魂の断罪者
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
アデル スイーツ系悪魔
アンベル スイーツ系小悪魔
ローレンス 泣きの元騎士
ウォーレン・ジーク 紫オーラ
ー 屋敷内 1階 子供部屋ー
朝の遅い時間に目覚めたララが妙な違和感を腕に感じたら
見知らぬ子供が抱きついて寝ていたので、何があったのかアデルに尋ねると
”疲れた・・・とりあえず害のないヤツだ。あとはシンシアに聞け”
とだけ言って眠りについた。気付けば風邪の症状は全くなく調子が良い。
周りの子供達も病から回復して元気そうで苦しんでいたのが幻だったかの様だ。
シンシアはレニーから聞いた事をリティア達が確かめに行ったら
本当にもう1人子供がいて、何故かアデルに懐いて離れないので
もうそのままにしていると昨日の出来事をララに話した。
「そうだったの、アデルにねえ」
「でもこの子。ララちゃんと同じ眼の色をしてるんだよ
いまは眠っているから分からないけど」
「んー、んー、(プラム」
その言葉を聞いて”まさかアデルの手下なの”と焦ったララだったが
体を動かそうとするとプラムがんーんー言って力を込めてくる。
「離したくないのね、何か特別な事情があるのかしら
アデルが起きたら詳しい話しを聞いてみるわ」
「あっ、そういえば・・・聞いてみたい事があるのですが」
害のないヤツとアデルが言っていたのを思い返していて優しくプラムの頭を
撫でているとシンシアがララに聞きたい事があると問いかけてきた。
「どんな事かしら?まあ大凡の予想はつくけど
病気の子供達をそのままにしておいたのかって事でしょう」
「う、うん、ララちゃんは手段を考えてなかったのかって」
アデルちゃんからララにその事を聞いておいてくれと頼まれていた事は
伏せておいたが、この目の前にいる女の子は全て見通している様な
聖魔の秘法の事を知っていてアデルちゃんと交代しなかったのでは?
という疑問も湧いてきて、秘法の事を話そうか迷っていたが
「考えてたわよ、ただ王都へ行かないとムリなので
最終手段として私ごと女神送りにして病気の進行を止めて
アルテミシアが着たら転移してシスティナの元へ行こうとね」
「シ、システィナって、あの大神官様のことですかっ
ララちゃん知り合いなの?ヒーラーの間では伝説の人ですよっ」
「まあ、一緒のパーティーだったからね
病を自分の体に取り込んで浄化する能力をシスティナは得ているの
奇跡の人と呼ばれているけど、この事は他言してはダメよ」
子供達をバークレイルへ移すことが出来るのに病気は治せる手段が
ないものかと、シンシアは心の奥底で燻っている感情があった。
だからアデルちゃんがその手段を使った事に敬意を払って秘密にしたのだが、
ララも考えてはいたのだ。ただそれを実行できる状況ではなかった。
死にかけていたら自分ごと女神送りになって止めるつもりだったとは
「コンッコンッ」
思いもよらない方法を考えていた事やシスティナと一緒だったという
ダブルショックを受けていると、子供部屋をノックする音が聞こえ
「あ、私が出ます、ララちゃん。他の人には言わないから安心してね」
急いでドアへ向かって開けると、そこにはローレンスさんと
2人の女性が立っていて、シーフギルドにも在籍した経験のある
シンシアは2人の格好をみて誰だか理解できた。
「あっ、お二人共。お久しぶりです」
「失礼致します。ヘミルナ様に面会の方がいらしたので
ご案内しましたが、起床なさっておられますか?」
「起きてるわよ、その2人は私が呼んだの、こちらへ通して頂戴」
シンシアを見て軽く会釈をした2人だけど、ララの前に来ると
カーテシーというお辞儀「目上の相手に対して行う挨拶」をする事に
内心驚いた。バークレイル外で会うのは初めてだけど礼儀と作法は知っている。
「お体は大丈夫ですか?風邪をひかれたと聞きましたが(リーゼロッテ」
「ええ、もう大分いいわ。あなたが居るって事はウォーレンは王都ね」
「はい、仰る通り、ウォーレン様は許可と赦しを得に行っておられます」
傍で話しを聞いていたシンシアには何でシーフのマスターが
此処に来るのに王都へ行って許可を得ないといけないのかサッパリ
分からなくて後でララに聞いてみようと思っていたが、
「赦しって、ウォーレンは断罪を行うつもりなの?」
「それは相手の出方次第になるかと、レーヴェンベルクに対して
警告の意味で使うかも知れません」
「なるほどね、見せしめにする必要があるかもって事ね」
断罪と聞いてシンシアは表情が固まってしまった。
噂で知っている限りだけどこの世界には3人、魂の断罪者と呼ばれる者がいる。
断罪者は戒律を超えてロスト”消失”を与える生殺与奪の権利を行使でき、
その存在は限りなく謎めいていて噂でしか聞いた事がなかったからだ。
”そのうちの1人がシーフのマスターだったとは・・・”
「安心しなさい、シンシア。断罪を行えるとはいっても
それを行使するとしたら、それ相当の理由がある場合よ」
「本当に実在したのですね、魂を消失させる事が出来る者」
「ええ、秩序ではウォーレンだけど他に2人、戒律の女神から
断罪の力を与えられた者たちがいるわ」
世界に3人いると噂されていた魂の断罪者。その事を何故知っているのか
シンシアにはワケがわからな過ぎて混乱しそうだったが、
レニー達の問題が孤児院という子供を狙っている悪質な問題だからなのかな
という気持ちと断罪するとしたら相当な理由というのが気になっていた。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。