行方不明になった悪魔
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
アデル スイーツ系悪魔
アンベル スイーツ系小悪魔
ローレンス 泣きの元騎士
ウォーレン・ジーク 紫オーラ
朽ち果てた城の2階にある広間は異様な雰囲気に包まれていた。
悪魔とその使い魔と城主かどうか不明な元ボクサー系ガイコツとその他大勢。
「あの、皆さんはここで何をしておられるのです?
戦闘中にしては両手がグローブだし」
「う、うーん、どないしよ?まさかララちゃん達まで来るとはの」
【そ、そんな、私に聞かれても、まさか本当に・・・先日のあの力は】
※秘法を使う為にアデルが悪魔の証しを解放した日
まあ、リーゼロッテさんが不思議がるのも無理ないわな
だってボクシングの試合中だったんだから、戦闘?といえるのか微妙。
アンベルはそっぽを向いているし、言いたくない理由があるのだろうか
さっきまで威勢の良かったお洒落系飲み物さんも何故か戸惑い気味に
「アデルちゃん怒ってるのー?別にいいじゃん
アンベルちゃんだって言いたくないワケがあるんだよー」
「怒っておるわけではない、お前は首をつっこ・・・」
「わたしがい・いって言ってるんだよ。この口かっ、お前って言ったのはっ」
アンベルを庇っているのかアリッサがアデルに対してつっかかって、”お前”
呼ばわりされた事に、アデルの両ほっぺを両手でツネってカクカクさせている。
”ちょ、何をされているのっ、わたしに代わりなさい!(ララ”
「い、い、いややや、あ、あ、あ、案、ず、る、な、今のはワシが悪い」
”?????え、何で?”
「分かった、分かったからやめるのだアリッサ、これ以上追求はせぬ」
「ふふふ、分かれば良いのだっ・・・ん?あれ?案ずるなって
もしかして、まだララちゃん起きてる・・・時間?」
「・・・(伏せ目がちになるアデルちゃん」
身も消え入る様なアリッサはアンベルの後ろに隠れようとするが
それを察してブロックするリリィ、メンタル面での攻防戦である。
いつの間にか先輩もこちら側へ戻って来ていて逃がさない様に協力してるし
プラムはすでに離れてアンベルが抱っこしているけど姿変わっても分かるんだ。
「お困りでしたら、私がまとめて始末致しましょうか?」
ものすっごくニッコリしながらリーゼロッテさんが言ってるけど
このひと確かマスターよりレベルが高いって聞いたぞ、笑顔が怖過ぎるわっ
と思って袖の方を見たら、すでに両手に何か隠してるしっ、二刀流?
”一番デンジャラスな人が来てしまったと、この場の皆が感じた瞬間だった”
「い、いやそれには及ばぬ、あやつに聞きたい事があるのでな」
「承知しました。ですが、貴女様の身に危険が及ぶと
判断した時にはお許しください」
この人も騎士の経験があるのだろうか、あの時のマスターの様に
ティアナの前で行っていた仕草と同じ片膝を折って跪いている。
”アデル、あのアンデッドに何を聞きたいの?”
”お前が言っていた妙な悪魔の事だ、かつてこの地を支配しておった”
「おい、お前はシエルグの従属であろう、主は何処におる?」
スッと自然にリッチに近づきながら問い掛けているアデルの目が光っていた。
おそらく、そのシエルグと同じ悪魔であるという事を分からせる為だろう
【そ、それは・・・あのお方。ぐわっ、ぁぁぁーーーっ】
「ワシはなっ、アイツはどこにおるのかと聞いておるのだっ」
驚いたぜっ!いきなりアデルがジャンピングしてリッチの首めがけて
ネックブリーカードロップを仕掛けて、床に倒した後にヘッドロックしている。
”コイツらの戦いって基本的にプロレスやボクシングみたいな格闘なんか?”
【ちょっ、その顎下を引っ張るのはヤメてください!喋れないですからぁー】
もう面白がってるのか、アデルはリッチの顎下部分を引っ張ったり
引っ込めたりガクガク動かして遊んでいる・・・それを見ている俺たち。
”うわぁ、めっちゃ楽しそうな表情してるわー。ララでは絶対に見れない”
何だかさっきまでとの対比に可哀想になってきた。どうしてアデルは
シエルグの事を知りたいのだろう、どのくらい月日を経ているのか
分からないけど、俺たちでは想像も出来ないほど遠い昔に会っていたり
【あ、あの方は急に居なくなってしまったのです、本当ですっっ】
「居なくなった?アイツがか、それは従属を放って行方知れずって事か?」
アデルが凄く驚いているけど自分の手下達を見捨ててどっか行ったって事?
シエルグという悪魔ってこの辺りを支配していたって言ってたけど・・・。
「一体、何時ごろからだ。ワシは数百年ほど隠匿されておったのでな」
【十数年ほど前、数名の人間達に負かされて、それ以来・・・
あの方は姿を自在に変えれるので、何処かにおられると思うのですが】
リッチの言葉を聞いてアデルは占い師をやってると言われた事が頭に浮かんだ。
どうも奇妙な事態が起こっておる、ともかくメルヴェーオには会わねばなるまい
ここから他のヤツらがおる地へ向かうのはララが許さぬだろうし。
「なるほどな、行方不明であるならしょうがあるまいか」
【あ、あの、シエルグ様をお探しになられるのですか?】
「まあいづれな、お前、名は何と言う?見つかるまで従属となれ」
んんんー?主を乗り換えろと?そんな簡単なモノなの主従関係って
それにララの方も納得してないとダメっていうか、本体ララのひとじゃん。
”あなた何を考えているの?従属にするって”
”安心しろ、ワシにではない。お前の娘にだ、気付いておろう?”
”・・・隠してもしょうがないわね。ええ、今はうまく力を扱えてないだけ”
”あの者を従属とすれば、万が一の時に守護してくれる。それに見ろ
他の魔物たちはワシだけではなく、プラムにも伏してもおるのだ”
どのくらいシーンとしていただろうか、おそらくララとアデルで
話し合っていると思うのだけど、さっきアリッサが消えそうだったし。
【私の名はリッチ・ラ・モルテ。貴方様の従属となれば良いのですか?】
「いやワシではない、そこにおる娘だ。まだ幼い故に力の使い方を知らぬ」
【しょ、承知致しました。では姿を変えてお仕えしましょう】
そういうとリッチは自分の王冠をサキュバスから受け取り、
それをアデルの目の前で翳しながら、黒い霧となって辺りを包むと
コロンッと乾いた音がして小さめの王冠がアデルの目に留まったが、
「お前な、どうせならもっとオシャレな感じになれんのか?」
【・・・これは失礼、大人仕様では愛らしさがありませんな。では改めて】
何だか分からんけどアデルが文句を言ったっぽいので
もう1回黒い霧となって姿が消えたリッチ、アデルの足元には
プリンセスティアラというかサークレットの様な王冠ではないモノがあった。
「さて、これをどうプラムに着けさせるか、寝ている時しかないぞ」
”分かっているわ、あなたにはシエルグとの事も後で話すわね”
「あのー、俺たち街へ戻る為にココへ来てたんですが・・・(アニキ」
「あー、そうやってんな。女神送りにされた方が疲れんし
って言っても、もう歩いて馬車の所まで行くしかないで」
俺たちの目的はリッチというアンデッドに女神送りにされる事だった。
しかしそのリッチはプラムの従属になるという、つまり皆で街まで戻る事に
もう夕闇が迫ろうとしている頃、馬車の停留所を目指して俺たちは歩き出した。
”よく考えたら、あの子供部屋にまた一人、魔印の者が入るって事っ
順調に増えていってるよなー。アデル、アンベル、プラム、リッチ”
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。




