リリィの懐柔
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
アデル スイーツ系悪魔
アンベル スイーツ系小悪魔
ローレンス 泣きの元騎士
ウォーレン・ジーク 紫オーラ
ー古い洋館内 2階ー
リリィと俺で音がする場所へ行ったりきたりを10分くらい続けてるのだが、
たまに幼い子供の笑い声が聞こえてくるので、リリィの言う様に遊んでいる。
ただ相手が壁抜けを出来る以上、捕まえるのは困難で体力勝負っぽくなりそう。
「あのさ、ちゃんと姿見えた?(俺」
「ううん、チラっと薄い紫の服を着た後ろ姿だけ
あと髪の毛が凄く長いかな、カカトくらいまである」
吸血鬼の能力がどんなモノなのか全く知らないのだけど、
壁が意味のない事は分った。待てよ、相手は俺が消えれるのを知らないよな。
「あの子さ、俺がステルスを使えるの知らないと思うんだ。だから一旦、
下へ降りるフリして消えてるから階段近くの部屋へ誘き出せない?」
もうこれしかない気がする。相手が壁抜けできるのなら、こちらは消えて捕る。
「うーん、うまく行くかなあ?
砂丘の時の敵みたいに無効の様な感じだけど・・・」
”こやつ、山羊頭さんの攻撃食らったこと根に持ってたんかな”
あれで魔族系のヤツにはほぼ無効なのかもって思ったけど、
吸血鬼って魔族になるのか?貴族とか言ってるイメージなんで違うのかと
「あの子が部屋に入った後、すぐに追って行けば廊下側に
出てくると思うんだ。それなら捕まえられそうだしさ」
俺の提案にリリィは怪訝な表情になったが、もしかしたら見えないかも
という期待もあるようで階段付近の部屋に入る事を了承してくれた。
”しっかし、先輩、何をやってるんだ。声聞こえてなかったんかな”
1階へ降りる階段の元へ向かう俺の脳裏に先輩がワザと来ないのでは?
もしかしたらステルス使って何処かで見ているいるのでは?という不安感が
湧いたが、2階に来てるならあのちびっこ吸血鬼を捕まえるはずだよな。
◇ -その頃のリティアは洋館の1階から地下室を見つけていたー
「な、なんやねん。ここ・・・何かの実験をしていたんか」
地下室の鍵を開けて中に入ったリティアの目の前には、様々なモンスターが
奇妙な液体と共にビン詰めにされていて部屋自体は塵や埃が凄く、至る所に
机があったが置かれている用紙は茶色く変色していて字も読めない程だった。
「薄気味悪い所やな、一体いつぐらいのモノなんや」
室内に気配を全く感じないのでざっくりと見て回ろうとしていたら、奥の方に
一際大きいカプセルの様な入れ物があって、その中だけにはモンスターの姿が
なく、割られた跡の様なモノがあり中にあった液体がポタポタと地に落ちている。
おそらく濡れ具合からそんなに月日は経っていない。
「アリッサのとーちゃんも連れてくるべきやったわ
何かの研究か知らんけど、さっぱりワカらへん」
リティアは変色して文字さえ見えなくなった紙を手にしながら呟きながらも
ここはあの子らには見せん方がええなと自分の心に閉まっておこうと決めた。
◇ -洋館内 階段部分ー
早足で降りるフリをしてステルスを発動させたが、時間は15秒しかない。
急いで戻ってリリィの居場所を確認すると、ちびっこを見つけたのか
階段の手前ではなく1つ離れている部屋へ入っていったので、これは出てくる
かもっとステルス状態でリリィのが向かったドアの前で待っていたら
”何にも起こらねえー、しまった!廊下側じゃなくて隣の部屋にっ”
と思っていたら半ドアだったのが勢いよく開いてリリィが出て来て
ドア前にいた俺を吹き飛ばしてくれた。
「痛っ!!なんで開いてるのにさらに開くんだよっ」
「あっ、ごめん、廊下側へ行ったと思った急に隣の壁に消えていったから」
「・・・え?廊下側に出て来ようとしてたの?」
廊下側から出てくると思っていたけど半ドアの前で
もしかしたらという気になって前しか見てなかった俺のミスだ。
「うん、一瞬だけ後ろ姿が見えただけどね
そしたら向きを変えて隣の壁の中へ消えていった」
となるとやはりこのちびっこ、ステルス無効で相手からは見えてる。
一旦、廊下側を覗いて俺が居たから隣の部屋へ向かっていったのか
「ねえ、レニーってこの子の事をプラムちゃんって言ってたよね」
「たしか・・・そうだと思うけど」
何でこの状況でそんな事を俺に聞いたのか理解不能だったのだけど、
リリィは廊下からちびっこが消えた辺りに向かって名前を呼んだ。
「プラムちゃーん、出て来てー。どこにいるのー?」
廊下の空間に向かってリリィが話しかけると、奥の方から薄い紫の服を着た
髪の毛の色が黒くて長い、紅い眼をした幼い女の子が姿を現した。
「んー、なんでお姉ちゃん達、わたしの名前を知ってるのー」
「こんばんは、プラムちゃん。私の名前はリリィ、こっちがリシュくん」
ステルス効果が切れて、リリィの隣でプラムを見ていたのだけど
身長は1メートルもなく人形の様な感じだ。生気がないというか血色悪い?
「ここにさ、アニタちゃんやルピタちゃんが居たよね」
「いたよー、どこへ行ったのか探してたんだけどお姉ちゃん達は知ってるの?」
「知ってるよー、だからプラムちゃんもそこへ行こうよ
アールやナンシー達もいるんだよ」
リリィの言葉の魔力というか懐柔術なのか、他の子達の名前を出して
共通認識感を与えて、今一緒に居るからそこへ一緒に行こうと
「ほんとう?レニーお兄ちゃんもいるんだよね
いなくなって探してたんだけど、戻ったらみんないないんだもん」
あー、先にここから抜け出たんだっけ。探してたっていう事はレニーが
無法者に見つかった高原近くとかじゃなくて逆方向を探してたのかな。
「一緒にいるよ、アール達ともね」
「うんっ、じゃあいくー。お姉ちゃん達どこから来たのー」
「ここの近くなんだよ、馬車で行くけど大きいお屋敷にみんな居るからね」
リリィで良かったー。先輩ならこんな風じゃなくて罠を使って捕まえそうだし
プラムが納得してくれた上で屋敷へ連れて行く方が断然いい。
”げっ、そういえば今・・・風邪で子供部屋入れないんじゃ”
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。