず、ここから離れましょう」
「いや。逃げながら様子を見るのは、リティア達と鉢合わせするかも知れない。
ここは応戦して待つべきだと思うが」
相変わらず冬景色な2人と対照的な僕たち。妙にうねりながらこちらを
伺っているスライムにジーンは両手斧を持ち身構えた。
だけどさっきより水状の溜まりが大きくなっている気がするぞ。
このままだと相当なデカさになりそう。やっぱり一旦、引いた方がいいのかも
”こんなとき先輩なら”
俺の脳裏に先輩の姿が浮かぶ。こんな場面であの人の取る行動を
シュミレートしてみると、”危なくなったらステルスやっ”
※ステルスは無効の敵じゃない限りヘイトリセットを行えるのでこちらに
敵意「ヘイト」を向けている敵に使うと姿を消している間ヘイトも消える。
”いや、いくら混沌の者でもメンバー置いて逃げない・・・ハズ”
◇
ー虚無の魔法陣ー
”うおぉぉぉぉぉぉぉ”
ララを探して、モンスターさえ吹き飛ばしながら爆進中であった。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。




