アンベルさん、ダウン
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
アデル スイーツ系悪魔
アンベル スイーツ系小悪魔
ローレンス 泣きの元騎士
ウォーレン・ジーク 紫オーラ
屋敷にいる子供達の事が気になっている俺とは違ってリリィはプラムに
抱っこするからねーと言って両手で抱えようと持ち上げたが、
「えっ、軽っ、重さがなくてビックリだよ」
と凄く驚いていた、それをキョトンと見ているちびっこ吸血鬼。
まあ重さとか考えない歳だしな、リリィくらいだとダイエッターもいそうだけど
「とりあえず1階に行こう。先輩、呼んでも気づいてないみたいだし」
妙だとは思いつつも、1階の奥の方を探しているから聞こえてないのかと
階段を降りていくとプラムが1階の玄関前の空間を指差して、
”あのお姉ちゃんは誰なのー?”とリリィに聞いていたのでピンときた。
「先輩、この子には無効ですよ。何でそこで消えて待ってるんですかっ」
「あははは、ちょっとした茶目っ気やんけ。その子かいな」
全く、何でステルス状態で待っていたのかデンジャラスで物騒な人だぜ。
肝試し大会の”中の人”みたいな事をしようと企んでたんじゃないか
「プラムちゃんやっけ、うちはリティア。レニー達の友達やで」
「うんっ、プラムだよ。よろしくねー」
おおっ、名前を覚えていたんだ。と感心していると
先輩はお菓子の飴をウエストポーチから出してプラムに
手渡している、あれ・・・アンベルも食べてたヤツだ。先輩からだったんだっ
「早めに見つかって良かったよ。早く屋敷へ戻ろう(リリィ」
そうだった、この2人(先輩とリリィ)も風邪の事を知ってるはずだよな。
いま屋敷内で看病されてるからプラムが来ても寝てるとか熱で動けないんじゃ
”見舞いに来たって事で、どうにか子供部屋に入れたらなー”
馬車の中でその辺の事は2人にも聞いてみようと
俺たちはジーンの待つ場所へ向かって歩き始め、洋館を後にした。
◇ ー別邸 子供部屋ー
シンシアから薬を塗ってもらったアデルちゃんは咳きは落ち着いてきたが
今度は寒気と頭がボーッとする感覚が卓球のラリーの用に交互に襲ってきて
アンベルを呼び続けていたが全く反応がないので、シンシアにアンベルを
探してきてくれと泣きそうな表情の演技までして頼み込んだ。
「アンベルちゃん、3階の部屋で眠ってるんじゃないかな
何か用があるの?私でも聞ける事ならきくけれど・・・」
この時にアデルちゃんの頭の中に”シンシアの方が都合が良い”という
悪心が湧いてきて、それは秘法を行う為にはアンベルから魔力を貰わないと
行使できず、2度もあの使い魔が言う事を聞いてくれるのか不安だった。
「うーむ、ではシンシア、小さめの小瓶に露を集めてもらえるか量はビンの
半分ほどでいい、あと部屋の中にあった聖水も同じ量を持って来るのだ」
「???露って葉っぱとかの上にあるのだよね
あと何で聖水まで、何かするつもりなの?」
「・・・詳しくは言えん。だがこの病魔を蹴散らすにはこれしかないのだ
子供のうちは免疫力が弱いのであろう?また病には侵されたくないのでな」
何でアデルちゃんが露と聖水を欲しがっているのかシンシアには
分らなかったが、この状況でアデルちゃんが妙な事をするとは思えず、
シンシアはアデルちゃんを信じて露と聖水を集める事を伝えた。
”あとは証の解放か、あやつ(ララ)に気付かれなければ良いが”
ローレンスさんが呼んで来た医者もいる事だし、子供達の容態も
落ち着いていたのでシンシアはジェフリーの所へ行くと調理用の小瓶で
余っているのをもらった後に、庭園の方へ露集めへと向かって行く。
◇ ー数分後ー
小瓶に露を集めて3階へ聖水を取りに部屋へ行くと、
一応アンベルちゃんにアデルちゃんが用があるみたいだったけど・・・と
アンベルの姿を探してみたら専用の寝床で咳きをしながら苦しんでいた。
「えーー、アンベルちゃんにも風邪が移ってたの!」
これはヤバいかも知れないと思ったシンシアは聖水を取り出した後、
アンベルを専用寝床ごと1階の子供部屋へ持っていき、
アデルちゃんの隣に置いて塗り薬と氷枕などを用意し始める。
「なるほど、どうりで反応ないと思ったら、おまえもだったのか」
「さ、最悪・・・頭がガンガンするから話しかけないで(アンベル」
証の解放にアンベルから魔力を得ようとしていたアデルちゃんであったが
当の本人も風邪でダウンしていると知って、別の方法を考え始めた。
”必要な魔力をどうするか、そうだっ、アリッサがおるではないか”
といってもこの部屋へ来てからアリッサの姿を見ていない。
もう夜なので庭園の作業を終えているはず、3階におるのかと
アデルちゃんはシンシアが来たら聞こうと思ったが、アリッサにも用が
あるのかと勘ぐられるのも嫌だったので隣のアンベルに聞いてみたら、
「だから頭が痛いって言ってるじゃん!あの子なら屋敷の裏にいるわっ」
「そうか屋敷の外におるのか、ワシは外へ行く。適当に誤魔化しておけ」
「はあ?知らないわよ、アデルも病気なら大人しくしてないと」
シンシアが集めて来た小瓶と聖水の置いてる場所を確認したアデルちゃんは
ベッドから出たが、その様子をティアナに見つかってしまい
「ダメよ、病気なのだから寝てなさい(ティアナ」
「と、トイレくらいいいじゃろ。生理現象だぞ、自分ではどーしようもないぞ」
「まあ確かにそうだけど、すぐ戻ってくるのよ
この病気は動けば動くだけ感染する場所が広がるんだから」
ティアナの言ってる意味がよくワカランが風邪になると自分が感染源に
なってしまうという事なのか。それより、目的のモノを手に入れないと
”うむ、よく集められておる、さすがシンシア”
入り口前の棚に置かれている露の小瓶と聖水を手に取ると
隠しながら部屋を出て、トイレを通り過ぎて屋敷裏のアリッサの元へ急いだ。
◇
屋敷裏ではアリッサが魔法で氷塊を作る作業をしていたのだが
夕ご飯を食べ終えた後に戻って来て休憩してる最中で、
アデルが話しかけると大丈夫なのかと驚いていた。
「アリッサ、事情を説明しておる暇はない。ワシに魔力を与えてくれ」
息も切れ切れなアデルちゃんを見たアリッサだけど、
そんな事を急に言われても、ララの方でないと何の為なのか不安があったが
「妹が困っておったら力を貸すのが姉ではないのか、頼むのだ」
「うーん、そうだねっ、分ったよ。可愛い妹の為に!魔力もってけー!」
そういうとアリッサはアデルちゃんに向かって魔力を注ぎこんだ。
かつて仲間だったゴーレムさんにやった方法と同じである。
”この娘っ、何という強大なっ、信じられん
いや、それより今は秘法の完成を急がねば”
「アリ、いや姉よ。礼を言うぞ、お陰でこの病魔から抜け出せる」
「ちょ、アデルちゃーん、どこいくのーーーーっ」
そう言うとアデルちゃんは屋敷内のトイレに向かってダッシュして
アリッサの前から逃げる様に走って行った。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。