飛べて消える調整役
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
アデル スイーツ系悪魔
アンベル スイーツ系小悪魔
ローレンス 泣きの元騎士
ウォーレン・ジーク 紫オーラ
ー別邸 玄関前 昼食後ー
昼から買出しに行くという事を言われていたので、俺とジーンが玄関前で
馬車を用意しようかと話しているとシンシア姐さんが駆け足で俺たちの所へ
やってきて、この紙に書いてあるものを街で購入してくれと言ってきた。
「何ですかこれ、乳製品と果物ばかり・・・ですよね?」
「うん、まあ、昼食中にちょっとね。プラムちゃんが全く食べないので
ララちゃんと困っていたら、アンベルちゃんがそれなら大丈夫だって」
匿っているので俺たちとはは別々の部屋で食べているから
何があったのか分からないけど、あのちびっこって乳製品だと食べれるの?
そもそも今まで何を栄養にしてたのか謎だったんだけど果物を食べてたのか
「なるほどな、まあ動物の血抜きした血液じゃなくて良かったよ(アニキ」
「いや、さすがにそれは何の為って言われると思うよ(俺」
執事服着たヤツがそんなん買ってたら余計にそう思われるってっ
血抜きした血液って血粉という肥料とか一部の料理で使うらしいけど
何でアンベルは乳製品が大丈夫って知ってたんだろ。
※参考元 ちびっこ吸血鬼シリーズという児童文学 原作はドイツ
「とりあえず、お願いします。ジェフリーさんにも伝えてあるので」
シンシアに分かったよと言って俺たちは荷馬車を繋ぎに行き、
食材などの買出しへと街へ向かって馬をひいた。
ジーンが御者台に座って操っていたので帰りは俺が変わろうと
何気なく空を見ていたら、リーゼロッテさんが飛んでいる姿が目に入って
思わず幻かっと目をこすって疑ったが、本人だ。飛べるんだ、あの人・・・。
「なあ、いま空にうちの調整役の人がいたんだが、見えた?」
「え?いや、前を見てたから、調整役って小柄な方の人だろ?」
どうやらジーンは馬を操ってるから前方しか見ていなかったらしく
空にリーゼロッテさんが飛んでたのを見てなかった様だ。
しかし凄いスピードだった。アンベルよりは遅いと思うけど馬より速い。
「そう、ちょっと耳が長い人。マスターの代理っぽいんだけど
あんまりそういうイメージなくてさ、戦う姿というか」
「うちのギルドのマスターは人を見た目で判断するなって言ってたぜ
案外、感情に流されない仕事人みたいな人だったりしてな」
そうジーンに言われてドキッとした。俺がギルドへ入ってから、
いつも朝、箒持って掃除してる保母さんみたいな笑顔の人だったけど
どんな経緯でシーフギルドへ来たのか知らない。転移する金庫番の人も
”先輩がシーフになる頃はすでに事務員として働いてたのかな”
いやそもそも事務員じゃないよな。確か砂丘の時にスキルを教えるのを
”あの2人に任せる事もある”とマスターが言っていた。
という事は教えれるくらいシーフとして経験してるっていうことだ。
戻って時間ありそうなら先輩に聞いてみよーと思いつつ、
俺たちは街へ着いて、食材、子供の服、花、香水、乳製品などを
荷馬車へ積み込んで、街の地図も念のためと購入したあと屋敷へと戻った。
◇ ー別邸 夕食後 居間ー
買い込んだ品々を運び終わった後、薪を割っていると夕食時間になり
ジェフリーが作ってくれた料理を食べていると、朝来た2人の姿がない事に
気付いた。シンシアとララもいないので子供達はバークレイルに行っていない。
妙だな、と考えながらもローレンスさん達から風呂の準備をする様に言われ
交代で入った後に居間へ行くと、先輩とアリッサ、アンベルがいたので、昼間
リーゼロッテさんを見た事や何故まだ子供達を転移しないのか聞いてみた。
「リーゼさんかー、あの人。うちで一番ステルス時間が長いっていうで
何でも延長装備をトレハンしまくってて、2分くらいは消えてれるそうな」
「2、2分?たしかスキルレベル10で1分くらい何ですよね」
驚いたーっ、まさかトレハン野郎だったとは。それもステルス延長装備系の
「ヤバいのは、それで飛べる所やな。飛べて消えるって事や」
「えー、じゃあ、前職がメイジだったの?(アリッサ」
そんな”歌って踊れる”みたいな表現しなくても、
飛翔魔法を会得してるって事はメイジも経験してるよな。
あの金庫番の人もどちらかというと近接系とは思えない、遠隔魔法系。
「どうやろな、メイジも経験しとると思うけど
マスターが代理を頼む時はだいたい偵察と情報収集係りやで」
「あー、だから街へ情報を集めに向かっていたのか
って、そういえばマスターは何をしてるんですか?」
「・・・(リティア」
な、何だっ、聞いちゃいけない事だったのか先輩の表情が曇ってる。
俺はまたトレハンをしてて戻ってこないから2人に頼んだのかと
「王都や、エストリアから離れるからの」
「ん?王都?あのマスターの人がいなくなるのに?(アリッサ」
「全くワカラン。何故、離れるのに王都へ行く必要が(ジーン」
俺もアリッサとジーンの言う様に全く理解できない。
マスターがエストリアから離れるのに王都へ行く?何で?
「例え話しをするで、地上で一番危険な動物を飼うとしたら檻が必要やろ?
そうでないと安全な動物園なんて存在せんやん
あの人はエストリアから出るのに管理者の許しがいるねん」
「ぇーー(引き気味の俺とジーンとアリッサとアンベル」
先輩の言ってる意味は分かるけど、マスターって何をやらかしたんだ。
エストリアという国自体が檻になってるって事だよな。
ギルドのマスターだからとかじゃなくて、ウォーレンという人物そのものが
エストリア以外の国にとって危険にさらされるという事なのか。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。